株式会社の英語表記には様々なものが使われていますが、それぞれの表記に意味の違いがあるのか不思議に思ったことはありませんか。この記事では、株式会社の英語表記についてご紹介します。また、有限会社や前株など、覚えておきたい英語表記の方法やビジネスメールでの使い方についても紹介します。
「株式会社」の英語表記とは?
株式会社の略称は「K.K」
株式会社は「Kabushiki gaisha」あるいは「Kabushiki kaisha」のように、ローマ字読みしたものをそのまま表記します。略称は「K.K」や「KK」が用いられます。
株式会社とは、日本独自の会社法に基づいて定義されている名称です。会社設立にまつわる法律は国によって異なるため、日本の会社法にのっとった「株式会社」を直訳できる英語は存在しません。
しかし海外で「Kabushiki gaisha」を使用した場合、その意味を理解してもらうことは難しいものです。そのため、一般的なビジネスの場においては、株式会社に意味の似た英語表現が用いられています。
英国で一般的な英語表記は「Ltd.」
「Ltd.」は「Limited」の略称で、読み方は「リミテッド」です。Limitedは「責任に限りがある」という意味があり、「有限責任」と訳されます。
そもそも株式会社とは、株主が資本金を出資し株主から委任された経営者が事業活動を行って、得た利益を株主に配当する会社です。株主は万が一倒産した場合でも、自分が出資したお金がなくなる以上の責任を問われることはないため、「有限責任」であるといえます。
「Ltd.」はイギリスにおいて企業登記の時に必要なため、「Ltd.」の表記を使うことが一般的です。
日本企業で多く使われる英語表記「Co., Ltd.」
「Co., Ltd.」は「companiy limited」の略称で、読み方は「カンパニー・リミテッド」です。「制限された会社」「有限責任である会社」に訳することができ、株式会社に意味合いが近い英語表記として多くの日本企業で使われています。
「Co., Ltd.」の正しい表記には、「Co.,」と「Ltd.」の間に半角スペースが必要です。なお「Co.,」と「Ltd.」の間にある「,(カンマ)」は入れなくても構いません。
米国でよく使われる英語表記「Corp.」
「Corp.」は「Corporation」の略称で、読み方は「コーポレーション」です。アメリカでよく使われている表記で、Corporationは「法人の、団体の」という「Corporate」の意味があります。法律で定められた手続きが完了し、法人格が与えられた組織のことを表します。
このことから、「Corp.」で株式会社のことを言い表すことができます。また、略称ではなく「Corporation」とそのまま表記して使用しているところもあります。
- 〇〇〇 Corporation
- 〇〇〇 Corp.
米国で一般的に使われる英語表記「Inc.」
「Inc.」は「Incorporated」の略称で、読み方は「インコーポレイテッド」です。Incorporatedには「法人化された、登記済みの法人」の意味があり、「Corporation」と同じ意味合いで使われます。
「Inc.」も「Corp.」と同様にアメリカで一般的に使用されている表記で、規模の大きな会社で多く用いられています。たとえば、AppleやAmazonといった世界的な企業も「Inc.」の表記を使っています。
「株式会社」の英語表記の使い方と例
英語表記では「前株・後株」の区別がない
日本には会社名の表記が2種類あり、区別されて使われています。まず、「株式会社〇〇」と会社名の前に「株式会社」を表記する「前株(まえかぶ)」です。もうひとつは、「〇〇株式会社」のように会社名の後に「株式会社」がくるものを「後株(あとかぶ)」といいます。
しかし、英語表記の場合は「株式会社」の前後で区別することはなく、すべて会社名の最後に「Co., Ltd.」などの表記を記載します。
英語表記が省略されていない場合はそのまま使う
たとえば、取引先の社名の英語表記が「Corporation」と表記されている場合、こちらから勝手に「Corp.」と略することはよくありません。省略せず、先方の表記をそのまま使用するようにしてください。
自社名を名乗る際も同様に、表記を勝手に省略しないようにしましょう。
ビジネスメールの宛名や署名の記載順に注意
ビジネスメールで株式会社の英語表記を記載する場合、「会社名」や「担当者名」などの記載順が日本語と異なります。
日本語表記:株式会社〇〇 △△様
英語表記:Dear Mr.△△(男性の場合) 〇〇 Co., Ltd.
また、メール末尾につける署名も、英語表記の順番に注意が必要です。
【日本語で署名する場合の記載順】
- (会社名)
- 役職・所属部署名
- (名前)
- 住所
- 電話番号・ファクス番号
- メールアドレス
- 自社サイトのURL
【英語表記で署名する場合の記載順】
- (名前)
- 役職・所属部署名
- (会社名)
- 住所
- 電話番号・ファクス番号
- メールアドレス
- 自社サイトのURL
「有限会社」の英語表記とは?
有限会社は「LLC」「Ltd.」を使う
有限会社の場合、英語表記は「LLC」または「Ltd.」を使うことが多いです。「LLC」とは「Limited Liability Company」の略で、「合同会社」の英語表記としても使われています。
ちなみに、Googleは2017年「Google Inc.」から「Google LLC」になりました。
株式会社と同様の表記でもOK
有限会社の事業形態は2006年に有限会社法が廃止となっており、現在新しく設立することはできません。
有限会社の会社形態は株式会社と同じく”有限責任”の意味を持ちますので、株式会社と同様の表記を用いても問題はありません。
まとめ
株式会社の英語表記について紹介しました。複数の英語表記がありますが、いずれも株式会社の大きな特徴である株主の「有限責任」に近い英訳を持つ英単語が、株式会社に意味合いが近いとして使われています。また、英語表記の場合、日本のような「前株・後株」の表記分けの必要はなく、すべて会社名の最後に表記すれば構いません。
【正】Co., Ltd.
【誤】Co.,Ltd.