不動産売買や賃貸契約で「仲介業者」「仲介手数料」といった表現をよく目にしますが、「仲介」はほかにも「取引を仲介する」などといった使い方をすることもあります。本記事では「仲介」の詳しい意味と類語「媒介」との違い、「仲介」の使い方について解説します。
「仲介」の意味とは
仲介とは「当事者の間に立ちまとめる」という意味
「仲介」とは「当事者の間に立ち便宜をはかり、まとめること」という意味です。第三者が間に入って問題解決に努めることや話がスムーズに進むよう取りまとめることを指します。
「仲介」の読み方は「ちゅうかい」
「仲介」は「ちゅうかい」と読みます。「仲」とは「人と人との間、なかだち」という意味、「介」とは「間に入る、なかだちをする」という意味です。いずれも「なかだち」という共通の意味を持ちます。また、「介」の字には「助ける」という意味もあります。
「仲介」の使い方と例文
「仲介する」「仲介に入る」と使う
「仲介」は「~を仲介する」「仲介に入る」などの言い回しで用いられます。いずれも間に入って人をつなぐ、仲直りをさせる、というニュアンスになります。良いニュアンスでの使用はもちろん、「法に触れるような悪いことを紹介する」という意味でも用いられる表現です。
「仲介」を使った例文
- 前職の縁から、A社とB社を仲介することになった
- 議論が白熱しすぎて喧嘩腰になったため、やむを得ず仲介した
仲介人・仲介役とは「間を取り持つ役割の人」
「仲介人」や「仲介役」とは、間を取り持つ人を指します。縁談でも用いられる表現で、たとえば「二人の仲介人はわたしです」というと、「二人の縁をつないだ人、出会いの橋渡しをした人」というニュアンスです。
「仲介」の不動産業界での使い方とは
仲介役の不動産会社を「仲介業者」という
「仲介業者」とは主に「仲介役の不動産会社」を指す表現です。「売主と買主の間にたって、契約を成立させる会社」のことで、売主に代わって買主を見つけるための業務や契約締結に伴う諸手続等を担います。売買契約に限らず、賃貸契約でも同様の役割を果たす業者を指して使用します。
一般には不動産会社、不動産の取引において使うことが多い「仲介業者(会社)」という表現ですが、「間に立ち契約をとりもつ会社」という意味では不動産に限らず使用することができます。
仲介手数料とは「不動産会社に支払う手数料」
「仲介手数料」とは不動産の賃貸あるいは売買において、物件所有者との間に入った不動産会社に支払う手数料です。
不動産の取引においては、物件の所有者と借主・買主が直接取引(契約)するケースはまれで、一般には不動産会社が間に入ります。その物件の紹介や契約書作成などの諸手続きを行う不動産会社に支払う手数料として「仲介手数料」が発生します。「仲介手数料」は契約成立時に支払うため契約が成立するまでは費用は発生しません。
「仲介手数料の相場」は家賃1ヶ月分または無料も
「仲介手数料」の相場は、賃貸物件の場合家賃の1ヶ月分+消費税です。この「仲介手数料」は、法律で最大「家賃1か月分+消費税」と定められています。不動産の売買契約においても同様で法律による定めがありますが、目安としては一般に「売買価格×3%+6万円+消費税」と言われます。
一方で、不動産賃貸においては「仲介手数料無料」の物件もあります。これは不動産会社が管理している物件で入居後に収入源が期待できる場合、あるいはオーナー側から成約報酬が得られる場合などが多いです。早く入居者を探してほしい、というオーナー側の要望が反映されているケースもあります。
「仲介手数料」は交渉することも可能
「仲介手数料」は、値下げ交渉も可能です。契約意思が固まった段階で「予算的に厳しいが値引きしてくれたらすぐ入居したい」などの交渉してみましょう。ただし、閑散期(4~8月)以外はほかにも入居したい人が見つかりやすいため値下げが難しいことが多いです。
「仲介」と類語「媒介」の違いとは
媒介とは「なかだちすること」という意味
「仲介」とよく似た語に「媒介」があります。「媒介(ばいかい)」とは「両方の間に立ってなかだちをすること、とりもつこと」という意味です。
「仲介」と「媒介」の違いはほぼない
「仲介」と「媒介」の意味に大きな違いなく、一般には同じ意味の語ととらえて問題ありません。
不動産業界における「仲介」と「媒介」もまた似たニュアンスですが、一般には「仲介」の方が広く用いられます。「媒介」は不動産売却のシーンでの使用が主で、宅地建物取引業法で用いられる法律用語としての側面を持ちます。
伝染病には「仲介」ではなく「媒介」を使う
「仲介」と「媒介」は意味に大きな違いはないものの、伝染病に関しては「媒介」を使うのが通例です。たとえば「感染症を媒介する」とは、病原体を保持する生物が人を刺咬するなどして感染させることをいいます。
「仲介」の類語は「仲立ち」「橋渡し」なども
「仲介」のそのほかの類語では「仲立ち」が挙げられます。「仲立ち」もまた「間に立ってとりもつこと」という意味です。また、「仲介する」の類語では「橋渡しをする」という語も挙げられます。「橋をかけるように間を取り持つ」という意味です。
「仲介」の英語訳とは
「仲介」は英語で「mediation」
「仲介」を意味する英単語は「mediation」です。動詞では「mediate」となります。「仲介人」という意味では「mediator」という語もあります。また、同じく「仲介人」を意味する表現では、「間に入る人」という意味で「middleman」という表現も可能です。
「仲介」の英語例文
- I’m working as a mediator for you.
わたしがあなたの仲介役となります。 - I always play middleman when my coworkers fight.
同僚がもめるたびに仲介している。
まとめ
「仲介」とは「間に入って取り持つこと、便宜をはかりまとめること」という意味です。「仲介する」「仲介に入る」などの表現の他、不動産契約における「仲介会社」「仲介手数料」の表現でもしばしば見聞きします。
類語「媒介」は一般には同じ意味でとらえて問題ありませんが、感染症については「仲介する」ではなく「媒介する」と表現するのが通例です。