「勘当」の意味や絶縁との違いとは?例文と法律上の手続きも紹介

「勘当」とは、親子の縁を切るという意味です。たとえばドラマで、借金をした息子に「お前なんてもう勘当だ!」と宣言するシーンがあります。この「勘当」とは、実際はどうすることを意味するのでしょう。

「勘当」の意味や法律との関係、また「絶縁」との違いもあわせて解説します。また「勘当するときの手続きとは?」についても紹介しましょう。

「勘当」の意味とは

「勘当」とは「親が子と縁を切る」という意味

勘当とは「親が子との縁を切ること」を意味します。ドラマのワンシーンでも見るように、親から子供に対して使う表現です。また、師弟関係や主従関係など上下のある関係性で、立場が上の者が下の者に対して使うこともあります。

「勘当」の読み方は「かんどう」

「勘当」は「かんどう」と読みます。「かんとう」ではなく「かん”どう”」と濁った読み方をするのが特徴です。

「勘当」の使い方と例文

「勘当する」「勘当される(された)」と使う

「勘当」は「勘当する」や「勘当される」「勘当された」という言い回しで使用されます。親子間だけでなく師弟関係などでも使うことができます。

例文
  • 以前から親子仲が悪かったが、とうとう息子を勘当したらしい。
  • うちの師匠は道具の手入れだけは厳しい。いい加減なしまい方をしただけで勘当された人もいるそうだ。

「勘当婚」とは勘当されても踏み切った結婚

「勘当婚」とは結婚したい相手を親に認めてもらえず、挙句勘当されたものの、その相手と無事に結婚したことを言います。勘当されても踏み切った結婚を指す表現です。たとえば「あの人と結婚するんなら親子の縁は切るぞ!」と反対されたのにも関わらず、その親を振り切ってするような結婚です。

「勘当」と「絶縁」の違いとは

「絶縁」とは「縁を断ち切ること」

「勘当」の類語では「絶縁」もあります。「絶縁(ぜつえん)」とは文字通り「縁を断ち切ること」や「関係を切ること」という意味を持ちます。似た意味の語には他にも「義絶(ぎぜつ)」があり、こちらもまた「縁を切ること、縁を断つこと」を指す熟語です。

「絶縁」は子供から親・兄弟間で使う

「勘当」は、親から子供など目上の者から目下に対して使う表現です。逆に「絶縁」は、対象を問わず広く使えます。たとえば、子供から親に対してあるいは兄弟間で縁を切るという場合は、「絶縁」という語を使用するのが適切です。

「勘当」と法律の関係・手続きとは

勘当では法律上の関係や戸籍は変わらない

日本において、江戸時代など古くは奉行所に「勘当」の届けを出していた時代もあります。現代においては、法的に「勘当」することは不可能です。

法律上、親子の縁を切ることや戸籍を抜くことはできません。つまり「勘当だ!」と啖呵を切っても実際には「勘当」という手続きは存在しないのです。

勘当されたら実際変わること

勘当されたら実際は何が変わるのかというと、「一人暮らしや住民票を移す」「連絡を取らない」「経済的な援助がない」などが考えられます。

同居していた場合は「勘当された側」が家を出ていくことが多いでしょう。同居していなかったケースでは、困ったことがあってもサポートがない、連絡が取れないということがよくある例です。

勘当して子供の借金を放棄する

親が子供を「勘当」する理由で多いのが子供の金銭トラブルです。子供を「勘当」し、子供の借金も当然払いたくないという場合にはどうしたらよいのでしょう。

まず、子供が作った借金であっても連帯保証人になっていない限り、支払う必要はありません。子供の借金返済が滞るなどして連絡が取れなくなった場合、住所や連絡先を教えてほしいという連絡が入ることもありますが、行方不明で音信不通として対応して問題ないでしょう。

勘当と相続権に関する手続き

「勘当」するような子供に相続をさせたくない、というケースも多いでしょう。子供の相続の権利をはく奪するには、家庭裁判所に「推定相続人排除調停申し立て」を行います。これにより、推定相続人の持っている相続権をはく奪することができます。

遺言書で推定相続人を廃除できる手続きも

もうひとつ、子供に相続をさせたくない場合は遺言書で推定相続人から廃除することもできます。この場合「公正証書遺言」のかたちを取るのがベターです。

「公正証書遺言」とは公証役場で公証人に作成してもらう遺言ののことで、公的に認められるタイプの遺言書になります。

「勘当」の英語訳とは

「勘当」は英語で「disowning」

「勘当」は英語では「disowining」という単語を使用します。動詞では「disown」となります。また「disinheritance」という語も「勘当」の意味で用いられる単語のひとつで、「disinheritance」には「相続権はく奪」という意味もあります。

このほか動詞「renounce」も使用可能です。「renounce」には放棄する、捨てるなどの意味に加え、縁を切るという意味を持つ単語で、この意味が「勘当する」のニュアンスになります。

「勘当」の英語訳を使った例文

  • She was disowned by her parents.
    彼女は両親に勘当された
  • She was renounced by her father.
    彼女は父親に勘当された
  • Because of this, he disowned his son.
    この件を理由に彼は息子を勘当した

まとめ

「勘当(かんどう)」とは「親が子との縁を切ること」を言います。親から子供に限らず、師弟関係のような上下のある関係性で使える表現です。逆に、子供から親あるいは兄弟間で縁を切ることは「絶縁」と表現することができます。

なお「勘当」を言い渡したとしても、戸籍など法律上の親子の縁を切ることはできません。子供に相続をさせないような方法はありますが、一般には別居し連絡を取らない程度しかできることはないでしょう。