「虚虚実実」の意味と使い方とは?由来「虚実」や四字熟語の類語も

「虚虚実実の戦い」「虚虚実実のかけひき」などと用いられることが多い「虚虚実実」ですが、漢字のイメージから悪い意味を連想することもあるでしょう。

この記事では、「虚虚実実」の詳しい意味とその由来、使い方について例文を交えて解説します。また、似た意味の四字熟語や言い換え表現についても触れています。

「虚虚実実」の意味とは

「虚虚実実」とは「策や手段を尽くして戦うこと」

「虚虚実実」とは「お互いに策や手段を尽くして戦うこと、様々な策略や手段で戦うこと」という意味です。策略や計略を巡らせ戦うことを指して「虚虚実実」といいます。

「うそを混ぜて相手の腹を読み合う」の意味も

「虚虚実実」には「うそとまことを取り混ぜ相手の腹を読み合う、互いに腹を読み合って駆け引きをすること」という意味もあります。取引や交渉事で行われる駆け引きなどを指しても用いられる意味です。

「虚虚実実」の読み方は「きょきょじつじつ」

「虚虚実実」の読み方は「きょきょじつじつ」です。聞き慣れないうちはこの読み方に違和感があるかもしれませんが、そのまま「きょきょじつじつ」と読んで問題ありません。

「虚虚実実」の由来は『孫子』に書かれた「虚実」

「虚虚実実」という四字熟語は、それぞれの漢字の意味に由来します。「虚」は隙のある守りの弱いところ、「実」は守りが堅く備えが行き届いているところという意味です。

戦いにおいては「実」を避けて「虚」をつくべき、とするのは中国の古い書物『孫子』にも書かれていることです。この『孫子』にある「虚実(きょじつ)」という言葉を強めたのが「虚虚実実」とされています。

つまり、相手の備えが万全なところは避けて、隙を狙うように策を尽くして戦うことが「虚虚実実」というわけです。

「虚虚実実」は「虚々実々」と書くことも

「虚虚実実」は、「虚々実々」と表記されることもあります。「虚虚実実」は「虚実」という熟語に由来することは先述の通りで、「虚」と「実」というそれぞれの字を重ねたという見方では「々」をつかった表記も可能です。 いずれの表記も誤りではありません。

「虚虚実実」の使い方と例文

「虚虚実実の戦い(虚々実々の戦い)」はよく使う

「虚虚実実」はあらゆる策略や手段を尽くした戦いを指し、「虚虚実実の戦い(虚々実々の戦い)」という使い方でよく用いられます。

古くは戦に対して用いられた表現ですが、現代ではスポーツの試合でも用いることができます。どの試合も選手たちが全力で戦っていることは言わずもがなですが、選手だけでなく監督やコーチなど、あらゆる頭脳とパワーで戦ったことが表現できるでしょう。

例文

格上のA国に勝ったあの試合は、まさに虚虚実実の戦いと呼ぶにふさわしいものだった。

「虚虚実実の駆け引き」「虚虚実実の応酬」

「虚虚実実の駆け引き」は「策や手段を巡らせたかけひき」という意味にとれる表現です。「駆け引き」以外でも、「虚虚実実の応酬」といった使い方もよく用いられます。文脈によっては「うそとまことを織り交ぜた駆け引き」という意味にもとれる言い回しです。

例文
  • 両者の虚虚実実の駆け引きには、こちらも息をのんだ
  • 虚虚実実の応酬で、負けずに応戦した

「嘘とまことをまぜた○○」という意味の使用例

「虚虚実実」のもつ「嘘を混ぜて相手の腹を読み合う」という意味では「虚虚実実とした○○」といった表現でよく用いられます。たとえば「虚虚実実とした議論」とは「(真実だけでなく)嘘を織り交ぜて言葉巧みに腹を探り合う議論」といったニュアンスです。

例文
  • 週刊誌のスキャンダルなど虚虚実実としたものだから、話半分くらいに読むのがちょうどよい
  • あの社長は虚虚実実とした応答で有名で、営業するのも一苦労だ

「虚虚実実」の類語とは

「虚虚実実」の四字熟語の類語は「手練手管」

「虚虚実実」と似た意味の四字熟語は「手練手管」です。「手練手管(てれんてくだ)」とは「人を騙して思い通りに操る技術、方法のこと」という意味です。

あの手この手で相手を騙し、思うままに操ることやその技術を指すとともに、それらを評価する意味で用いられます。

「権謀術策」「権謀術数」も類語として使える

「虚虚実実」と似た意味の表現では「権謀術策(けんぼうじゅっさく)」や「権謀術数(けんぼうじゅっすう)」といった四字熟語も挙げられます。

いずれも同じ意味を持つ表現で、「他人を騙し貶める策略のこと」という意味です。たとえば「虚虚実実の戦い」は「権謀術策の戦い」と言い換えることができます。

「腹を探り合う」という意味の類語は「駆け引き」

「相手の腹を探り合う、腹を読み合うこと」という意味では単に「駆け引き」と言い換えることも可能です。「駆け引き」とは「相手の出方などに応じ自分に有利になるようにすること」という意味で、相手を探るようなニュアンスを含みます。

また「嘘とまことを織り交ぜ相手の腹を探り合う様」は「心理戦」という表現も可能です。「心理戦」とは計画的に情報を操作し、相手の言動・判断を自分に有利になるよう誘導すること、という意味です。

まとめ

「虚虚実実」とは「互いに策略、計略を尽くして戦うこと、嘘と真を混ぜ相手の腹を読み合うこと」という意味の四字熟語です。元々は戦においては「実を避けて虚をついて戦うべき」という考えに由来する表現ですが、現代ではスポーツなどの勝負事に使う例も見受けられます。日常会話で頻繁に使う四字熟語ではありませんが、「虚虚実実の議論」など腹を読み合うことは現代のビジネスシーンでも多々あることでしょう。