「解散」とは?「清算」との違いや会社の解散・衆議院の解散権も

アイドルグループやバンドが「解散」というニュース報道を見聞きすることがありますが、「解散」は「衆議院解散」「企業の解散」といった使い方もします。本記事では「解散」の意味をはじめ、分野別の使い方も紹介します。また企業の「解散」と「精算」の違い、「解散登記」などについても解説しましょう。

「解散」の意味と使い方とは?

解散とは「集まっていた人がばらばらになること」

「解散」とは「集まっていた人がわかれて、ばらばらになること」という意味です。集会が終わり集まっていた人が散っていく様のほか、会社・法人などの組織を所定の手続きを経て解消させること、という意味もあります。

「解散する」「解散した」と使うことが多い

「解散」は「解散する」「解散した」と使うのが一般的です。

「解散」を使った例文
  • 部長の挨拶をもって、解散となった
  • 2000年代に一世を風靡したバンドが、来月解散するらしい

このほか、帰路を共にせず出かけた先で「解散する」という意味で「現地解散」のように、名詞で使う例もあります。

【会社】解散と精算の違い・解散の費用とは?

解散とは「会社を廃業すること」を意味する

「会社を解散する」と使った場合の「解散」は、わかりやすくいうと会社を廃業することを意味します。業績悪化や後継者不在などの理由で継続が困難な場合に、法人格を消滅させる行為が「会社の解散」です。

会社の「解散」は株主総会で決議し、所定の手続きを経て行われます。

「精算」とは解散における債権債務の整理

会社を「解散」することが決まったら、財産や債権債務を整理する必要があります。それが「精算」です。もう少し具体的にいうと、会社の資産をお金に換え、債権者に対する弁済を行います。

会社の「解散」決議を経て、「精算手続き」をスタートすることになります。

「解散登記」とは外部に解散を知らせる手続き

「解散登記」とは会社の「解散」が決まった後に、外部に広く公示する手続きのひとつです。具体的には、法務局で「解散登記」と「精算員選任登記」の手続きをとります。

「解散登記」のあと、精算の具体的な動きが始まります。最後に精算が結了し、「精算結了」の登記を行うと会社は消滅するという流れです。「解散登記」から「清算結了」までの費用として、41,000円の登録免許税が必要になります。

「解散公告」とは債権者に解散を伝える手続き

会社の「解散」に関する諸手続きのひとつに「解散公告」があります。会社の「解散」は官報での公告が義務付けられていて、これには30,000円の費用がかかります。

会社の「解散」を官報で公告する意味は2つあります。まずは、債権者に対して解散を知らせること、そして期間内に債権を申し出るように伝えることです。

会社が解散公告をしなかった場合、認識していない債権者が「うちにも未払いがありますよ!」と出てくる可能性があります。どの債権者も精算手続きから外れることがないように、公告するというわけです。

【衆議院】解散の時期はいつ?解散権とは?

解散とは「任期満了前に議員資格を失わせること」

「衆議院の解散」とは、任期満了前に全議員の議員資格を失わせることを意味します。衆議院で内閣不信任決議が可決された場合、10日以内に衆議院を「解散」するか内閣総辞職をしなければならないことが憲法にて規定されています。

国会で「解散」が認められているのは衆議院のみです。

「解散権」は総理大臣の伝家の宝刀とも呼ばれる

衆議院の「解散」は、先述の内閣不信任決議によるもの(憲法69条)以外に、憲法7条にも規定があります。憲法7条では、内閣の助言と承認による天皇の国事行為として位置付けられています。

憲法7条による「解散」は、内閣総理大臣が事実上その時期を決められることが特徴です。そのため、「解散権は総理大臣の専権事項」「伝家の宝刀」と表現されることもあります。

「解散」の対義語とは?

「解散」の対義語は「集合」

「解散」の対義語は「集合」です。集まっていた人が分かれ、ばらばらになるという意味の「解散」に対し、「集合」はひとつの場所に集まることを意味します。

「設立」も対義語として使える

「会社の解散」のように「組織がなくなること」の対義語としては、「設立」が挙げられます。「設立」には会社や団体など、組織を新しくつくるという意味があります。

「解散」の英語訳とは?

「解散」は英語で「dissolution」「dissolve」

「解散」を意味する英単語は「dissolutinon」です。「解散する」という動詞では「dissolve」を使用します。「dissolution」および「dissolve」は、議会や法人の「解散」に対して使える英単語です。

これに対し「会合などの解散」という意味では「breakup(名)」を使用します。動詞では「break up」となります。

「解散」の英文例

  • The parliament has dissolved.(議会は解散した)
  • The meeting broke up at 11 o’clock.(会は11時に解散した)

まとめ

「解散」とは集まっていた人がばらばらになることという意味です。「解散する」「解散した」と使うほか、 ニュースでは「衆議院の解散」、ビジネスでは「会社の解散」という表現でもしばしば見聞きします。

なお、「会社の解散」に関してはさまざまな手続きがありますが、「会社の解散」は会社を廃業することを、「精算」は債権債務の整理を意味する点で言葉の使い方が異なります。