「暗躍」の意味とは?いい意味での使い方や類語と対義語も例文解説

「二世議員が暗躍する」というと、あまりいい印象がありませんが、「暗躍(する)」とはどういった意味を持つのでしょう。「暗躍」の意味をはじめ、その使い方を例文で解説します。

また、「暗躍」はいい意味でも使えるのか?といった疑問や類語と対義語、英語訳といった関連用語についても触れています。

「暗躍」の意味とは

暗躍とは「密かに計画をたて活躍する」という意味

「暗躍」とは「人に知られないよう密かに計画を立て行動し、活躍すること」という意味です。一般的に、誰かの目に触れる場所ではなく裏側で策を巡らせ、活動することを「暗躍」といいます。

「暗躍」の語源は四字熟語「暗中飛躍」

「暗躍」は四字熟語「暗中飛躍(あんちゅうひやく)」に由来する熟語です。この「暗中飛躍」の略語が「暗躍」です。

「暗中飛躍」も「密かに計画して活躍すること、世間に知られないようにこっそりと計画すること」という意味で、「暗躍」と意味も変わりません。単純な略語として言い換えに使うことも可能ですが、一般には「暗躍」の方が広く知られています。

「暗躍」の使い方と例文

「暗躍する」「暗躍している」と使う

「暗躍」は「暗躍する」や「暗躍している」といった言い回しで用いられます。周囲が知らないところで計画・実行し、活躍するような様を指します。表立った活動ではないものに使うのが特徴です。

例文
  • 本件では大物議員が、暗躍したと言われている
  • 受注に関して、暗躍した人物がいたようだ

「暗躍」は本来いい意味にも悪い意味にも使える

「暗躍」は「密かに」というニュアンスから、裏でコソコソ悪だくみをするという悪い意味でよく使われます。理由は、語源の「暗中飛躍」を「暗躍」と略すことで、「飛躍」の持ついい意味合いより「暗」という字の悪い意味合いが先行するためです。

本来は「密かに計画をたて活躍すること」の意味で、いい意味と悪い意味どちらにも使うことができます。

例文
  • 部下が暗躍してくれたおかげで、ことなきを得た
  • A社との契約成立の裏には、営業部でもエースと呼ばれる彼の暗躍があった

「暗躍」の類語とは

「暗躍する」の類語は「裏で糸を引く」

「暗躍する」を悪い意味合いで使う場合、類語には「裏で糸を引く」が挙げられます。「裏で糸を引く」とは、糸のついた装置を操って動かす動作のたとえで、「影から人を操る」という意味の慣用表現です。

同様のニュアンスでは、シンプルに「裏で操る」「人を操る」といった表現も可能です。

「裏で手を回す」は人に指示して達成するさま

「裏で手を回す」も「外からは見えないように行動するさま」「正攻法ではない手段を巡らす」という意味です。一般には自分の立場や影響力を使い、裏で口利きをすることを指すことが多いでしょう。

この「裏で手を回す」は、自分ではなく人にやらせる、目的を達成するというニュアンスが特徴です。一方で「暗躍する」は同じ秘密裏のやり方でも、自分で行動する点が異なります。

「暗躍」の対義語とは

「暗躍」に明確な対義語はない

「暗躍」には対義語がありません。「密かに計画をたて行動し、活躍する」と複数の行動を意味するため、明確な対義語を定義することが難しいと考えられます。

「活躍」「頭角を表す」は対義的な表現

「暗躍」の「密かに」という意味を考慮すると、表立って活動することを意味する「活躍」は対義語として使える表現といえるでしょう。

また、才能や技量などが他の人よりも優れ目立つようになるさまは、「頭角を表す(とうかくをあらわす)」といいます。「頭角を表す」も密かに活躍するのではなく、表立って活躍するさまを意味する点で「暗躍」とは反対の意味ということができます。

「暗躍」の英語訳とは

「暗躍」の英語訳では「behind」を使う

「暗躍する」を英語にする際は、「裏で活動する」という意味合いで「act behind」や「be active behind the scenes」のような表現が用いられます。「be active」で「活躍する」という意味です。

このほか「work behind the scene」も「秘密裏に行動する、暗躍する」などの和訳が当てられる表現です。

「暗躍」の英語例文

  • She acted behind her colleague’s back.
    彼女は同僚の背後で暗躍した
  • He was one of the people who was active behind the scenes.
    彼は暗躍した人のひとりだ

まとめ

「暗躍」とは「密かに計画をたて行動し、活躍すること」という意味です。一般に「裏で策動して 活躍する」とネガティブなニュアンスで用いられることが多いですが、元々は「暗中飛躍」という四字熟語に由来する表現ということもありいい意味で使うのも間違いではありません。「裏で糸を引く」「裏で手を回す」などが類語として挙げられますが、「裏で手を回す」は自分で行動するのではなく人にやらせる点で厳密にはニュアンスが異なります。