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「よもや」の意味と使い方とは?「まさか」「もしや」との違いも

「よもや間違いではあるまい」という表現には少し古風な印象を受けるかもしれません。しかし、近年大ヒットしたアニメ映画の台詞で用いられたことから「よもや」という語が気になった人もいるでしょう。

本記事では「よもや」の意味と使い方を例文で紹介するほか、「まさか」「もしや」など類語との違いについても解説します。

「よもや」の意味とは

「よもや」とは「万が一にも」という意味

「よもや」とは「万が一にも、いくらなんでも」という意味です。「よもや〜ない」のように後に打ち消しの表現を伴うのが通例です。一方で推量の表現と共に用いると「きっと、たぶん」という意味にもなります。

「よもや」の語源は副詞「よも」

「よもや」は副詞「よも」に係助詞「や」をつけて、その意味を強めた表現です。「よもや」の意味も、副詞「よも」が持つ「いくらなんでも」の意味が語源になっています。

この「よも」とは、古くからある語で「よも〜じ」の形で「決して〜ないだろう」という意味で用いられていました。「よもや」が古風な印象を持たれやすいのも、古語に由来する表現だからかもしれません。

「よもや」は方言ではない

「よもや」に馴染みがない人からすると、どこかの方言では?と思うかもしれません。しかし、「よもや」は方言ではなく、辞書にも記載されている標準語です。

日常で頻繁に用いる語というよりは、小説やドラマなど限られたシーンで用いられる単語として覚えておくとよいでしょう。

「よもや」の使い方と例文

「よもや〜ないだろう」と使う

「よもや」は打ち消しの語を伴って「万が一にも、いくらなんでも」という意味になりますが、中でもよくあるのが「よもや〜ないだろう」という表現です。たとえば「よもや忘れることはないだろう」は「いくらなんでも忘れることはないだろう」という意味です。

例文

しっかり者の夫にかぎって、よもや忘れるなんてことはないだろう。

「よもや〜まい」で使う例も

「よもや〜(する)まい」という表現でもよく用いられます。この「まい」は、助動詞として「打ち消しの推量(〜ないだろう)」や「打ち消しの意思(〜ないつもりだ)」の意味です。

「よもや〜まい」の場合は「打ち消しの推量」の意味になり、先述の「よもや〜ないだろう」と同じニュアンスにとることができます。

例文

このメンバーなら、よもや失敗することなどあるまい。

「よもや〜とは」と驚きを示す

「よもや」は「よもや〜とは」の形で、「いくらなんでも、まさか」と驚きを示すようなニュアンスでも使用可能です。

たとえば、「よもやこんな結果になるとは思いもよらなかった」は「まさかこんな結果になるとは思いもしなかった」というニュアンスです。「よもや~とは」で「ありえない、いくらなんでも」といった意味になります。

「よもやよもやだ」は強調した表現

「よもやよもやだ」とは「よもや」を強調した言い回しです。「まさかこんなことになろうとは…」といったニュアンスで、強い驚きを表していると考えられます。

「よもやま話」の「よもや」は意味が異なる

「よもやま話」とは「とりとめのない雑多な話」という意味です。「よもやま話」は、「よもや」ではなく「よもやま」という単語に由来する表現で、「よもやま」とは「世間、世間の様々なこと」を表します。漢字では「四方山」と書きます。

「よもや」と「まさか」の違いとは

「よもや」と「まさか」は類語

「まさか」は打ち消しの推量を強める意味をもちます。たとえば「まさか私が選ばれるとは思わなかった」は、「選ばれるはずがない」という気持ちを「まさか」という語で強めています。

この「まさか私が~」という一文は、「よもや私が選ばれるとは思わなかった/よもや私が選ばれるとは思うまい」と言い換えることが可能です。

「まさか」は名詞や感動詞的に使える

「よもや」と「まさか」の違いとして、「まさか」は使用シーンが広いということが挙げられます。「まさか」は「まさかのときに備えて〜」のように、名詞として「緊急の事態にあること」を指して使ったり、「まさか!」と感動詞的に単独で使用したりことが可能です。

一方の「よもや」は、このような使い方はできません。「よもや」の方が使用シーンが限定されるのが相違点です。

「よもや」と似た表現「もしや」「もはや」

「もしや」とは「もしかしたら」の意味

「もしや」とは「もしかしたら、ひょっとして」という意味で、「もしかしたら」のやや古めかしい語です。副詞「もし」に助詞「や」がついてできた単語で「もしや〇〇では?」と推測する際に使うことができます。

「もはや」とは「今となっては」という意味

「もはや」とは「今となっては、もう」と事態が変えられないところまで進んでいる様を指します。「もはやこれまで」と諦めを言い表すのが良い例です。

また「早くも、まさに」と事態が実現しようとしている様を指しても使用されます。 いずれの意味も「よもや」とは異なります。

「よもや」の英語訳とは

「よもや」は英語で「surely」

「よもや」は英語では「surely」という単語を使って表現することができます。「surely」には「確かに、確実に」のほか「まさか、よもや」といった意味もあります。

「よもや〜ないだろう」と日本語で打ち消しの語を伴って使用するように「よもや」の英語訳でも「not」など否定語を伴って使用することが多いです。また文頭や文末で使うことが多いのもポイントです。

例文

Sureely it cannot be ture.(よもや真実ではあるまい)

「よもや」は「improbable」を使った英訳も

「よもや」の英語訳では「起こりそうもない、本当らしくない」という意味の「improbable」を使った表現も可能です。たとえば「That is highly improbable.」は「よもやあんなことはあるまい」と和訳することができます。

まとめ

「よもや」は「万が一にも、いくらなんでも」という意味で「よもや〜ないだろう」のように打ち消しの語と共に使うのが通例です。また「よもや〜するまい」の形で用いられることも多く、この場合の「まい」もまた打ち消しの意味を持ちます。「よもや」は古語に由来するやや古めかしい印象を与える表現で、口語表現としては「まさか」が一般的です。