「厚かましい人だ」とはネガティブなイメージですが、「厚かましいお願いで恐縮ですが」と前置きして頼みごとをすると謙虚な印象になります。
本記事ではこの「厚かましい」について、詳しい意味と使い方を使用例・例文とともに解説します。「ずうずうしい」「おこがましい」との違いや英語訳とあわせて見ていきましょう。
「厚かましい」の意味とは
「厚かましい」の意味は「つつしみがない、遠慮がない」
「厚かましい」とは「行動や態度につつしみがない、ずうずうしく遠慮がない」という意味です。特に、迷惑をかけていると知っていながらも遠慮のない言動や態度、またそれを恥じる気持ちもない様を指し、基本的にはネガティブな意味合いになります。
「厚かましい」を方言として使う地域も
「厚かましい」は「つつしみがない様、遠慮がない様」を意味する標準語であり、ビジネスシーンでも耳にします。その一方で、方言としてその地域独特の意味で用いられることがあります。
たとえば兵庫県では「あつかましい=忙しい」、愛媛県では「あつかましい=うるさくてやかましい」という意味で使うことがあるようです。
「厚かましい」の使い方と例文
厚かましい人とは「遠慮がなくずうずうしい人」
「厚かましい」は言動を指して使ったり、遠慮のないずうずうしい性格を指して「厚かましい人」と使ったりすることが多いです。いずれも良い意味ではなく、批判的なニュアンスになります。
- 彼の厚かましい態度は、一瞬にして場の空気を悪くした。
- 彼女は自分が厚かましい人だ、ということに気づく気配は微塵もない。
「厚かましいにも程がある」と呆れる様を表す
「厚かましいにも程がある」とは度を超えて厚かましい様やその様子に呆れるような意味の表現です。「~にも程がある」とは「許容できる程度にも限度がある」という意味で、その限度を超えた行き過ぎた様を表します。
君のミスでみんなが困っているのに平然としているなんて厚かましいにも程がある。
「厚かましいお願いで恐縮ですが」はビジネスシーンでも
「厚かましいお願いで恐縮ですが~」とは、相手に何か依頼する際に用いられるフレーズです。自分の行動(依頼)を「厚かましいお願い」と表現することで、謙虚な意味合いになります。
たとえば、何か変更を依頼する際など、相手に迷惑をかけることが分かっている場合に「勝手なことで申し訳ないのですが~」という意味で「厚かましいお願いで恐縮ですが~」と使用します。「厚かましいお願いですが」は「身勝手なお願いとはわかっていますが」といったニュアンスです。
また、ビジネスシーンでは「厚かましいとは存じますが頂戴致します」と頂き物を受け取る際に使う例もあります。
- 厚かましいお願いで恐縮ではございますが、明日お時間を頂けないでしょうか。
- 厚かましいお願いではございますが、何卒よろしくご検討のほどお願いいたします。
「厚かましい」の類語と違いとは
「ずうずうしい」は自己中心的なニュアンスに
「厚かましい」の類語は「ずうずうしい」です。漢字では「図々しい」と書きます。「ずうずうしい」とは「自分勝手で迷惑をかえりみない態度や行動、厚かましい様」という意味です。
「厚かましい」と「ずうずうしい」はよく似た意味を持ちますが、自己中心的でわがままなニュアンスは「ずうずうしい」の方が強く、「厚かましい」は「遠慮がない様、恥じる気持ちがない」という意味が特徴的です。また、「ずうずうしい」の方がややくだけた表現である点も相違点として挙げられます。
「ふてぶてしい」は無遠慮かつ大胆な様が特徴
「ふてぶてしい」とは「開き直っていて図太い、大胆不敵な様」という意味です。怖いものはないもない、というように大胆でかつ無遠慮な様を表すのが特徴です。
「遠慮がない」という「厚かましい」の意味に、「ふてぶてしい」は「図太く大胆である」というニュアンスが加わります。
「おこがましい」は身の程をわきまえない様
「おこがましい」には「みっともない」という意味もありますが、一般には「出すぎている、さしでがましい」などのように身の程をわきまえない様を表します。
たとえば、目上の人に意見する際に「わたしが言うのもおこがましいのですが…」と使う例が挙げられます。単に遠慮がないというよりは、立場の違いを感じさせる表現です。
「無遠慮」「無神経」などに言い換えも
「厚かましい」は「無遠慮」や「無神経」などの語に言い換えることもできます。「無遠慮」は「遠慮のないこと」、「無神経」は「他人の気持ちを気にかけないこと」という意味です。たとえば「厚かましいやつだ」は「無遠慮なやつ」「無神経なやつ」などと表現することも可能です。
「厚かましい」の英語訳とは
「厚かましい」の英語訳は「imprudent」「cheeky」
「厚かましい」の英語訳では、「imprudent」や「cheeky」「shameless」などの英単語が使用できます。
「imprudent」は「prudent(慎重な、用心深い)」を打ち消した表現で、「無分別な、不謹慎な」などの意味を持ちます。「厚かましい」と和訳されることもある単語です。
「cheeky」は「生意気、厚かましい、ずうずうしい」などの意味を持ちます。「shameless」は「恥知らずな」という意味で、「厚かましい」の持つ「恥を恥とも思わない」というニュアンスに通じる単語です。
He is really cheeky!
彼は本当に厚かましいやつだ。
「厚かましいお願いで恐縮ですが」の英語訳
「厚かましいお願いで恐縮ですが」の英語訳では先述した英単語は使用しないことが多く、「ask too much」という表現を使用します。「ask too much」で「無理を言う、難題を持ち込む」という和訳になります。
たとえば「I’m afraid that I’m asking too much, but~」で「無理を言っているとは承知していますが=厚かましいお願いですが~」というニュアンスです。
まとめ
「厚かましい」とは「行動や態度につつしみがない、ずうずうしく遠慮がない」という意味で、相手に迷惑をかけていることを知ったうえで無遠慮な行動をとる様を表します。「厚かましい人」「厚かましい態度」と一般には悪い意味で用いられる表現です。
一方でビジネスシーンでは「厚かましいお願いですが~」とクッション言葉として使うことで相手に少し無理なお願いをすることを詫びる、謙虚なニュアンスでも使用されます。