「カースト制度」の意味とは?歴史や職業・スクールカーストも

「カースト制度」とは「インド特有の身分階層制度」のことで、インド政府は廃止したはずの制度なのですが、まだ色濃く根付いています。

この記事では、「カースト制度」の意味や歴史のほかに、階級ごとの職業を解説。また日本で「カースト」を用いた用語である「スクールカースト」や「ママカースト」の意味も説明します。

「カースト制度」の意味

「カースト制度」とは「インド特有の身分階層制度」

「カースト制度」とは階層にもとづく身分制度のことです。インド特有の身分制度と言われていて、バラモン(司祭階層)クシャトリヤ(王族・武人階層)バイシャ(庶民階層)の再生族と呼ばれる上位の3階層に、シュードラと呼ばれる再生族に奉仕する階層から成り立ちます。また、カースト制度外の階層が最下層として不可触民も後に加わります。

さらに、「ジャーティ」と呼ばれる血縁や職業などで結びついた共同体もあり、その数は3000ほどにもなると言われています。

「カースト」はポルトガル語「カスタ」が由来

カースト制度の「カースト」という言葉は、ポルトガル語「カスタ」が由来しています。「カスタ」とは血統や家柄を意味しています。ポルトガル人が、カースト制度を形成する共同体のひとつであるジャーティ集団を「カスタ」と呼んだことから、「カースト」という言葉が生まれました。

カースト制度ができた理由と歴史

カースト制度は古代インドのヴァルナが起源

カースト制度は、古代インドのヴァルナが起源だと言われています。「ヴァルナ」とは身分階層のことで、カースト制度はこのヴァルナをもとに紀元前800年ごろには成立していました。

当時ですでに、バラモン(司祭階層)、クシャトリヤ(王族・武人階層)、バイシャ(庶民階層)、シュードラ(バラモン・クシャトリヤ・バイシャに奉仕する階層)と呼ばれる4つの階層ができ上っていました。さらにその下に被差別民がいましたが、当時の法典であった「マヌ法典」は、この被差別民を1階層として認めていません。しかし、紀元後にはこの被差別民を不可触民として1階層と認めて、全部で5つの階層ができあがります。

もう一つのカースト「ジャーティ」が生まれる

8世紀ごろになると、インドでは新たに「ジャーティ」と呼ばれる共同体が生まれます。「ジャーティ」は、生まれや血縁、家柄、職業などで結びついた集団のことです。ジャーティはヴァルナとは別に細分化しながら形成されていった経緯があり、現在のジャーティ集団の数は2000~3000あると言われています。

カーストの序列化がカースト制度になった

インドの中世には、ヴァルナごとに暮らす共同体があり、いつしかヴァルナの各階層が一緒に暮らすようになります。ヴァルナの異なる階層の人々が共同生活をするようになると、上下の序列関係が生まれました。それが、カースト制度の始まりです。バラモンを頂点にして、クシャトリヤ、バイシャ、シュードラ、不可触民と続く身分制度ができて、大部分の人々がシュードラか不可触民に属しました。

初期のカースト制度は地域単位で成立していたのですが、後にインド国家の身分制度として成立します。

カースト制度は現在でもインドに根付いている

現代のインドではカースト制度は法律によって禁止されているのですが、依然として、カースト帰属を意識させられることがあります。例えば、職業によっては各カーストで世襲していて、他のカースト出身者を受け入れないことがあります。また、異なったカースト同士では結婚はできない、または食事も一緒にはしないなどの慣習が残っています。

カースト制度と階級

「バラモン」とは司祭階級

「バラモン」とは司祭階級のことで、カースト制度において最上層に位置する階層です。バラモンは、バラモン教の儀式を執り行い、学問の教授も行います。サンスクリット語ではブラーフマナと言い、インド哲学やインドの宗教の発展に貢献しました。

「クシャトリヤ」とは王侯・武士階級

「クシャトリヤ」とは王族や武士からなる階級で、カースト制度ではバラモンに続く2番目の階層です。地域の支配や統治を主に行うのですが、古代インドではすべての王族や武士がクシャトリヤに属していたわけではなく、かなり閉鎖的な階層でした。中世になってクシャトリヤに属する王族や武士は増えましたが、地方によってはクシャトリヤがいない地方もありました。

「バイシャ」とは庶民階級

「バイシャ」は庶民階級で、カースト制度で上から3番目の階層です。農民や手工業者などが属する階層で、現在でも多くの商人カーストのバイシャに属しています。

「シュードラ」とは隷属民

「シュードラ」とは隷属民の階級で、カースト制度で上から4番目の階層です。シュードラは上位の階級であるバラモン・クシャトリヤ・バイシャに奉仕して、上位の3階層は死んでも再生できますが、シュードラは再生できないなどの差別がありました。

「不可触民(アウトカースト)」はカースト外の最下級

「不可触民(アウトカースト)」は最下級のカーストで、初期のカースト制度では1階層として認められていませんでした。不浄な人とされて、学問や婚姻、寺院への入場なども制限されました。

インドでは1949年に不可触民という言葉は禁止されて、55年には不可触民に属する人々への差別も禁止していますが、現実的にはその慣習は残っています。

カースト制度の職業一覧

階層代表的な職業
バラモン司祭。現代では、弁護士、官僚など
クシャトリヤ王族、武士
バイシャ農業、牧畜業、商業
シュートラバラモン・クシャトリヤ・バイシャの奴隷階級
不可触民皮革加工、水運び、道路の清掃、糞尿汲み取りなど

「カースト制度」と日本人

「スクールカースト」とは「生徒間の上下の序列関係」のこと

日本で使われているカーストが用いられている用語のひとつに「スクールカースト」があります。「スクールカースト」とは、学校のクラスなどで生徒間での上下の序列関係のことです。生徒の間での力関係や噂などから作られる序列で、上位から1軍、2軍、3軍と呼ばれる階層で構成されています。

スクールカーストは2005年ごろから社会問題となり、1群に属する生徒が下位層の生徒をいじめるなどのハラスメントが報告されています。

「ママカースト」とは「ママの上下の序列関係」のこと

「ママカースト」はママ友カーストとも呼ばれて、子どもの能力や世帯収入、マンションで住んでいる階層などさまざまな理由から形成されたママ(子供を持つ母親)の間での上下の序列関係のことです。

2010年代から都市部でママカーストができるようになり、上位のママによる下位のママのいじめなどが社会問題になりました。

まとめ

カースト制度とはインド特有の身分の階級制度で、インド政府はカースト制度を廃止したとしていますが、現在でも階級の違いが職業選択などに影響しています。日本ではスクールカーストのような「カースト」を用いられた用語があり、上下の序列関係という意味で使われています。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。