「すかさず」の意味とは?使い方や例文と「たまらず」との違いも

「すかさず抗議した」「すかさず予約した」とは、いずれもスピーディな行動を感じさせる表現ですが、「すかさず」は具体的にどういった様を表すのでしょう。

「すかさず」の意味とその使い方を例文で解説します。また、「すかさず」とよく似た使い方をする「たまらず」「間髪を入れず」などの類語や英語訳も紹介します。

「すかさず」の意味と語源とは

「すかさず」とは「間をおかずにすぐさま」という意味

「すかさず」とは「間をおかずにすぐに行動する様」という意味です。自分にめぐってきた機会・チャンスを逃さないようすぐに行動する様、直ちに対応する様を「すかさず」といいます。

「すかさず」の語源は漢字「透かさず」

「すかさず」は漢字では「透かさず」と書きます。「透」という字には「すく、すかす、すきとおる」などの意味がありますが、このうち「すく」とは「すきまが生じる」ことを意味します。つまり、「透かさず」は「すきまをあけず=時間をあけず」という意味になるのです。

なお、「透かさず」と漢字で書くことはあまりありません。一般的には「すかさず」と、ひらがなで使用します。

「すかさず」の使い方と例文

「すかさず○○する」と使う

「すかさず」は「すかさず○○する(した)」という形でよく用いられます。たとえば「すかさず反論した」「すかさず予約する」などいった使い方が可能です。

例文
  • 上司のバカにしたような言い回しに、すかさず彼は反論した。
  • 社内コンペが行われると聞き、すかさず手を挙げた。

「チャンスを逃さず」というニュアンスで使う

「すかさず」には「機会を逃さないようすぐさま」というニュアンスがあるため、ここぞというチャンスがやってきた時に使うことが多いです。

たとえば、「品切れだった商品がついに入荷したので、すかさず購入した」は「入荷して購入できる絶好のチャンスを逃さないようすぐに購入した」という意味合いになります。

他にも、「急に雨が降り始めたので、すかさず目の前のタクシーを捕まえた」など、何らかの好機が巡ってきた際に使用します。

「すかさず」の類語・言い換え表現

「すかさず」の類語は「すぐに」「直ちに」

「すかさず」は「時間をあけずに」というニュアンスから、「すぐに」「直ちに(ただちに)」などが類語として挙げられます。他にも「即座に」なども時間を空けずに行動する様を表す単語です。

「間髪を入れずに」と言い換えることも

「間髪を入れず(容れず)」とは「すぐに、ほとんど間をおかずに」という意味です。文字通り「間に髪の毛一本入る余地もない」ほど少しの時間も許さないほど素早い様を表します。「すかさず反論する」は「間髪を入れずに反論する」としても同じ意味になります。

なお、「間髪」の正しい読み方は「かんぱつ」ではなく「かんはつ」です。

「たまらず」は我慢できない様を意味する

「上司の理不尽な対応にたまらず抗議した」のように「たまらず○○する」という言い方をすることがあります。「すかさず」と「たまらず」は語感や使用シーンが似ていますが、厳密には異なるニュアンスを持ちます。

「たまらず」は「耐えることが限界である様、感情などを我慢できない様」という意味です。たとえば「たまらず抗議した」は「我慢できずに抗議した」というニュアンスになります。「すかさず」はスピードに言及する表現であり、「耐えられずに」といった心情は含まれません。

「つかさず」は「すかさず」の誤用

「すかさず」と同じ意味で「つかさず」という表現を使う人がいますが、「すかさず」の聞き間違いによる誤用と考えられます。

一方で、間髪をいれない様、緊張が続く様を表す言い回しでは「息もつかせぬ(息もつかせず)」という表現があります。文字通り「息をつく暇もないほど」という意味の表現で、「息もつかせぬ早業だ」などといった使い方が可能です。

「すかさず」の英語訳とは

「すかさず」は英語で「instantly」「promptly」

「すかさず」を意味する英単語では「instantly」や「promptly」などがあります。いずれも「すぐに、すぐさま、速やかに」などの意味を持つ単語です。英語で「すぐに」というニュアンスの表現はほかにもたくさんあり、「quickly」や「immediately」などといった単語もよく用いられます。

「すかさず」の英文例

  • The rumor about him instantly spread throughout the office.
    彼の噂はすかさず社内に広がった。
  • He decided promptly.
    彼はすかさず決裁した。

まとめ

「すかさず」とは「間をあけずにすぐさま」という意味で、特に「チャンスを逃さずすぐに」というニュアンスを含むのが特徴です。「すかさず反論した」は「(反論のチャンスを逃さず)すぐに反論した」という意味になります。

「すかさず」と似た文脈で使う表現に「たまらず」がありますが、「たまらず」は時間的なスピードに言及するのではなく、感情が抑えられずにというニュアンスを持つ点で異なります。言い換えても文章自体は通じますが、微妙なニュアンスが変わってくる点は覚えておきましょう。