「武者震い」の意味と使い方とは?怒りや緊張に使える類語も解説

「大事な商談を前に武者震いがした」というとどういった心情・状況をイメージしますか?「武者震い」は文字通り体が震えることを意味しますが、特定の心理状況でのみ使うことができる表現です。「武者震い」の意味と使い方を例文で詳しく解説します。また怒りや緊張に使える類語や言い換え表現も紹介しましょう。

「武者震い」の意味とは

「武者震い」とは「気持ちがたかぶり震えること」

「武者震い(むしゃぶるい)」とは「気持ちがたかぶり、興奮のために体が震えること」という意味です。大事な試合を前に闘志がみなぎり興奮することがありますが、そのように気持ちがたかぶり体が小刻みに震える様を表します。

語源は戦に向かう武士の姿

「武者震い」の「武者」とは武士や侍を指し、戦に向かう際に気持ちが高揚し体が震える様を「武者震い」と表現したことに由来します。戦を前に恐怖心で震える様に由来すると解釈されることもありますが、これから挑む戦いへの興奮から体が震える様を語源とする説が正しいようです。

また、武士や侍のイメージから「武者=男性」ととらえがちですが、言葉として性別を限定する意味を持たないため、「武者震い」も性別を問わずに使用されます。

「武者震い」の使い方と例文

「武者震いがする」と興奮を表す

「武者震い」は「武者震いがする」「武者震いがした」といった言い回しで、興奮し体が震える様を表します。他にも「武者震いが止まらない」などといった表現も可能です。

例文
  • 大きなプロジェクトを任され武者震いがしている。
  • いよいよこの日を迎え、武者震いが止まらない。

「武者震い」は緊張ではなくいい意味で興奮する様に使う

「武者震い」は先述のように「興奮して」というニュアンスが特徴的で、同じシーンでも極度の緊張から体が震えるような様とは異なります。基本的にはいい意味で興奮したり気持ちが高ぶったりしている様に使用します。

一方で、本当は緊張して震えが止まらないのに「ただ興奮しているだけだ」と強がるようなニュアンスで用いられる例もあります。

例文

ただの武者震いだから気にしないで。大丈夫、ちょっと興奮しているだけだから。

病気・寒さのほか怒りによる震えにも使わない

「武者震い」の誤った使用例では、病気や寒さなどに使う例も挙げられます。先述のように「武者震い」はただ単に震える様を表す語ではないため、高熱で悪寒がするような震えには使用できません。また「怒りに震える」と強い怒りを表すことがありますが、この意味で「武者震い」を使うのも誤りです。

「武者震い」を止めるには?

「武者震い」は重要な局面で起こりやすい

興奮による体の震えを意味する「武者震い」は、一般に重要な局面や勝負事に直面した際におこりやすいとされています。たとえばスポーツで言うと大事な試合を前に絶対に勝とうと闘志を燃やすような場面が良い例です。ビジネスではかねてから希望していた仕事を任され興奮から体が震える様などが挙げられます。

「武者震い」を止めるには深呼吸が効果的

「武者震い」を止めるには、興奮する気持ちを静める必要があります。そのためには深呼吸が効果的です。特に、息を吸うよりも息を吐く時間を長くとるように意識するとよいとされています。

一方で、冷静さを保った適度な興奮状態は勝負事にプラスにはたらくこともあります。「武者震い」を神経質に捉えすぎないのもいいかもしれません。

「武者震い」の類語

「身震い」は恐怖や寒さにも使える

「武者震い」と同様に、からだが震える様を意味する語では「身震い(みぶるい)」があります。「身震い」とは「からだを振り動かすこと、寒さや恐ろしさなどからからだが震え動くこと」という意味です。たとえば「外が思いのほか寒く身震いした」「前回の失敗が脳裏に浮かび怖くなり身震いした」といった使い方ができます。

「武者震い」が興奮した状態、気分が高揚した状態で体が震える様を表すのに対し、「身震い」は同じ状況でも幅広い心情に使えるのが相違点です。

「戦慄」は恐怖で体が震える様を表す

恐怖で体が震える様は「戦慄(せんりつ)」という語でも表すことができます。「戦慄」は「恐ろしくてからだが震えること」という意味で、「戦慄するようなホラー映画が好きだ」などと使うことが可能です。

「高揚」も興奮している様を表す

「武者震い」の興奮している様という心理状態は「高揚」という語が類語と言えるでしょう。「高揚(こうよう)」とは「気分が高まること」という意味で、「高揚して身震いした」と使うと「武者震いした」と同じニュアンスになります。

興奮状態を「アドレナリン」を使って表現することも

「アドレナリン」とはホルモンのひとつで恐怖や不安、興奮などから緊張状態になり交感神経系が優位になった際に分泌されます。この「アドレナリン」を使い、「アドレナリンが出る」という言い回しで興奮状態を表すことがあります。会話では「アドレナリン出まくり」という表現で興奮状態にあることを表すこともあるでしょう。

「武者震い」の英語訳

「武者震い」は英語で「tremble with excitement」

「武者震い」は英語では「tremble with excitement」と表現することができます。「tremble」が「震える」、「with excitement」が「興奮して」という意味で、「tremble with excitement」で「興奮して震える」というニュアンスになり、「武者震い」の英語訳として使うことが可能です。

「武者震い」の英文例

  • I’m trembling with excitement.
    武者震いしている。
  • He trembled with excitement before the match.
    試合の前、彼は武者震いしていた。

まとめ

「武者震い」とは武士が戦に向かう際に興奮から震えた様に由来した表現で、気分が高揚し興奮したことでからだが震えることを表します。「興奮状態から震える様」というニュアンスが特徴で、緊張や恐怖、寒さなどでからだが震える様には本来使用できません。読み取る際も、緊張や恐怖ではなく気分が高揚している様にとるのが正しいです。