「昇給」とは?「考課昇給」や昇給率の平均とお礼メールの例文も

求人情報を見ていると「昇給あり」「昇給年一回」「昇給随時」などのワードを目にします。本記事では「昇給とは?」にはじまり、「昇給」にボーナスは含まれるのか?定期昇給と考課昇給の違いは?など「昇給」の種類についても解説します。「昇給」の時期・タイミングや平均額についてもあわせてみていきましょう。

「昇給」の意味とは?

昇給とは「賃金が上がること」を意味する

「昇給」とは「賃金が上がること」という意味です。「昇給」と書いて「しょうきゅう」と読みます。たとえば勤続年数や昇格、業績などに応じて給料が上がることを「昇給」と言います。

「昇給」の有無・評価基準は企業によって異なる

かつては真面目に働き続けていれば給料は上がる、という時代もありましたが、「昇給」の有無やその基準・条件は企業によって異なります。企業が就業規則、あるいは給与規定に定めるのが通例で、昇給がない場合もあるため確認しておきましょう。

ボーナスが上がることは「昇給」ではない

「昇給」とは「給料」の中でも「基本給」が上がることを意味します。ボーナスなどの賞与や残業手当などがアップすることは厳密には「昇給」とはいいません。

「昇給」は英語で「salary increase」

「昇給」は英語では「salary increase」と表現されます。「pay raise」「wage raise」なども「昇給」を意味する表現です。また単に「raise」という語を使うこともあり、たとえば「I got a raise in August.」は「8月に昇給した」という意味になります。

「昇給」はいつ?種類とタイミング

「定期昇給」とは毎年時期が決まっている昇給

「定期昇給」とは「毎年企業が定めた時期に行われる昇給」です。たとえば勤続年数が増えるごとに基本給が3,000円上がる、というのは「定期昇給」の良い例です。基本的に勤続年数が長いほど給与がアップするのが特徴ですが、「定期昇給」は特に“時期”に言及した表現と捉えると他との違いがわかりやすいでしょう。

ただし、「定期昇給」なら”絶対に”決められた時期に給料が上がるかとうと、そうでもありません。多くの場合「業績等を勘案の上〜」のように付記があり、「昇給」の実施は企業側が決められるように制定されています。

「考課昇給」とは仕事の評価で給料が上がること

「考課昇給」とは「考課」つまり「成績に応じた評価による昇給」です。「査定昇給」とも呼ばれます。昨今日本では年次に応じた「昇給制度」よりも、成果や企業への貢献度に応じた制度が重視されつつあります。

先述した「定期昇給」でも、年に一度時期を決めて人事評価を行い、個人の成績に応じていくら給料を上げるか決めることも多く、「考課昇給」の色が強い場合もあります。

「自動昇給」とは年代や勤続年数で給料が上がること

「自動昇給」とは「勤続年数に応じて自動的に給料が上がる仕組み」です。すべての従業員が定期的に一律で給料が上がるのが「自動昇給」です。「定期昇給」とはほぼ似た意味合い、似た給与制度を指します。

「昇給」には「特別昇給」「臨時昇給」も

「昇給」の制度には他にも「特別昇給」や「臨時昇給」があります。「特別昇給」は本人の功労・実績など特別な理由に基づいて行われる「昇給」です。一方「臨時昇給」とは時期を問わず、業績が好調だった場合などに臨時で行われる昇給を指します。

「ベースアップ」とは全社員一律で基本給が上がること

「昇給」を意味する表現では「ベースアップ」もよく耳にします。「ベースアップ」とは文字通り「ベースとなる基本給が上がること」という意味です。

個人の勤続年数や業績とは関係なく、会社の業績などに応じて全社員一律で引き上げられることを言います。一般に、労働組合と会社との交渉「春闘」によって決められることが多いです。「ベースアップ」という表現も例年春先によく聞かれます。

「昇給」はいくら?平均額と昇給率

2021年の昇給率は「平均1〜2%」月例賃金で「5,000円台」

2021年の経団連の調査では、月例賃金の引き上げ額は「昇給」が5,672円となっています。また、同じく経団連発表の調査によると、大手企業における昇給率の平均は1.84%で、近年はおおむね2%前後を推移しているようです。一方で中小企業における総平均昇給率は1.68%(2021年)と大手企業よりはやや下がります。

一般社団法人 日本経済団体連合会 2021年「昇給・ベースアップ実施状況調査結果」

「昇給率」を計算すると今後の見込みがわかる

先にも挙げた「昇給率」とは、「昇給した後の給料が以前の給料よりどのくらいアップしたのかを示す割合」です。

この「昇給率(%)」は、「(昇給後の賃金ー昇給前の賃金)÷昇給前の賃金×100」で求めることができます。たとえば、月給20万円で「昇給率」が2%の場合、翌年の月給は20万4,000円です。

「昇給」のお礼メールとは

「昇給」したらお礼のメールを送ることも

「昇給」が決まったら上司に報告を兼ねてお礼のメールを送ることがあります。特に「考課昇給」の場合は自分を評価してくれた上司に一言お礼を述べる、あるいはお礼のメールを送るのが通例です。

「昇給」に至ったのは本人の努力によるところが大きいとはいえ、日ごろのサポートに対して謙虚にお礼を述べる姿勢が大切です。一般に、「昇給」がわかった当日~翌日の始業までに伝えましょう。

「昇給」のお礼メール文例

お疲れ様です。〇〇です。

この度、昇給のお話をいただきましたのでご報告申し上げます。
これもひとえに、いつもご指導頂いている〇〇課長のおかげです。
ありがとうございます。

今後も真摯に仕事と向き合い邁進していく所存です。
引き続き、ご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

まとめ

「昇給」とは「給与、賃金が上がること」を意味します。ボーナスが上がることは一般には「昇給」には含まれません。

日本ではかつて「定期昇給」「自動昇給」をとる企業が多数でした。現代は功績や業績に応じた「考課昇給」の制度が広まっています。なお「定期昇給」と定める企業でも、「毎年必ず昇給」ではなく企業の状況に応じて「昇給」が見合わせられる例もあります。