「首相」と「大統領」の違いとは?歴代首相と最短の在職日数も

「首相」とは行政トップの大臣のことで、内閣総理大臣の通称です。では、似たように重要な役職である大統領とはどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では、「首相」の意味に併せて、大統領との違いや、主な日本の歴代首相や最短・最長の在職日数のほかに、「首相」という言葉の類語なども紹介します。

「首相」の意味と読み方とは

「首相」とは「行政トップの大臣」

「首相」とは、行政トップの大臣になります。行政とは法律や政令にしたがって政治を行うことですが、「首相」は行政でも国家の行政を担当する最高機関である内閣の首席の大臣です。

「首相」とは「内閣総理大臣の通称」

「首相」とは、内閣総理大臣の通称です。内閣総理大臣は内閣の首席の大臣で、国務大臣になります。

「首相」という言葉は中国の王朝である宋の頃に使われていた言葉で、内閣における首席にある相、つまり大臣という意味でした。日本で「首相」に相当する役職は「内閣総理大臣」のため、「首相」という言葉が内閣総理大臣の通称として使われるようになりました。

「首相」は「しゅしょう」と読む

「首相」は「しゅしょう」と読みます。「首」と「相」という漢字を音読みして「しゅそう」と読み間違えてしまうこともあるようですが、正しい読み方は「しゅしょう」です。

「相」という漢字は、音読みに「そう」と「しょう」があり、大臣という意味で「相」を使うときには「しょう」と読むというルールがあります。

「首相」は英語で「prime minister」

「首相」は英語で「prime minister」と表現します。「prime」が主要なという意味で、「minister」は大臣です。

「首相」を使った英語例文

“The current Prime Minister of Japan is Mr. Fumio Kishida.”
「現在の日本の首相は、岸田文雄氏です」

「首相」と「大統領」の違い

首相と大統領の違いは「立法権の有無」の違い

首相(内閣総理大臣)と大統領の違いは国によって違うのですが、日本の首相とアメリカの大統領で比べると、「立法権をもっているかいないか」の違いがあります。首相は立法権を持っていて、大統領は立法権を持っていません。立法権のある首相は法律を制定する権利がありますが、大統領にはその権利はありません。

しかし大統領の権限が弱い国においては、首相が行政のトップであるのに対して、大統領は形式的にしか存在しないこともあります。

大統領の行政権は首相の行政権よりも強い

日本とアメリカを比べると、首相と大統領の両方とも行政権がありますが、行政権の内容に違いがあります。日本では、首相が率いる内閣は国会と連帯して責任を負うことが法律で定められていますから、国会と連帯しなくては行政権を使えません。それに対して、アメリカの大統領は、行政府の首長としての役割があり、行政権において強い権限を持っています。

日本の歴代首相と在職日数

初代首相は伊藤博文、最長政権の首相は安倍晋三

日本にはこれまで100代の首相がいます。初代の首相は伊藤博文で、伊藤は首相を務めた回数が最も多い首相でもあり、第1代、第5代、第7代、第10代首相を務めました。

もっとも在職日数が長かった歴代首相は安倍晋三で、第90代と第96代から第98代まで首相を務めて、その在職日数は3,188日にもなりました。

現在の日本の首相は岸田文雄

2022年現在の日本の首相は岸田文雄です。1957年生まれで、早大法学部を卒業後、日本長期信用銀行員を務めてから、実父の岸田文武衆議院議員の秘書になりました。93年の総選挙で初当選後、第二次安倍政権で外務大臣を務めて、2021年9月に第27代自民党総裁に選出されて首相になりました。

首相最短の在職日数は「54日」

歴代首相のなかで、現職の岸田首相を除くと、最短の在職日数は54日の東久邇宮稔彦王(ひがしくにのみや なるひこおう)です。東久邇宮首相は初の皇族出身の首相で、第二次世界大戦後の混乱の中で、連合国軍が日本に進駐する中で国内の秩序を維持しなくてはならないという厳しい行政を強いられました。連合国軍総司令部との折衝など、戦後処理を任せられた内閣でしたが、最後は連合国軍総司令部からの信頼を失い、総辞職になったと言われています。

東久邇宮首相に続いて在職日数が少ない首相は、羽田孜(在職日数64日)、石橋湛山(在職日数65日)、宇野宗助(在職日数69日)などです。

「首相」を使った用語の意味とは?

「首相官邸」とは首相が執務を行う建物

「首相官邸」とは、首相が執務を行うための建物で、東京都千代田区永田町にあります。首相官邸では、首相だけでなく内閣官房長官も執務を行えるようになっていて、閣議などが開かれます。

「首相動静」とは首相の行動のこと

「首相動静」とは首相の行動という意味です。マスコミでよく使われる言葉で、その日の首相がどのように行動したのか、何をどこで行ったのかをまとめたものを「首相動静」として伝えられます。

「首相」の類語

首相の類語は「内閣総理大臣」や「総理大臣」など

「内閣総理大臣」は首相の本来の役職の名前であることから、「首相」の類語です。また、な内閣総理大臣を略した名称「総理大臣」「総理」も首相の類語として使われています。

「宰相」も首相の類語

「宰相(さいしょう)」とは首相という意味の言葉で、首相と同義語です。「宰相」はかつて中国の皇帝を補佐する立場の官を指した言葉でした。

まとめ

「首相(しゅしょう)」とは内閣総理大臣の通称として使われている言葉です。「首相」の類語には総理大臣や総理、宰相などもあります。「首相」と「大統領」を比べると、首相は立法権を持っていて、また行政権については国会と連帯して責任を負うという違いがあります。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。