恥ずかしく思う気持ちを「羞恥心」と表現することがあります。この「羞恥」にはどのような意味があり、「羞恥心」以外はどのような使い方があるのでしょうか。
「羞恥」の意味と使い方のほか、心理学における「共感性羞恥」についても解説します。また「羞恥」の類語や対義語、英語訳についても紹介しましょう。
「羞恥」の意味とは
「羞恥」とは「恥ずかしいと思うこと」という意味
「羞恥」とは「恥ずかしいと思うこと」という意味です。「恥ずべきこと」「恥じらい」という意味もあります。
「羞恥」の読み方は「しゅうち」
「羞恥」は「しゅうち」と読みます。「羞」と「恥」の漢字はいずれも「はじる、はじ」という意味があり、「羞恥」は同じ意味の漢字を重ねた熟語ということができるでしょう。
「羞恥」の使い方と例文
「羞恥心」の形で使うことが多い
「羞恥」という熟語は「羞恥心」の形で用いられることが多いです。「羞恥心」とは「恥ずかしく思う気持ち」を指します。「羞恥心を抱く」「羞恥心を覚える」などのほか「羞恥心を捨てる(恥ずかしいという気持ちを捨てる)」といった表現でも使用されます。
- 取引先にいるとは思えない上司の横柄な態度に、こちらが羞恥心を覚えた
- 羞恥心を捨てるくらいの思い切りも大切だ
「羞恥心がない」とは恥を恥とも思わない様
「羞恥心がない」とは端的にいうと「恥ずかしいと思う気持ちがない」という意味ですが、一般には「恥ずべきことをしたのに平然としている様、悪びれる様子のない厚かましい様」を指して用いられます。非難めいた表現として使うことが多いです。
- 君に羞恥心というものはないのか
- 初対面で厚かましい依頼ができるなんて、きっと彼に羞恥心などないのだろう
「羞恥を覚える」という使い方も可能
「羞恥心」という形での使用が多いですが「羞恥を覚える」といった使い方も可能です。「恥ずかしい気持ちになること」を意味します。
取引先で上司に叱責され、さすがの私も羞恥を覚えた。
「共感性羞恥」とは心理学用語
「共感性羞恥」とは、他人が恥をかいたり失敗したりする様、あるいは非難される様を見て自分まで恥ずかしく思うことです。特に、心理的距離の近い身内に対して感じることが多いとされています。
他にも、テレビでお笑い芸人がスベっている様を見て、いたたまれない心情になることも「共感性羞恥」の一種です。ドラマのセリフで恥ずかしくなってチャンネルを変たり、登場人物が恥をかきそうなシーンは見たくない、というのも「共感性羞恥」の例として挙げられます。
「羞恥」の類語・類義語とは
「羞恥」の類語は「恥」
「羞恥」の類語は「恥」です。「はじること、恥ずかしく思うこと」という意味が「羞恥」と同義です。加えて「恥」には「それにより名誉や面目が損なわれる行為」という意味もあり、「我が家の恥だ」などの言い回しでも用いられます。
「羞恥を覚える」は「恥じる」に言い換える
「羞恥を覚える」はシンプルに「恥じる」という動詞に言い換えることができます。「恥じる」とは「恥ずかしく思う、面目ないと思う」という意味で、「軽率な言動を恥じる」などと使用することが可能です。
また似た表現には「恥じ入る」もあります。「恥じ入る」は「ひどく恥ずかしく思う、深く恥じる」という意味で、「恥じる」よりも強いニュアンスにとれる表現です。
「羞恥」の対義語とは
「羞恥」の対義語は「破廉恥」
「羞恥」の対義語は「破廉恥」とされています。「破廉恥(はれんち)」は性的に恥ずかしい行いという意味もありますが、「人として恥じるべきことを恥と思わないこと」という意味もあります。加えて「恥知らず、人の道に反すること」という意味も持つ熟語です。
「名誉に思う」も反対の意味の表現
「羞恥」のもつ「はずかしい」という意味の対義表現では「誇らしい」という表現が挙げられます。その意味では「名誉に思う」を対義表現として紹介します。
「名誉に思う」とは「人やものに対して誇りを持つこと」という意味で、まさに誇らしく思う様を表します。「このような素晴らしい賞をいただけたこと、大変名誉に思います」などの言い回しが可能です。
「羞恥」の英語訳とは
「羞恥」は英語訳は「shame」
「羞恥」の英語訳では「恥」という意味を持つ「shame」や「はじらい」を意味する「shyness」「bashfulness」が挙げられます。形容詞として使う場合には「shy」や「bashful」といった単語が使用できます。また「羞恥を覚える」の英語訳では「feel ashamed」もよく用いられる表現です。
「羞恥」の英文例
- You have no sense of shame.(君には羞恥心がない)
- I feel ashamed in front of men.(男性の前では恥ずかしい)
まとめ
「羞恥」とは「恥ずかしく思うこと」という意味で、一般には「羞恥心」という表現で用いられることが多いです。「羞恥心」もまた「恥ずかしく思う気持ち」を意味しますが、「羞恥心がない」と使った場合は恥ずべきことを平然とする、厚かましい様というニュアンスになるのがポイントです。「羞恥心がないのか」と非難めいた言い回しでもよく用いられます。