「感傷に浸る」の意味とは?使い方や類語「エモい」と対義語も解説

昔のことを思い出し想いを馳せる様は「感傷に浸る」と表現されることがあります。この「感傷に浸る」とは具体的にどういった心理状態に使うのでしょう。「感傷に浸る」の意味と使い方を例文で解説します。また「感傷にふける/おぼれる」との使い分けや「エモい」などの類語、英語訳についても紹介しましょう。

「感傷に浸る」の意味とは

「感傷に浸る」とは「切ない心理状態に入りきる様」

「感傷に浸る」とは「心の痛むような気分、感じやすい雰囲気に入りきること」という意味です。すっかり感傷的な気分になり、心が苦しくなるような切ない心理状態に入りきる様を「感傷に浸る」と表します。

「浸る」という言葉の意味から、瞬間的な感情というよりはすっかり入りきるというニュアンスが読み取れます。

感傷とは「感じやすく同情したりする気持ち」を意味する

「感傷に浸る」の「感傷」とは、「感じやすくすぐ悲しんだり同情したりする気持ち、複雑な感情が揺れ動く様子」を意味します。この意味から、「感傷に浸る」とは何かにつけて涙もろい様や何かと悲しい方へと受け取りがちな心理状態ともいうことができるでしょう。

「感傷に浸る」の使い方と例文

「嬉しい」より「切ない」心理状況に使う

「感傷に浸る」は「嬉しい!」と喜ぶ様というより、複雑に感情が揺れ動くセンチメンタルな心境を表します。たとえば、引越し準備中にその家での出来事を振り返ったときに寂しさに似た物悲しい気持ちに包まれることがあります。これが「感傷に浸る」の良い例です。

他にも行きつけのお店が閉店することを知った時なども良い例でしょう。また、夏の終わり・きれいな夕焼けなど美しくもはかないものを見た際に切ない感情になる様子も挙げられます。

好きだったもの・懐かしいものに出会ったときも使う

自分が昔好きだったものや懐かしいものに出会った際も「感傷に浸る」ことがあります。たとえば、昔の恋人を思い出した時や懐メロを聞いて当時を思い出し、いろいろと思いを巡らせる様も良い例です。

またこれといった理由もなく、日々の不安やストレスなどからふとしたタイミングで「感傷に浸る」例もあります。

「感傷に浸る」の例文

  • 感傷に浸るのもいいが引越し作業はまだまだ序盤だよ?これじゃ日が暮れてしまう。
  • ガラリと変わった生活様式になれたつもりでいたが、ふと先の見えない状況に感傷に浸ることもある。
  • 夏の終わりに言いようのない悲しさを感じ、しばし感傷に浸ってしまった。

「感傷に浸る」の類語や言い換えとは

「感傷にふける」「感傷におぼれる」に言い換える

「感傷におぼれる」もまた、「物事に感じて心を痛めること、複雑な感情に揺れ動く様」を表します。「おぼれる」のほうが夢中になって囚われているようなニュアンスにもとることができます。

「感傷にふける」も似た意味を持つものの、過去の出来事・過去の感情を思い出している様に使用するのが特徴です。ただし明確に区別せずに使用されることもあり、この限りではありません。

「エモい」はいい意味合いでも使える類語

「エモい」とは最近の若者ことばのひとつで、「エモーショナル」を語源とします。「エモーショナル(emotional)」とは「感情に動かされやすい」という意味です。「感傷に浸る」と似たニュアンスで使うことも可能ですが、悲しみに限らず「嬉しい」「楽しい」などいい意味合いでも使える点が異なります。

「センチメンタル」とは「悲しみなど悲哀の感情に揺れやすい様、悲哀や切なさに浸る様」という意味です。「感傷に浸る」とは非常に近いニュアンスを持つワードです。

「感傷に浸る」の対義語とは

「感傷に浸る」の対義語は「無感動」

「感傷に浸る」と反対の表現は「無感動」です。切ない心理状態に入り切るという意味とは反対に、あらゆる感情に対して反応しない様、心を動かされない様を表します。

「感傷」の対義語には「鈍感」も

「感傷」の対義語では「鈍感」も挙げられます。「感傷」が「物事に感じやすい心理状態・傾向」を意味するのに対し、「鈍感」は「感覚や反応が鈍いこと、気が利かないこと」という意味です。

また、「感傷」の対義語では「穏和」もあります。この「穏和」は心が落ち着いていて穏やかなことという意味です。

「感傷に浸る」の英語訳とは

「感傷に浸る」は英語で「be sentimental」

「感傷に浸る」は英語では「be sentimental」と表現できます。英単語「sentimental」には涙もろい、感情に流されるなどの意味があります。

また動詞「sentimentalize」を使用して英訳することも可能です。「sentimentalize」とは「感傷的になる、感傷的に考える」という意味です。

「感傷に浸る」の英語例文

  • Don’t sentimentalize the past.(過去に対して感傷にふけるな)
  • Don’t be sentimental.(感傷に浸るな)

まとめ

「感傷に浸る」とは「心が痛むような気分に入り込むこと」という意味で、何かにつけて悲しくなったり切なくなったりするような心理状態にあることを表します。言い換えに使える類語は「感傷にふける」「エモい」などです。ただし、「エモい」は楽しい・嬉しいなどの感情にも使える点が特徴で、「感傷に浸る」とはやや使い方が異なります。