「AとBでは雲泥の差がある」と違いを表すことがありますが、「雲泥の差」とはどういった状態、どのような違いを指すのでしょう。「雲泥の差」の意味と読み方をはじめ、その使い方を解説します。また「雲泥の差」と似た意味のことわざや故事成語のほか、英語訳についても紹介しましょう。
「雲泥の差」の意味とは
雲泥の差とは「非常に大きな違いのたとえ」
雲泥の差とは「非常に大きな違い」を意味することわざで、読み方は「うんでいのさ」です。「雲」は「天」、「泥」は「地」を指しています。「天と地ほどの差がある」というニュアンスで、物事の大きな差異を表す例えとして使われます。
由来は中国の詩人「白居易」の詩
「雲泥の差」とは、先述のように天と地を「雲」と「泥」に例えた表現です。「雲泥」の由来は、中国の唐代中期の詩人「白居易(はくきょい)」が書いた詩の一節「雲泥を隔つ」とされています。
日本でも、平安時代の貴族で漢詩人である「菅原道真(すがわらのみちざね)」の句に、「雲泥」という語を使った一節があります。
「雲泥の差」の使い方と例文
「雲泥の差がある」「雲泥の差だ」と使うことが多い
「雲泥の差」は、「雲泥の差がある」「雲泥の差だ」といった言い回しで用いられます。
たとえば、「AとBでは雲泥の差だ」は「AとBでは大きな差がある、全く異なる」という意味です。単に「大きな差がある」と表現するよりも「雲泥の差がある」のほうが違いを強調したニュアンスにとれるでしょう。
「雲泥の差」には優劣をつける意味合いはないものの、2つを比較して「どちらか一方が上である」というニュアンスでもしばしば使用されます。
「雲泥の差」を使った例文
- マネージャーと部長では、給料も責任も雲泥の差だ
- 彼女と僕の認識には、雲泥の差があるようだ
「雲泥の差」の類語のことわざ・四字熟語とは
類語のことわざは「天と地の差」「月とスッポン」
「雲泥の差」は「天と地の差」と言い換えられます。先述のように「雲」が「天」、「泥」が「地」の例えであるため、「雲泥」「天と地」のどちらを使っても意味に違いはありません。
また「天と地の差」と同様によく用いられる表現では、「月とスッポン」も挙げられます。「月とスッポン」はどちらも同じような丸い形であるものの、比較にならない程両者の違いが大きいことを例えた表現です。この「月とスッポン」は熟語「月鼈(げつべつ)」としても用いられます。
四字熟語の類語には「雲泥万里」も
「雲泥万里」もまた「雲泥の差」の類語で、大きく違っていることをたとえた四字熟語です。「雲泥万里」で「うんでいばんり」と読みます。
「万里」は非常に距離が長いことを表すため、「雲泥の差」の違いを強調したニュアンスになります。
不釣り合いな様を表すことわざは「提灯に釣鐘」
「提灯に釣鐘」とは「釣り合いが取れていないこと、比較にならないこと」のたとえです。どちらも吊り下げて用いる似た形のものなのに、提灯と釣鐘では重さは比べ物にならない程違うことに由来します。
もともとは身分が不釣り合いである様を指すことが多かったようですが、現代では「不釣り合いな様」全般に用いられます。
「雲泥の差」の反対語・対義語とは
反対語として使える故事成語は「五十歩百歩」
「雲泥の差」とは反対の意味を持つ表現では「五十歩百歩」が挙げられます。これは戦いにおいて50歩逃げた人が100歩逃げた人を“臆病だ”と嘲笑ったのに対し、両者ともに逃げたことには変わりないという中国の思想家「孟子」の寓話による故事成語です。
現代では「少しの違いはあっても本質的には同じである、似たり寄ったりである様」を指して「五十歩百歩」と使用します。
「大同小異」も大差がないことを表す反対語
「大同小異」もまた大きな違いはない様を意味する表現です。「大同」は「だいたい同じであること」、「小異」は「ごくわずかな違いであること」という意味です。似たり寄ったりで大差がないことを「大同小異」といいます。
「雲泥の差」の英語訳
英語では「world of difference」という慣用表現が
「雲泥の差」は英語では「world of difference」と表現します。似た表現では「all the difference in the world」も「雲泥の差」の英語訳として用いられます。
また「大きな違い」という意味では「big gap」などの表現も可能です。
「雲泥の差がある」の英語例文
- There is a world of difference between the two.
両者には雲泥の差がある - There is all the difference between our claims.
我々の主張には雲泥の差がある
まとめ
「雲泥の差」とは「天と地の差」という意味で、大きな隔たりや違いがあることを表します。単に「違いがある」というよりも「雲泥の差がある」と表現したほうが、違いをより強調したニュアンスにとることができるでしょう。
「雲泥の差」に優劣の意味合いはありませんが、比較するために上下で評価する際に用いられることも多いです。場合によっては不快な思いをさせることもあるため、気をつけたい表現です。