「脚注」の意味とは?目的・使い方と注釈や参考文献との違いも解説

論文や本を読んでいると「脚注」にでくわすことがあります。「脚注」にはどういった意味があり、またどのような目的で用いられるのでしょう。「脚注」「文末脚注」の意味をはじめ、使い方や書き方、付け方について解説します。また、似た意味を持つ「注釈」や「参考文献」との違いについても触れています。

「脚注」の意味とは

「脚注」とは「下につける注記のこと」、読み方は「きゃくちゅう」

「脚注」は「きゃくちゅう」と読み、「本文の下の方につける注記」を意味します。書物や論文などの本文の下、ページの下の方に、本文とは別に記される注記が「脚注」と呼ばれます。

「文末脚注」は「脚注」を文末にまとめて記載すること

「文末脚注」は文字通り「脚注」を文末にまとめたもののことです。「脚注」の内容にもよりますが、文章の途中ではなく、文章の最後のページに記載する場合があります。

「脚注」は英語で「footnote」

「脚注」は英語では「footnote」といいます。「footnote」には「脚注」のほか「補足説明」という意味もあります。

「脚注」のことをカタカナで「フットノート」と呼ぶこともありますが、これは「footnote」の読みをそのまま使用した表現です。

「脚注」の使い方・付け方

「脚注」は補足の説明を行うために使う

「脚注」は、本文中の用語の解説など、本文の内容をさらに細く説明するため、補足の説明をするために用いられます。文章の中で、特定のワードや特定のフレーズをより詳細に説明するのが目的です。

文中に「脚注記号」、ページ下に説明を

「脚注」を記載する際はまず、文章中の説明したい語句に「脚注記号」と呼ばれる特定の記号をつけます。その上で、ページの欄外に細かい説明を書くのが通例です。この「脚注記号」は米印(※)の場合もあれば、1から順にナンバリングすることも多いです。

たとえば、ワードの場合は「脚注」を入れたい語句の終わりにカーソルをあわせ、「参考資料」のタブから「脚注の挿入」を選択します。

同じ内容の場合は同じ「脚注記号」を使う

「脚注」には参考にした文献や引用した文献を記載することも多いですが、同じ文献である場合や同じ内容の「脚注」を挿入する場合は繰り返し書くことはしません。同じ「脚注記号」を使用するのが通例です。

たとえばワードの場合は「参考資料」のタブから「相互参照」を選択、参照する項目として「脚注番号(書式あり)」を選び、既存のどの「脚注」を使うかを選択すると同じ「脚注」に紐づけることができます。

「脚注」の書き方の例

「脚注」をどう書くかは細かい決まりがあるわけではありませんが、ページの下部に記載されることを考えると簡潔な記載が求められると言えるでしょう。たとえば本文中の内容を捕捉する例では次のような「脚注」が挙げられます。

1 ○○に関しては2017年の△△社の案件を参照

「脚注」と「注釈」の違いとは

「注釈」とは「説明が必要な場合に用いる注意書き」

「注釈(ちゅうしゃく)」とは「文章中の言葉に説明が必要な際に用いる注意書き」です。わかりづらい専門用語などには「注釈」を使うことで、本文の流れを邪魔することなく説明することができます。

「脚注」は「注釈」の一種

「脚注」は「注釈」のひとつです。「脚注」は「注釈」のなかでも、ページの下の方に書いたものを指します。これに対し「注釈」は、場所を限定せず広い意味での「注意書き」を指す点で異なります。「脚注」は「注釈」の場所を指定したもの、ともいうことができるでしょう。

「脚注」と「参考文献」の違いとは

「参考文献」とは利用した文献を意味する

「参考文献」とはその文章を書くにあたって参考にした本や論文、資料などを表します。文献そのものを指すほか、論文に記載したリストを「参考文献」と呼ぶ例もあります。

「脚注」の方が幅ひろい情報に使える点が違い

「参考文献」はあくまでも文献(本や論文など)の情報を記載するものです。これに対し「脚注」は文言の補足説明など幅広い内容が記載される点で異なります。

「脚注」に「参考文献」を記載する例も

「脚注」には「参考文献」の情報を記載することもあります。「脚注」にしっかりとした文献情報を記載していれば、文末に「参考文献」を一覧で載せる必要はありません。

たとえば本文中記載した内容に対して「脚注」として次のように論文の詳細を書く例が挙げられます。

例文

1 山田太郎「○○の多様化と変容」△△学会誌.2001.3号.p.9~36

ただし、「脚注」ではスペースの都合などで一部省略した記載をすることも多いです。著者・出版年・タイトル(論文の場合は掲載雑誌・巻号数・ページ数)まで揃っていなければ出典元としては不十分なので、その場合は改めて参考文献リストを末尾に記載します。

引用箇所は「引用文献」として追記

「参考文献」と似た表現で「引用文献」があります。「引用文献」とは参考に留まらず、本文中に引用・言及した文献を指します。本文中でその内容に言及していない場合は「参考文献」となります。

まとめ

「脚注」は本文の下、ページの下の方に本文とは別に書かれる注意書きのことです。本文中で説明したい語句に番号をふり、その番号に対応する形で文章の下の方に説明を書く、というやり方が一般的です。文末に全てまとめて記載する「文末脚注」という手法もあります。

「注釈」は「脚注」よりも広義で、書かれる場所を問わず注意書き全般を指す表現です。一方の「参考文献」は執筆にあたって参考にした文献を指します。