「至らない」とは「解決に至らなかった」と使う他、自分を指して「至らない点もあるかと存じますが」のように、挨拶文の定番フレーズとしてもよく耳にします。
この記事では、「至らない」の意味と使い方を例文で詳しく解説していきます。「至らない」の類語や英語訳も紹介しましょう。
「至らない」の意味とは
意味は「行き届かない」読み方は「いたらない」
「至らない」とは「達しない、到達できない」という意味です。「至らない」と書いて「いたらない」と読み、しばしば「配慮が行き届かず不十分である」「経験が足らず未熟である」という意味でも用いられます。
「至る」とは「行き届く」という意味
「至らない」は「至る」を否定した表現です。「至る」には「目的地に行き着く」「ある段階・状態になる」という意味のほか、「細かいところまで行き届く」という意味もあります。
「至らない」の使い方と例文
「問題の解決に至らない」「考えが至らない」などと使う
「問題の解決に至らなかった」は「問題解決に到達できなかった」つまり「問題が解決できなかった」ことを意味します。「到達できない」というニュアンスでは「目標には至らなかった」などの表現も可能です。
一方「考えが至らない」と使うと「考えが(そこまで)到達できなかった=行き届かなかった」というニュアンスになります。いずれも不十分な様を表します。
- 議論が二転三転して結局解決には至らなかった。
- 今期の目標には至らなかったが、全体でみると君は十分に健闘した方だと思う。
- そこまで考えが至らなかったのはわたしの力不足だ。
「私が至らないばかりに」と謝罪で使う
「私が至らないばかりにご迷惑おかけしました」とは謝罪の一文で、自分の不注意や配慮不足で起こったトラブルに対して謝罪する際に使用します。
似た言い回しでは「至らない点が多くご迷惑おかけしました」という表現もよく用いられます。この「至らない点」とは「不注意な点、行き届かない点」というニュアンスです。
私が至らないばかりに、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
「至らない点もあるかと思いますが」と挨拶に使う
「至らない点」という表現は先述の謝罪に限らず、さまざまなシーンで用いられます。ビジネスシーンでは、着任の挨拶で「至らない点もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします」のように使用可能です。
- 至らない点が多々あるかと思いますが、精一杯努めます
- 至らない点もあるかと思いますが、引き続きよろしくお願い申し上げます
「至らない点が多々あったと思いますが」と感謝やお礼を伝える
「至らない」は退職する際の挨拶でも使えます。お世話になった相手に「至らない点が多々あったと思いますが」「至らない点もあったかと思いますが」と、謙虚な姿勢でお礼や感謝を伝えてみましょう。
- 至らない点もあったかと思いますが、暖かくご指導いただきましたこと感謝申し上げます。
- リーダーとして至らない点が多々あったと思いますが、チームみんなのおかげで無事にイベント成功することができました。
「至らない人」「至らない私」と使うことも
「至らない人」とは「未熟な人」という意味です。「至らない私ですが、よろしくお願いします」と使うと「未熟な私ですが〜」というニュアンスになります。
「至らぬ自分ですが」「至らぬ身ですが」などの言い回しでもよく用いられます。
- 至らない身ではありますが、今後も精一杯努めてまいります。ご指導ご鞭撻いただきますようお願い申し上げます。
- (結婚の挨拶で)至らない私たちですが、笑顔の絶えない家庭を築いていきたいと思っています。
「至らない」の類語や言い換え
「至らない」の類語は「到達しない」「届かない」
「物事を成し遂げられなかった、ある状態にはならなかった」という意味の類語には、「到達しない」「達しない」「届かない」があります。
たとえば「目標には至らなかった」は、「目標には到達しなかった」「目標には届かなかった」と言い換え可能です。
「至らない人」の言い換えは「未熟者」「若輩者」
「至らない人」の類語には、「未熟者」「若輩者」といった表現が挙げられます。「未熟者」とは「経験が十分ではない者、修練が十分ではない人」を指します。「若輩者(じゃくはいもの)」も同様で「未熟な様」を表す語です。
「至らない」の英語訳とは
「至らない」の英語訳は「not arrived」を使う
「至らない」の英語訳では「not arrived」という表現を使うことができます。「arrive」は「到着する」という意味でもよく用いられますが、「届く、達する、到達する」などの意味も持つ英単語です。これを否定で使うことで「至らなかった」というニュアンスを出すことができます。
The meeting has not arrived at a conclusion.(会議は結論には至らなかった)
「至らない点」は「imperfect」「incompetent」
「至らない点も多々あったかと思いますが〜」のように「未熟な点」という意味での「至らない」は、「imperfect」や「incompetent」といった英単語が使用可能です。
「imperfect」は「不完全な、不十分な」という意味、「incompetent」は「無能な、能力のない、不十分な」などという意味を持ちます。
- I apologize for my imperfect English.(至らない英語をお詫びします)
- I am sorry about my incompetent ability. (至らない点を申し訳なく思います)
まとめ
「至らない」とは「達しない、到達できない、行き届かない」という意味の表現です。たとえば「〜には至らなかった」と使うと「(そこまで)達しなかった」というニュアンスになります。
また、「至らない点」と未熟で配慮や経験が足りない様を詫びたり、謙遜するニュアンスで「至らないわたし」「至らない身ですが〜」と自分に対して使うことも多い表現です。