退職の際には一言挨拶をしてから会社を去るのがマナーですが、この「退職挨拶」は何を述べればよいのでしょう。「退職挨拶」として口頭で簡単な挨拶をする場合をはじめ、メールや挨拶状のタイミングとマナー、例文を紹介します。また「退職挨拶」としてメール・ハガキを受け取った際の返信例についても触れています。
「退職挨拶」とは
退職時にはお世話になった人に挨拶するのがマナー
会社を退職する際には、仕事でかかわりのあった人に退職することとこれまでの感謝を伝えてから会社を去るのがマナーです。同じ部署の同僚をはじめ、入社時にお世話になった人へは感謝の気持ちを、取引先への「退職挨拶」では引継ぎを兼ねて後任者の紹介も行うのが通例です。
「退職挨拶」は口頭・メール・挨拶状の3パターン
「退職挨拶」は主に、口頭・メール・挨拶状の3つのパターンが挙げられます。本来、お世話になった方には面と向かって退職する旨を伝えるべきですが、やむを得ずメールで済ませることもあります。ただし本来メールは略式となるため、失礼のないよう配慮が必要です。
一斉メールと個別メールの違いは関係性
メールで「退職挨拶」をする場合、たとえば部署全体、事業所全体に一斉メールで退職の挨拶をしても失礼には当たりません。一方で、個人的にお世話になった人には一斉メールとは分けて個人宛てにメールするのが一般的です。
社内と社外ではタイミングも変わる
「退職挨拶」は社内では最終出社日に行うのが通例です。朝礼など日々のミーティングで一言挨拶を求められることもあれば、就業間際に部署の人を集めて簡単に挨拶することもあるでしょう。メールの場合も同様で、社内の人に宛てた「退職挨拶」メールは最終出社日の就業間際に送ります。詳しい時間帯は社内の慣習にならうとよいでしょう。
これに対し、社外への「退職挨拶」は最終出社日の2~3週間前に余裕を持たせて行うのが一般的です。この際、後任者の紹介も忘れずに行うのがマナーです。業務引継ぎのひとつとして早めに取り掛かります。
「退職挨拶」を口頭で行う場合の文例
「簡単に」「軽く一言」の退職挨拶文例
「○○さんが本日で退職となります。では一言○○さんから…」と挨拶を求められた場合には、これまでのお礼を簡単に述べる程度で問題ありません。時間にして30秒~1分といったところでしょう。
取引先への口頭挨拶では後任に触れる
取引先など社外への挨拶では、後任者を紹介するのが必須です。後任者を連れて挨拶に伺う、あるいは打ち合わせに後任者を同席させ退職の挨拶と後任者の紹介を兼ねることもあります。
この度、○月末で退職することとなりました。これまでいろいろとご指導いただきありがとうございました。
△月からは○○が担当させていただきます。今後とも引き続きご愛顧のほどお願いいたします。
パート、アルバイトはお礼のみでもOK
パートやアルバイトでも退職する際は職場に一言挨拶をするのがマナーです。朝礼やミーティングがある場合は、退職挨拶もその場で行われますが、みんなの前で挨拶するタイミングがない場合は、個別に声をかける例もあります。
本日をもちまして退職いたします。
至らない点もあり、皆様にはたくさん助けていただきました。
ありがとうございました。
最後になりましたが、皆様も体調に気を付けて頑張ってください。
「退職挨拶」のメール例文
社内への一斉メール文例
メールで「退職挨拶」を述べる場合でも、内容に大きな違いはありません。メールでの挨拶は略式となるため、一言「メールでのご挨拶で失礼します」と入れることが多いです。
加えて、一斉メールでは宛先に注意が必要です。「To」には自分のアドレスを入れ、送りたい相手は「Bcc」にして自分以外の誰に送られたかが分からないようにします。退職後の連絡先についても一斉メールでの記載は避けるのが通例です。
件名:退職のご挨拶
△△事業所の皆様
お疲れ様です。総務部 ○○ ○○です。
私事にて恐縮ですが、
本日3月○日を最終出社日とし、退職することとなりました。
本来ならば直接ご挨拶を申し上げるべきところですが、
メールでのご挨拶にて失礼いたします。
在籍中は至らない点も多々ございましたが、
いつもあたたかく叱咤激励をいただき、本当にありがとうござました。
大変御世話になりました。
皆様にご指導いただいたことを励みに、今後もより一層の精進をして参ります。
最後になりましたが、皆様のさらなるご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
今まで、本当にありがとうございました。
特にお世話になった同僚、上司へは個別にメール
個別にメールを送る場合は上記の文例に、エピソードを添えることが多いです。また「退職挨拶」のメールは最終出社日に送るのが通例ですが関係性によっては最終出社日の少し前に知らせることもあります。その際は不用意に周囲に広まらないような配慮が必要です。
(前略)
△△課長には、大変お世話になりました。
採用チームに入り、右も左も分からずご迷惑をおかけしたことも多々ありましたが、
熱心にご指導いただいたことには感謝の念が尽きません。
今後も教わったことを大切に、頑張ってまいります。
今まで本当にありがとうございました。
最後になりましたが、△△課長のさらなるご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
社外の人、取引先へは退職日と後任の記載を
取引先への「退職挨拶」メールでは退職日とあわせて後任者の名前と今後の窓口となる連絡先を記載します。この際「CC」の欄に後任者を追加しておくと、メールを受け取った人にもわかりやすいでしょう。
退職のご挨拶(株式会社△△ )
□□ 様
いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の ○○でございます。
私事にて大変恐縮ですが、
○月○日をもって退職する運びとなりました。
本来ならば直接ご挨拶を申し上げるべきところではございますが、
メールでのご連絡となります事をお詫び申し上げます。
在職中は□□様をはじめ、貴社の皆様には大変お世話になりました。
深く御礼申し上げます。
なお今後の対応につきましては、同じ部署の●●が務めさせていただきます。
後日改めて●●がご挨拶に伺いますので、
変わらぬお付き合い、ご指導の程よろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のご発展並びに□□様のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
「退職挨拶」の手紙文例
「退職挨拶状」は1か月前を目途に手配
「退職挨拶」では挨拶状としてハガキを出すことがあります。早い準備が特徴で、一般には1か月前を目途とすることが多いです。退職後に「●月●日を持ちまして退職いたしました」と知らせる例もありますが、退職後を想定する場合は退職日から3か月以内には送るべきとされています。
「退職挨拶状」の文例
謹啓 弥生の候ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、私儀三月末日をもって株式会社△△を退職することになりました。
在勤中は公私ともに格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
今後は、これまでの経験を活かして努力を重ねる所存でございます。
何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもってお礼かたがたご挨拶申し上げます。
末筆ながら、皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。
謹白
「退職挨拶」への返事やメールへの返信は?
個人宛てのメール、社外からのメールは必ず返信を
「退職挨拶」のメールを受け取った場合、一斉メール以外の個人宛てのメールおよび社外からのメールには返信します。一斉メールで「退職挨拶」を受け取った場合でも、お世話になった人には返信することもあります。
「退職挨拶」への返信文例
総務部 ○○さん
お疲れ様です。
○○さんには入社当初より大変御世話になりました。
業務はもちろん、社会人としてのマナーもよく知らずご迷惑をおかけしたことも多いかと存じます。
暖かいご指導に感謝申し上げます。
末筆ながら○○さんの新天地でのご活躍をお祈り申し上げます。
経理部 田中
まとめ
「退職挨拶」は口頭・メール・挨拶状の主に3つの手法がありますが、リモートワークなどから中々社員が一同に会する機会がなく、メールで済ませることも増えているかもしれません。メールでの挨拶は略儀となるため、「本来ならば直接~」とお詫びの一文を入れるのが特徴です。また、社内向けと社外向けではタイミングも異なるため、最後まで失礼のないよう、時期を逃さず対応しましょう。
私事ではございますが、本日をもちまして退職することとなりました。
皆様にはご迷惑をおかけしたこともあるかとは存じますが、色々とご指導を頂きましてありがとうございました。
今後もここで得たことをかてに、頑張っていきたいと思っております。
最後にはなりましたが、皆様のご活躍を祈念しております。
本当にありがとうございました。