「コロンブスの卵」の意味と由来とは?例文解説や言い換え表現も

「コロンブスの卵」とは、探検家コロンブスにちなんだ表現です。知育パズルなどのおもちゃやゲーム、ビジネスシーンでは物事のたとえとして用いられます。

慣用表現としての「コロンブスの卵」の意味と由来、その使い方を例文で詳しく解説しましょう。また、「コロンブスの卵」の言い換え表現についても紹介しています。

「コロンブスの卵」の意味と語源とは

コロンブスの卵とは「最初に成し遂げることの難しさ」の例え

「コロンブスの卵」とは「誰にでもできそうな事柄でも、最初に取り組み成し遂げることは難しいこと」を例えた表現です。裏を返せば、どんなに素晴らしいこと、難しいことでも誰からが達成した後では簡単に思えるという意味にもとることができます。

また、「一見誰でも思いつきそうなことでも最初に行うこと、考えつくことは難しい」という意味から派生し、「気づきそうで気づかない盲点」という意味もあります。

由来・語源はイタリア人探検家「コロンブス」の逸話

「コロンブスの卵」は、ヨーロッパから大西洋を横断しアメリカ大陸に到達したことで知られるイタリア人探検家「クリストファー・コロンブス」の逸話に由来します。

コロンブスは新大陸発見後にあるパーティで「あなたがやらなくても誰かが新大陸に到達していたはずだ」と自分の発見を軽々しく揶揄されます。それに対しコロンブスは、その場にあった卵をテーブルに立ててみるよう呼びかけるのです。丸い卵を前に皆が苦戦している中、コロンブスは卵のお尻を潰して立てて見せました。

このコロンブスのやり方を真似れば卵を立てることは簡単ですが、それを最初に実践できたのが彼しかいなかったように「最初に取り組むのは難しい、気づきそうで気づかない盲点」の例えとして「コロンブスの卵」という言い回しが生まれたとされています。

「コロンブスの卵」の由来が実際は嘘という説も

「コロンブスの卵」は卵を立てることができるかどうか、という逸話に由来するとされていますが、このエピソードは嘘でフィクションだという説もあります。

似たエピソードをもとに作り出されたとも考えられていて、語源には疑念が残るようです。しかし、例えとしての「コロンブスの卵」の意味は変わらず、今なお使用されます。

「コロンブスの卵」の使用例・例文

最初にやり遂げることの難しさを表す

「コロンブスの卵」は最初にやり遂げることの難しさの例えとして用いられます。誰もやったことがない事柄や初めてチャレンジすることの難しさを「コロンブスの卵」と表すことができます。

例文
  • コロンブスの卵と同じで我が社初となるこのプロジェクトは難しいものになると思う。
  • 今では育休後の女性社員も多く活躍しているが、私が産んだ頃はまさにコロンブスの卵で周囲の理解を得るのも大変だった。

気づきそうで気づかない盲点の例えに使う

「コロンブスの卵」は前代未聞で誰も気づかない盲点を表す際にも使用します。たとえば「彼の発言はまさにコロンブスの卵だった」は、単純だが人に言われるまで気づかなかった、盲点だったというようなニュアンスです。

例文

まさにコロンブスの卵のような、ありそうでなかった商品だ。

「コロンブスの卵的発想」とは斬新なアイディア

「気づきそうで気づかない盲点だった」と似たニュアンスですが、発想の転換や斬新なアイディアを指して「コロンブスの卵」あるいは「コロンブスの卵的発想」という表現で使うこともあります。

たとえば「彼の発言はまさにコロンブスの卵だった」という先述の例文は、「彼の発言はコロンブスの卵的発想だった」と言い換えることもできます。

例文
  • コロンブスの卵的発想で、誰かいい案はないか?
  • 今必要なのはもっと斬新な、コロンブスの卵的発想だ

「コロンブスの卵」の言い換え・類語

「コロンブスの卵」を「発想の転換」に言い換える

「コロンブスの卵」は、文脈によって「発想の転換」という表現に言い換えることができます。「コロンブスの卵」よりも直接的な言い回しです。

たとえば「彼の提案はまさにコロンブスの卵だった」は、「彼の提案はまさに発想の転換だった」としても同じニュアンスになります。

「大胆な発想」「自由な発想」などに言い換えも

「コロンブスの卵」は、他にも「大胆な発想」「自由な発想」といった表現にも言い換えられます。「私たちに必要なのはコロンブスの卵的発想だ」は「必要なのは大胆な発想だ、自由な発想だ」としても意味が通ります。

「パラダイムシフト」も考え方の劇的な変化を表す

「パラダイムシフト」とは、ある時代や集団を支配する考え方が劇的にシフトすること、という意味です。特に、社会の規範や価値観が変わる様を指して用いられます。大きく発想を転換する様は、「コロンブスの卵」と似たニュアンスがあるとしてしばしば紹介されます。

「コロンブスの卵」の英語訳とは

「コロンブスの卵」の英語訳は「Egg of Columbus」

「コロンブスの卵」は、英語で「Egg of Columbus」あるいは「Columbus’ egg」となります。たとえば「Your idea is just like Columbus’ egg.」は、「君の考えはまさにコロンブスの卵のようだ」という意味です。

「発想の転換」は英語で「lateral thinking」とも

「コロンブスの卵」を「発想の転換」の意味合いで英語訳すると、「lateral thinking」という表現になります。「lateral thinking」とは「横に考えを広げる思考方法」、つまり「自由な発想」というニュアンスです。「ラテラルシンキング」とカタカタで用いられることもあります。

まとめ

「コロンブスの卵」とは「簡単に見えても初めて行うことは難しいこと」のたとえです。「気づきそうで気づかない盲点」という意味や「コロンブスの卵的発想」のように、誰も気づかないような独創的な考え、あるいは発想の転換というニュアンスで使います。

イタリアン人探検家「コロンブス」の逸話が由来ですが、実際はフィクションだという説もあります。