「工数」の意味とは?単位・計算方法と目的や「工数管理」も解説

ビジネスではタスク管理やスケジュール管理という言葉とともに「工数管理」という表現もしばしば耳にします。この「工数」は見積もりシーンでも重要になりますが、そもそも「工数」とは何を意味するのでしょう。「工数」の意味や単位、計算方法をはじめ、「工数」の使い方や関連用語について解説します。

「工数」の意味と計算方法とは?

「工数」とは作業完了に必要な人と時間のこと

「工数」とは「作業の完了に必要な人と時間」を意味します。「工数」と書いて「こうすう」と読みます。

製造業を中心にシステム開発などITの分野でもよく用いられる語で、端的にいうと「作業量」を表すともいえるでしょう。たとえばAさんがその作業に5時間かけたのであれば、その「工数」は5時間ということになります。

「工数」の単位は「人月」「人日」「人時間」

「工数」の単位は一般に「人月(にんげつ)」や「人日(にんにち)」「人時間(にんじかん)」などが用いられます。たとえば「1人月」というと「1人が1ヶ月働いた作業量」を表します。これが「3人月」になると「1人が3ヶ月働いた作業量」という意味です。なお、ここでいう“1ヶ月”は1日8時間×20日と想定するのが一般的です。

同様に「1人日」は「1人が1日(=8時間)作業してこなせる量」という意味に、「1人時間」となると「1人が1時間でこなせる量」という意味になります。

「工数計算」は作業人数×作業時間

具体的な「工数」の計算は、作業人数×作業時間で出すことができます。たとえば10人で作業し2ヶ月かかる業務の工数は「10×2=20人月」と表すことができます。

また、60人月の「工数」がかかる業務を半年で終わらせる場合、必要なメンバーは「60人月÷6ヶ月=10人」ということになります。

「工数」の使い方・活用例

「工数」は見積もりの根拠ともなる数字

「工数」はプロジェクトに対する作業時間・作業人数を表すことから費用算出、つまり見積もりの根拠となります。また、見積もりの「工数」に対して作業にかかった時間を記録することは予実管理にもなります。予算を管理していくうえでも「工数」は大事な項目です。

「工数削減」で原価が下がる

「工数削減」とは文字通り「工数を減らすこと」を意味します。「工数」を減らすことは原価を下げること、つまりコスト削減につながります。対して、当初の見積もりよりも「工数」が増えてしまうとコスト増大やスケジュール遅延のリスクも高まります。

「工数」で生産性やプロジェクト管理が可能

「工数」はプロジェクトを始める段階では、全体のスケジュールやプロジェクト管理にかかわります。「工数」をもとに、必要な人員・稼働する人員を当てはめるためです。さらに「工数」をもとにスケジュールの管理や、プロジェクト全体の管理を行うことができます。

たとえば見積もり工数と実際の作業量との乖離が大きい場合は途中で改善を行う例もあります。

「工数管理」とは

「工数管理」は利益確保がいちばんの目的

「工数管理」とは文字通り「工数を管理すること」ですが、その一番の目的はクライアントからの売上に対して必要なコストにおさえ、利益を回収することです。

たとえばシステム開発における「工数管理」が甘いと、人件費がどんどん膨らみ、結果的に赤字になります。「工数管理」の失敗が続くと、企業の経営危機にもつながるのです。

「工数不足」を避けるには各人のスキル把握も重要

見積もり工数の不足を避けるためには、アサインする人材(メンバー)のスキルの見極めも重要です。作業する人のスキルによって生産性は大きく変わるため、新人とベテランを同じ作業量で計算すると「工数」は不足していくでしょう。

また、一般に「人月」で「工数」を出す場合は1日8時間作業と仮定するのが通例ですが、実際に作業に費やせる時間は8時間より少ないことの方が多いため余裕を持った設定が大切です。

「工数管理」は工数表・エクセルのほか管理ツールも

「工数管理」は企業によってやり方は異なります。以前はホワイトボードに工数表を書き各人が記入していたこともありましたが、現在ではスプレッドシートやグループウェアなどの管理ツールを使う例も多いです。

「工数」の類語・ビジネス英語表現

「工数」の類語は「作業時間」「作業量」

「工数」は他の言葉で表現するならば「作業時間」や「作業量」といった語に置き換えることができます。「工数」が「作業を完了するまでに必要な人数と時間」を表すことから、「作業時間」や「作業量」といった表現でも似たニュアンスになるのです。

たとえば「この工数では足りません」は「この作業時間では足りません」と言い換えても意味が通ります。

「工数」は英語では「man-hour」

「工数」は英語では「man-hour」と表現され、「MH」という略語を使う例も多いです。また「man-day(MD)」や「man-month(MM)」といった表現を使うこともあります。

細かく計算された「工数」ではなく、ざっくりとした「工数」を話題にする際には「effort(労力)」という単語を使った英訳例もあります。その案件に必要な労力全般というニュアンスです。たとえば「Let’s talk about the effort required to complete this development.」は「この開発を完了させるのに必要な工数について話そう」という意味です。

まとめ

「工数」とはその作業を完了するのに必要な人と時間を意味します。端的にいうと「作業量」を意味する用語で、「1人月=1人が作業して1ヶ月かかる量」という意味です。ほかにも「人日」「人時間」などといった単位で「工数」を表すことがあります。

「工数」は見積もりの重要な根拠となると同時に、「工数」を管理することは予実管理・プロジェクト管理につながります。