「フレックスタイム」とは?コアタイムや残業時間についても解説

勤務開始と勤務終了の時間が自由に決められる「フレックスタイム」を取り入れる企業は、日本でも増えつつあります。「フレックスタイム」にはどういったメリットがあるのでしょう。詳しい制度の概要と、メリット・デメリットについて解説します。

「フレックスタイム」とは?

「うちの会社フレックスタイムなんだ」というと、なんとなく働きやすそうなイメージを持つかもしれません。「フレックス(flex)」とは、英語で「融通の効く」という意味があります。詳しいフレックスタイム制について解説します。

「フレックスタイム」とは始業・終業時刻を原則自由に決められること

「フレックスタイム」とは、労使協定に基づいて、始業および終業の時刻を自由に決められる制度のことを言います。9時に出勤して、17時まで勤務するというような定時勤務ではなく、一日の労働時間が限定されないのが大きな特徴です。

「フレックスタイム制」とは労働基準法に定められた制度

「フレックスタイム制」が日本で導入されたのは、1987年の労働基準法改正がきっかけです。1988年の4月より導入されています。当初はなかなか導入が進まなかったこともあり、比較的新しい制度という認識も根強いですが、実は30年もの歴史を持っているのです。

フレックスタイムの特徴とは

フレックスタイムの勤務時間は「精算期間」内で調整する

「フレックスタイム制」では、始業・終業の時刻が自由に決められますが、一定時間勤務する必要があります。その基準となるのが「精算期間」です。

「フレックスタイム制」では、精算期間と呼ばれる一定期間内の「総労働時間」について、各社の労使協定で定められています。その「総労働時間」を満たすように、各人で労働時間の調整が必要です。

なお、精算期間は最大1か月間と法律で定められていますが、平成31年度より最大3か月間に期間が拡大される予定で、さらに自由度の高い働き方が期待されています。

フレックスタイムの「コアタイム」とは

「フレックスタイム製」では、「コアタイム」が設定されていることがあります。コア、つまり中核となる時間帯のことで、「必ず勤務しなければならない時間帯」という意味です。

たとえば、10時~15時がコアタイムという企業の場合は、朝10時には出社しなければならないということになります。一方で、コアタイムが終わった15時以降は退社しても問題ありません。

「コアタイム」に対し、希望により労働することができる時間帯のことを「フレキシブルタイム」と呼びます。たとえば、コアタイムを挟み、8時~10時/15時~21時をフレキシブルタイムにした場合、8時~15時、10時から20時といった働き方が可能です。

「完全フレックスタイム制」という企業も

「コアタイム」は必ず設定しなければならないものではありません。場合によっては、「コアタイム」を設定せず、すべてを社員の裁量に任せるという企業もあります。これを「完全フレックスタイム制」と言います。

この場合、8時~21時までというように、フレキシブルタイム内で自由に勤務時間を決めることができるということになります。コアタイムがない分、より一層自由度が高いのが特徴です。

フレックスタイムのメリットとは?

フレックスタイム制には様々なメリットがありますが、最大のメリットは、自分で勤務時間を決められる点です。

フレックスタイムは通勤ラッシュを回避できる

フレックスタイム制の場合、一般的な始業時間よりもゆっくりと勤務を開始することができます。そのため、ストレスになりがちな通勤ラッシュを避け、比較的空いた時間帯で通勤することも可能です。

また、平日にしかできない役所や銀行での所用も、休日申請をすることなくこなせるのも、フレックスタイム制のメリットです。

フレックスタイムはワークライフバランスの向上にもなる

自分で始業・退社時間を決められるフレックスタイム制は、ワークライフバランスの向上にもつながります。

ワークライフバランスとは、仕事と私生活の調和によってより生活を豊かにさせることを指す言葉です。仕事や私生活、どちらか一方を優先するのではなく、どちらの希望も叶えるのがワークライフバランスの理想で、フレックスタイム制であれば、自主性が高く、ワークライフバランスを高めやすいといわれています。

フレックスタイムで残業時間が削減できるのもメリットのひとつ

始業時間を選ばせることで、企業側の残業のカウントの仕方も変わってきます。たとえば、9時~17時までの勤務の場合、17時以降の会議や打合せは「残業時間」になります。一方で、フレックスタイム制の場合、始業時間の調整が効くことで、17時以降など夕方の時間帯でも「残業時間」となるとは限りません。

日々の労働時間に応じて残業時間がカウントされる従来の方法とは異なるため、場合によっては、残業時間の削減・経費削減というメリットも生まれます。

フレックスタイムのデメリットとは

フレックスタイム制というと、どうしてもよく見られがちですが、デメリットもあります。転職活動など求人情報を見る際の注意点とあわせて紹介しましょう。

フレックスタイムは自分で管理しなければならない

自分で勤務時間を決められるということは、裏を返せば、自分で勤務時間を管理する必要があるということです。フレックスタイム制の場合、日々ゆっくり勤務してもよいですが、精算期間あたりの総労働時間を確保する必要があります。その「時間管理」が手間に感じる人もいるようです。

また、時間にルーズな人は、ただただルーズな働き方につながる懸念もあります。

フレックスタイム制が合わない職種もある

フレックスタイム制を採る企業でも、部署や担当する仕事内容でフレックスタイムが機能しづらい職場もあります。たとえば、取引先やユーザの問合せ担当部署では、その対応のために在籍せざるをえなかったり、やり取りのために先方の営業時間にあわせて勤務せざるを得なかったりという事例もあるようです。

こうした社内外とのコミュニケーションのとりづらさは、フレックスタイム制のデメリットでもあります。

フレックスタイム制を悪用する事例も

フレックスタイム制では、先述したように残業時間削減が企業側のメリットになることがあります。しかし、残業代を支払わなくてもよいというわけではありません。

たとえば、とある日に10時間勤務したというだけでは、フレックスタイム制では「残業時間」とはなりません。しかし、精算期間内での総労働時間を超えた場合には、その超過分が残業時間となるため、残業代を支払わなければならないのです。

フレックスタイム制を悪用するような企業では、残業代を支払わなかったり、精算期間内の超過労働時間を翌月に繰越すなどして表面上残業をないものとしたりする例があります。残業代の支払いに関しては、あらかじめ労使協定や就業規則で確認するようにしてください。

まとめ

始業・終業時刻がある程度自由に決められるフレックスタイム制は、プライベートンの充実はもちろん、効率良く働けるというのもメリットです。一方で、企業によって実際のフレックスタイムの利用率は異なります。場合によっては、機能していないこともありますので、就職時は利用率や残業代の支払いなどについてしっかり確認しておきましょう。