「政府のスポークスマン」「企業のスポークスマン」と組織の前面に立つ人はしばしば「スポークスマン」と呼ばれます。この「スポークスマン」とは、具体的にどういった人を指すのでしょう。
この記事では「スポークスマン」の意味をはじめ、政府や企業などの例と「スポークスマン」の言い換え表現を紹介します。
「スポークスマン」の意味とは
スポークスマンとは「政府や団体の意見を発表する担当者」
「スポークスマン」とは、わかりやすくいうと「政府や組織、団体の意見を発表する担当者」のことです。もともとは「誰かに代わって話すことを仕事とする人」という意味で、主に政府や団体の意見を公表するポジションの人を「スポークスマン」と呼びます。
ポイントは、「スポークスマン」が口にすることはその組織の総意であって、個人的な見解ではないという点です。
語源は英語「spokesman」で日本語と同じ意味
「スポークスマン」は英語の「spokesman」に由来する表現です。その意味は日本語とほぼ同じで、「代弁者、代表者」という意味で用いられます。
たとえば「a government spokesman」は「政府のスポークスマン」を意味します。
性別を限定しない「スポークスパーソン」がベター
「スポークスマン」は英単語の”man”つまり”男性”のニュアンスを含むため、性別を考慮して「スポークスマン」「スポークスウーマン」と分けて使う例もあります。さらに、性別によって使い分けるのではなく、「スポークスパーソン」のように性別を固定しない表現を使うことも多いです。
諸外国では「spokesman」ではなく「spokesperson」や「spokespeople(複数形)」の表現を使用します。
「スポークスマン」の日本や海外での使い方
日本では「内閣官房長官」がスポークスマンを担う
日本では「内閣官房長官」が「スポークスマン」としての役割を担います。
ニュースでも目にすることがありますが、日本ではよく内閣官房長官が記者会見を行なっています。あれは政府としての立場を公表する「スポークスマン」が内閣官房長官であるからです。
「日本のスポークスマン」「(日本)政府のスポークスマン」いった場合はいずれも「内閣官房長官」を指します。
アメリカや中国のスポークスマンは「報道官」
アメリカや中国の「スポークスマン」は「報道官」が担います。
アメリカの場合は「ホワイトハウス報道官」が「スポークスマン」の役割を果たし、この「ホワイトハウス報道官」は大統領補佐官を兼務していることが多いです。日本の官房長官が政治家であるのに対し、アメリカの報道官は官僚である点が大きな違いです。
一方、中国の場合も「報道官」という肩書きの人物が「スポークスマン」としての役割を担います。このアメリカや中国の例のように「スポークスマン」に「報道官」や「報道局長」などの肩書きを持つ人物を当てる国は少なくありません。
「スポークスマン」のその他の使い方と例文
企業では「広報」が「スポークスマン」を担う
企業としての「スポークスマン」は主に広報部が担当します。報道機関からの取材をはじめとしたメディア対応は広報が担うように、「スポークスマン」としての役割も広報部が担うのが通例です。
「企業の広告塔」という意味で使う例も
一方で「企業のスポークスマン」という場合、「企業の広告塔」としての人物を指す場合があります。この場合、企業の広報担当者ではなく、スポーツ選手などの有名人を起用するのが通例です。
「スポークスマン」を皮肉を込めて使う例
「スポークスマン」は自分の意見を述べるのではなく、組織や団体としての決定や方針を話す人です。そのため、ただ指示されたことを言うだけの人、自分の考えがない人とやや皮肉をこめて「彼はスポークスマンにすぎない」などといった表現で用いられることもあります。
当然ながら、「スポークスマン=考えなし」という認識は誤りで、自分の意見を述べないというのは「スポークスマン」としての役割を果たしているに過ぎません。
「スポークスマン」の例文
- A社のスポークスマンとして新商品のリリースに立ちあう。
- 海外でも活躍するB氏はこの度、我が社のスポークスマンとなることが決定した。
「スポークスマン」の言い換え表現と違いとは
日本語では「代弁者」に言い換えられる
「スポークスマン」は日本語では「代弁者」に置き換えることができます。「代弁者」とは「本人の代わりに話す人」という意味です。
また、その組織や団体の方針などを話す人という意味では「担当者」としても意味が通じる場合があります。たととば「A社のスポークスマンによると〜」は「A社の担当者によると〜」とすることも可能です。
スポークスマンとアンバサダーの違い
ブランドの広告塔を指す意味では「アンバサダー」が類語です。「アンバサダー」とは「大使、広報大使」という意味で、「ブランドアンバサダー」の表現でもよく用いられます。端的にいうと「広告塔」のようなニュアンスです。
「企業の広告塔」という意味では「スポークスマン」と「アンバサダー」は似た意味合いになりますが、「アンバサダー」には「代弁者」の意味はなく、「PRしてくれる存在」という意味にすぎません。また「アンバサダー」自身がその商品が好きであり、企業のファンであるケースが多いのが「アンバサダー」の特徴です。
まとめ
「スポークスマン」とは「誰かに代わって話すことを仕事とする人」という意味で、主に政府や組織の意見を発表する人を指して用いられます。「スポークスマン」は自分の意見を発表するのではなく、組織や団体の意見の代弁者であるのが特徴です。また、企業の広告塔のような人を指して「スポークスマン」と使う例もあります。