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「ラマ(リャマ)」とはどんな動物?特徴やアルパカとの違いを紹介

「ラマ」は「リャマ」などの別名で呼ばれることもある動物です。アンデス地方では、高地で生活できる家畜として重宝されています。「アルパカ」の方が馴染みがある人や、違い・見分け方が分からない人も多いようです。また、「つばをかけてきて怖い」という声もあります。「ラマ」がどんな動物なのかをご紹介しましょう。

「ラマ」の概要

「ラマ」とはラクダの仲間

「ラマ(英語表記:llama)」とは山岳や高原などの高地に生息する動物です。綱偶蹄(ぐうてい)目ラクダ科で、ラクダに似ていますが背中のコブはありません。毛の色は白や茶色、またはその2色がまだらになっています。主に牧草を食べる草食動物です。

南アメリカのアンデス地方(国名ではペルー、チリ、コロンビアなど)では家畜として重要視されています。

「ラマ」は「グアナコを家畜化した」とされる

「ラマ」は野生種がいません。そのため、似たラクダ科の動物「グアナコ(英語表記:guanaco)」を家畜化したものだとする説もあります。ただし、疑問視する意見もあり定説にはなっていません。

グアナコも、ラマと同じくアンデス地方に分布する動物です。見た目も良く似ていますが、グアナコの方が毛が短く、すっきりしています。

「リャマ」はラマの別称のため違いはない

「リャマ」は「ラマ」の別称です。呼び方が違うだけで同じ動物を意味することから、両者に違いはありません。

他にも、「ヤマ」「ジャマ」や「アメリカラクダ」などの別称があります。

「ラマ」の特徴とは?

「ラマ」は高地に適応できる

「ラマ」は高地に適応し、体調を崩さず活動できる動物です。そのため、標高が高いアンデス地方で重宝されています。

通常、高地は空気が薄くなるため、人間を含む多くの動物は高山病の危険性があります。高山病とは、酸素が薄い環境に適応できずに、体調を崩してしまう病気です。しかし、ラマは高地でも体調を崩しません。血液中の酸素結合能力が高いため、空気が薄くても問題ないと考えられています。

「ラマ」は怒ると「つば(胃の内容物)」で攻撃

ラマは怒ると「つば」のような液を吹きかけて攻撃します。実際にはつばではなく、胃液などの胃の内容物です。耳を後ろに伏せているときは機嫌が悪いので、距離を取った方が良いかもしれません。

このせいで「怖い」と思う人もいますが、気性自体は穏やかで人懐っこい動物です。

「ラマ」はいつどこで利用される?

「ラマ」は運搬がメインの多用途な家畜

「ラマ」は家畜として多用途に使われています。その中でも主な用途が「物の運搬」です。人を乗せることはできませんが、高山でも40kg程度の荷物を運べます。

毛や皮は、織物や紐の材料になります。固めのため衣類には向いていません。

肉は食用になります。保存食として干し肉をつくる技術も豊富です。

「ラマ」の糞は燃料になる

「ラマ」は糞も有効に活用されます。糞は肥料の印象が強い人もいるかもしれませんが、ラマの糞の用途は「燃料」です。アンデスでは木材が貴重なため、糞を燃料にしていました。現在でも一部の地方では、煮炊きに糞を活用しています。

「ラマ」は宗教行事にも使われていた

インカ帝国の時代、「ラマ」は宗教行事でも重要な動物でした。神々へ捧げる生贄として、国家規模でラマを飼育していたと言われています。ラマの内臓を使って、占いも行われていました。

インカ帝国とは、アンデスの高原にあった帝国です。1200年頃に生まれ、1532年にスペインに征服されました。

「ガードラマ」として他の家畜を守る

「ガードラマ」とは、他の家畜を肉食動物から守るラマのことです。ラマだけでなく、グアナコや後述するアルパカも含まれます。

ラマは本能的に周囲を警戒し、胃液を吐いたり蹴り飛ばしたりして侵入者を追い払おうとします。時には肉食動物を殺してしまうほど、苛烈に攻撃するようです。

人間のような責任感はないため過信はできませんが、ヒツジやヤギ、ニワトリを守るために「ガードラマ」は活用されています。

日本での「ラマ」は動物園の人気者

日本では「ラマ」は動物園で飼育されています。「大きな目がかわいい」という意見もあり、人気者です。人間に体を撫でられることが好きな個体もいます。

家畜の場合は主に牧草を食べさせますが、動物園では野菜などを与えることもあるようです。

「ラマ」と「アルパカ」の違い

「アルパカ」も高山で飼う家畜

ラマに似た動物が「アルパカ(英語表記:alpaca)」です。ラマと同じくラクダ科で、アンデス地方の鉱山で飼う家畜です。食肉にしたり糞を燃料にしたりと、多用途な点も共通しています。見た目も似ていて、区別しづらいと感じる人も多いようです。

日本では2000年代にテレビCMでマスコットキャラクターのように取り上げられたことで、人気と知名度が高まりました。

「アルパカ」との違いは「耳」と「用途」

ラマとアルパカの主な違いは「耳」です。ラマの耳はバナナのように丸くて長い耳をしています。アルパカはラマより短い耳です。

家畜としての主な用途も違います。先ほど説明した通り、ラマの主な用途は物の運搬です。一方、アルパカは採毛して衣類に利用するのが主な用途です。

個体差はありますが、性格にも違いがあるとされます。ラマの方が人懐っこく、アルパカの方が臆病で人に慣れない傾向があります。

まとめ

「ラマ」は怒らせたり怖がらせたりしなければ、人懐っこく穏やかな動物です。アンデス地方では古代文明の頃から人々の生活を支えていました。「アルパカ」との見分け方を覚えて、動物園にふれあいに行くのも楽しいかもしれません。