「不可思議」の意味と使い方とは?「不思議」との違いや類語も

「実に不可思議だ」や「不可思議な現象」というとどういった現象を思い浮かべますか?本記事では「不可思議」の詳しい意味と使い方を例文で解説します。また単位としての「不可思議」、「不可思議」と「不思議」の違いやその他の類語・英語訳といった関連用語についても紹介しましょう。

「不可思議」の意味とは

「不可思議」とは「常識では考えられないこと」という意味

「不可思議(ふかしぎ)」とは「常識では考えが及ばないこと、人間の認識や理解の範囲を超えていること」という意味です。端的にいうと「異様な様」ともいうことができます。

仏語として「言語が及ばない境地」を指す意味も

「不可思議」は元々は仏教用語で、「言葉でも心でも思いはかることができない境地」という意味を持ちます。経典に説かれる種々の行為や菩薩の知恵・神通力といった言語が及ばない境地を仏教では「不可思議」といいます。

この仏教用語としての「不可思議」から派生し、「常識では考えられないこと、理解の範囲を超えている様」とう意味で一般にも使われるようになりました。

“数の単位”としての「不可思議」とは

「不可思議」は数の単位としての意味もあります。単位としての「不可思議」は10の64乗を表します。一、十、百、千、万、億、兆、京(けい)、 垓 (がい) とさらに上がっていき、那由多(なゆた)の次に位置するのが「不可思議」です。

「不可思議」と「不思議」の違いとは

簡単に言うと「不思議」は「不可思議」の略語

「不可思議」と似た語には「不思議」があります。実は「不思議」は「不可思議」の略語とされています。そのため、「不思議」もまた「普通では考えられないこと、説明のつかないこと」という同じような意味を持ちます。さらに「不思議」は、あやしく思うこと、不思議に思い解明したいと考えられることなどの意味でも用いられます。

「不可思議」の方が強い意味で用いられることが多い

ほぼ同じ意味にとることができる「不可思議」と「不思議」ですが、一般には「不思議」の方を使うことが多いでしょう。ただし、略語という性質を考慮すると「不思議」の方が弱く、「不可思議」の方が強いニュアンスともいうことができます。そのため、「どう考えてもわからない、異様である」という度合いが強い場合に「不可思議」を選択する例もあります。

「不可思議」の使い方と例文

「不可思議な現象」などと使う

「不可思議」は「不可思議な〇〇」の形で、考えてもよくわからないこと・的確に表現するのが難しい様を指して使用します。たとえば「不可思議な現象が起きた」と使うのが良い例で、この場合は「どう考えても説明がつかないようなことが起きた、常識では考えられないようなことが起きた」というニュアンスです。

他にも「不可思議だ」などといった言い回しも可能です。

「不可思議」の例文

  • 不可思議な現象に戸惑いを隠せない。
  • 科学が存在しない時代、人々は不可思議な現象を神々の仕業とすることで納得したものだ。
  • 誠に不可思議だが、この目で見たのだから納得せざるを得ない。

「不可思議」の類語・言い換え表現

「不可思議」は「奇妙な」「謎めいた」などに言い換え可

「不可思議」は「奇妙な」や「謎めいた」などといった表現に置き換えることができます。「奇妙」とは「珍しく不思議なこと」を、「謎めいた」も「正体がはっきりしない様、合理的な説明ができないことが多く見受けられる様」などを表します。

たとえば「不可思議な出来事」は「奇妙な出来事」としても意味の通る文章になるでしょう。

「奇々怪々」も類義表現

「奇々怪々(ききかいかい)」とは「普通では考えられないような怪しいさま、不思議な様」という意味です。「奇怪」という熟語を重ねて使った四字熟語で、「極めて奇怪なこと」と強調したニュアンスを持ちます。「怪怪奇奇(かいかいきき)」の表現でも同じ意味の四字熟語として用いられます。

「不可思議」の英語訳とは

「不可思議」は英語で「mysterious」「 mystery」

「不可思議」は英語では「mysterious」や「mystery」を使った表現が可能です。「mysterious」は「神秘的な、不可思議な、怪しげな」などの意味を持つ英単語です。「mystery」はその名詞として「不可解なこと、不思議さ」などの意味を持つ単語です。日本語で推理小説を「ミステリー」と呼ぶように「mystery」にも「推理小説」という意味があります。

「不可思議」の英文例

  • a mysterious event(不可思議な出来事)
  • That was indeed a mystery.(実に不可思議だった)

まとめ

「不可思議」とは「常識では考えられないこと、人間の理解の範囲を超えている様」という意味です。元々は仏教用語であり、現代でも仏語として用いられることがあります。

この「不可思議」とよく似た語に「不思議」がありますが、「不思議」は「不可思議」の略語とされています。一般に、「不可思議」の方が「不思議」よりも強いニュアンスで用いられるのが特徴ですが、会話等でよく耳にするのは「不思議」の方でしょう。どちらも同じニュアンスで使うことができます。