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「松の内」はいつまで?意味や季語と関東・関西の地域差も解説

正月に関わるワードのひとつに「松の内」があります。「松の内が明ける」「松の内が過ぎる」などとよく耳にしますが、「松の内」とはいつからいつまでを指すのでしょう。「松の内」の意味・期間をはじめ、地域差についても解説します。

「松の内」の意味とは

「松の内」は「正月の松飾を立てる期間」のこと

「松の内」とは「正月に松飾を立てる期間」を意味する表現です。正月には家庭の玄関先に、企業では出入口に門松を立てることがありますが、その松飾(門松)を立てておく期間を「松の内」と言います。

そもそも松飾やしめ縄などの正月飾りには新年の神様「年神様(としがみさま)」を迎え入れるという意味があります。一年の健康や幸運に関わる「年神様」がやってくるための目印となるのが「松飾」です。

「松の内」は新年の季語

「松の内」は新年の季語でもあります。松飾という正月を代表する飾りに関する語であることから、新年を表す語としてふさわしいことがうかがえるでしょう。

他にも正月に関する季語では「新年」「元旦」「新春」などが挙げられます。

新年の挨拶も「松の内」まで

「松の内」は正月の松飾を立てる期間ですが、もうひとつ新年の挨拶を交わす期間でもあります。一般に「松の内」の間は「明けましておめでとうございます」という新年の挨拶を使用するのが通例です。

一方で「松の内」を過ぎたら、「今年もよろしくお願いします」とはいっても「明けましておめでとうございます」という挨拶は使用しません。

「松の内」はいつからいつまで?期間とマナー

「松の内」は一般には元日から1月7日まで

「松の内」は一般には元日から1月7日までとされています。古くは小正月と呼ばれる1月15日までを「松の内」とした時代もありましたが、現代では1月7日までとするのが一般的です。そのため、松飾も1月6日の夜あるいは1月7日の早朝に下げることが多いでしょう。

1月15日から1月7日に短縮された理由の一つには徳川三代将軍、家光の死があると言われています。徳川家光がなくなったのが4月20日でその月命日にあたる1月20日が鏡開きと重なってしまったこと、そのため鏡開きを1月11日にはやめるために「松の内」の時期も移動した、とする説があるようです。

「松の内は何日まで?」には地域差が

「松の内」は1月7日が一般的と紹介しましたが、厳密にいうと現代でも1月15日までを「松の内」とする地域もあります。特に関西より西では1月15日までが主流で、関東や北日本は1月7日という地域が多いようです。ただし同じ県内でも「松の内」の期間が異なる例もあり、九州地方でも一部は7日まで、一部は15日までと差があり、一括りにするのは難しいのが実情です。

「松の内いつから?」にも諸説

「松の内」はいつまで、という終わりの時期だけでなく、いつからという始まりにも諸説あります。1月1日の元日をスタートとする説のほか、一部では正月準備を始める「正月事始め(しょうがつことはじめ)の日」である12月13日を「松の内」のはじまりとすることもあります。

つまり考え方やその地域の風習によっては、およそ1ヶ月ほどが「松の内」と呼ばれることになります。

「松の内」の法事には賛否あり

「松の内」の期間は法事を行うべきではないという意見も散見されますが、禁止されているというわけではありません。

年始は寺院も慌ただしいこと、また一部の人とはいえ良く思わない人がいることから「松の内」を避ける例が多いものの、親族の都合で1月5日あたりに行うというケースもあります。古くからの慣習を重んじる声がある一方で、現代のライフスタイルに合わせた柔軟な考えも広まりつつあるようです。

「松の内」の使い方と例文

「松の内が明ける」は「松の内」が終わること

「松の内が明ける」とは「松の内」が終わることを意味します。「明ける」にはある期間が過ぎて次の状態、次の期間になるという意味があります。

例文

松の内が明けたらいよいよ日常に引き戻される。

「松の内が過ぎる」と使う例も

「松の内が過ぎる」もまた「松の内」が終わることを意味します。「過ぎる」が時が移って終わるというニュアンスがあるため、「松の内が明ける」に比べるとやや直接的な印象を伴う表現です。

例文
  • あっという間に松の内が過ぎた。
  • せめて松の内が過ぎるまでは休暇にしたい。

「松の内」の英語訳

「松の内」は「Ner Year Week」と意訳する

「松の内」は英語では「New Year Week」と表現することができます。「New Year Week」は「新年の第一週」という意味で、「松の内」の英語訳として用いられる表現です。また「松の内」を1月1日から1月7日とし場合は「the first seven days of the New Year」という英語訳も可能です。

欧米では「松の内」まで祝う概念はない

日本では「年末年始」という言葉があるように、新しい年を迎えることに重きを置きますが、欧米ではクリスマスに焦点を当てて祝うのが通例です。休暇もクリスマスの時期から始まり、1月2日には仕事始めという企業も珍しくはなく、「松の内が過ぎるまではお正月」という考えの日本とは風習が異なるのは明白でしょう。

まとめ

「松の内」とは「正月の松飾(門松)を飾る期間」のことで、関東では1月7日までを指すことが多いです。一方で関西などでは1月15日までを「松の内」とするなど地域差があります。また「松の内」の始まりも早ければ「正月事始の日」である12月13日とする考え方もあるため、1ヶ月近い期間を「松の内」と呼ぶ地域も存在します。

一般に「松の内」を過ぎたら正月飾りを下げるため街からも正月の気配がなくなります。合わせて新年の挨拶も「松の内」までとするのが通例です。