「忌」という字はネガティブなイメージを持つ人も多いですが、「忌々しい記憶」「忌々しい人だ」とはどういった様を表すのでしょう。「忌々しい」の持つ意味をはじめ、その使い方を例文で詳しく解説します。また「忌々しい」の読み方や「忌々しい」と「忌まわしい」「禍々しい」など類語との違いについても紹介します。
「忌々しい」の意味と読み方
「忌々しい」とは「非常に腹立たしく思う様」という意味
「忌々しい」とは「非常に腹立たしく思う様」という意味です。物や人などが気に入らず不愉快に思う様、しゃくにさわる様を「忌々しい」といいます。
「忌々しい」の読み方は「いまいましい」
「忌々しい」は「いまいましい」と読みます。「忌」という字には「いむ」「いまわしい」という読みがあり、「いむ、いまわしい、嫌い」などの意味を持ちます。
「忌々しい」を「ゆゆしい」と読むと異なる意味に
「忌々しい」は「ゆゆしい」と読まれることがあります。ただし、この読み方は現代では一般的ではなく、その意味も「程度が甚だしい、重大である」と変わってきます。また、「ゆゆしい」の漢字表記は「由々しい」が一般的で、「忌々しい」という表記で「ゆゆしい」と読むことはまずないでしょう。
古語・古文では「不吉である、慎むべきである」の意味も
「忌々しい」には古語として「不吉である、慎むべきである」という意味もあります。「忌む(いむ)」とは元々、不吉なものを避けて慎むという意味です。そこから「残念だ」という意味やさらには現代の「腹立たしい、しゃくにさわる」といった意味へと派生したと言われています。
「忌々しい」と「忌まわしい」は意味に違いあり
「忌々しい」と似た語で「忌まわしい」がありますが、この二つは意味の異なる単語です。
「忌まわしい」とは「不吉な」という意味です。一方の「忌々しい」は先述のように「腹立たしい」という意味が現代では一般的であり、ニュアンスは異なります。
「忌々しい」の使い方と例文
「忌々しい記憶」「忌々しい世界」などと使う
「忌々しい」は「忌々しい〇〇」の形で用いられることが多く、たとえば「忌々しい記憶」「忌々しい世界」などの言い回しをよく耳にします。端的にいうと「忌々しい記憶」は「(今思い出しても)腹立たしい記憶」、「忌々しい世界」は「腹立たしい世界」という意味になります。「忌々しい世界」は特に今の状況に漠然とイライラとしているようにも取れるでしょう。
- 新人だからといって雑用を押し付けられるのはなんとも忌々しいことだ。
- 前職のパワハラ上司のことは今思い出しても忌々しい記憶のひとつだ。
「忌々しい気持ち」は腹立たしく思う様を表す
「忌々しい気持ち」とは「腹立たしく思う気持ち、しゃくにさわる気持ち」を表します。たとえば「仕事がうまく行かず忌々しい気持ちを隠せない」とは仕事がうまくいかないことを腹立たしく思う気持ちが強いことが伺えます。
また、「忌々しい気持ち」という意味では「忌々しいことに〜」と使う例もあります。
忌々しいことにこの繁忙期に接待が入った。
「忌々しい人」「忌々しい女」とは
「忌々しい」は人に使った場合も「腹立たしい人」というニュアンスになります。「ムカつく人」というとわかりやすいかもしれません。たとえば理不尽な人、自己中心的な人、自慢ばかりで話を聞くのもうんざりするような人などは「忌々しい人」の良い例です。
上司に媚びを売ってポイント稼ぎばかりするなんて本当に忌々しいヤツだ。実績で勝負してほしい。
「忌々しい」の類語・言い換え表現
「忌々しい」の類語は「腹立たしい」「苦々しい」
「忌々しい」の類語では「腹立たしい」や「苦々しい」があります。「腹立たしい」とは「しゃくにさわる、腹が立ってくる」という意味、「苦々しい」は「非常に不愉快である」という意味です。
「禍々しい(まがまがしい)」とは「不吉な様」
「禍々しい」とは「悪いことが起きそうな様、不吉な様」という意味です。「忌々しい」も古くは「不吉な様」という意味で用いられていましたが、現代では「腹立たしい」という意味で使うのが通例です。そのため「忌々しい」と「禍々しい」を類語として言い換えに使うのは難しいでしょう。
「忌々しい」の英語訳
「忌々しい」は英語では「irritating」「annoying」
「忌々しい」という意味を持つ英単語では「irritating」「annoying」「disgusting」などが挙げられます。「irritating」「annoying」はいらいらさせる、腹立たしいという意味を、「disgusting」は嫌味に感じさせるという意味も持つ単語です。
「忌々しい」の英文例
- What a annoying wind!
なんて忌々しい風だ! - What a disgusting man he is!
なんて忌々しいやつだ!
まとめ
「忌々しい」とは「腹立たしい、しゃくにさわる」という意味です。人や物に対して「忌々しい人」「忌々しい○○」の形で使用します。古語としては「不吉である」という意味で用いられますが、現代では「忌々しい=腹立たしい」という意味で使用するのが通例で、「不吉な」という意味では「忌まわしい」という語が適切です。同じ漢字を使った非常によく似た語ですが、「忌々しい」と「忌まわしい」は区別して覚えておきましょう。