「奇特」の本来の意味とは?よくある誤用と類語・言い換えも解説

「奇特な人」というとどういう人をイメージしますか?実は”変な人””奇妙な人”という意味で使うのは誤りです。「奇特」の本来の意味とその使い方・誤用例について解説します。また、「奇特」の類語や言い換え、英語訳といった関連用語についても紹介しましょう。

「奇特」の意味とは

「奇特」の本来の意味は「優れている様」

「奇特」とは「行いや心がけが優れている様、褒めるに値する様」という意味です。他の人よりも心がけや言動が立派な様や人がやらないようなことを進んで行う様などを指して「奇特」と言います。

古語としては「珍しい」という意味も

「奇特」は古語では「非常に珍しく不思議な様」という意味です。ただし、現代では先述の「優れている様」という意味が一般的です。また、古語として「不思議」というニュアンスはあるものの、「変な・奇妙な」といった意味で使うのは誤用です。

「奇特」の読み方は「きとく」

「奇特」は「きとく」と読みます。古くは「きどく」と読むこともありましたが、現代では「きとく」という読み方が一般的です。また「きどく」と呼んだ場合は「神仏の持っている超人間的な力」という意味もあります。

「奇特」の由来は漢字の意味

漢字の「奇」は「特に優れている」という意味が、「特」は「他と異なり、目立って著しい様」という意味があります。「奇」は「珍しい、不思議な」という意味でも用いられるため「奇特」の意味も誤解されやすいですが、「奇特」の「奇」は「特に優れいてる」という意味に解釈するのが正しいです。

また、古語としての「奇特」は、「奇特なり」の表現で「非常に珍しい、感心だ」という意味で用いられました。この「感心だ」という意味が残り、現代の「褒めるに値する」という「奇特」の意味になったとする考え方もあります。

「奇特」の使い方と例文

「奇特な人」は本来優れた人への誉め言葉

「奇特な人」は「褒めるに値する人」という意味です。わかりやすくいうと、その人の行いや心がけをたたえる褒め言葉です。たとえば、誰もやりたがらない雑務を淡々とこなす人、常に周囲に心配りができる人などは「奇特な人」の良い例でしょう。

例文
  • 彼女の心配りには頭が下がる。本当に奇特な人だ。
  • 彼のような奇特な人は見たことがない。見習いたいものだ。

「奇特な行い」は褒めるべき行動のこと

「奇特な行い」もまた同様に、褒めるべき行動を意味します。たとえば「奇特な行いを評価された」というと「素晴らしい行動が評価された」というニュアンスになります。

誤用が多く嫌味にも取られかねない

「奇特な人」「奇特な行い」は本来は褒め言葉ですが、「奇特=珍しい、変わった」というネガティブな誤用も目立ちます。そのため、「奇特な人」という表現を正しい意味で使っても本来の意味で伝わらない懸念もあります。

また褒め言葉の意味で使っても「そんなことまで気を配るなんて奇特な人だね」などは嫌味にもとられかねません。前後の言い回しにも配慮が必要でしょう。

「奇特」の類語とは

「奇特」の類語は「殊勝」

「奇特」と似た意味の語は「殊勝」です。「殊勝(しゅしょう)」とは「とりわけ優れている様、心がけや行動が感心な様」という意味です。この後者の意味が「奇特」の類語と言うことができます。

「奇特な人」は「感心な人」と言い換えも

「奇特な人」は「感心な人」と言い換えることもできます。「感心」とは「立派な行為や優れた様に心を動かされること」「心に深く感じ入ること」という意味です。

たとえば「この時代に奇特な人だ」は「この時代に感心な人だ」としても意味が通ります。誤用が少ないことから、確実に意図する意味で使える表現とも言えるでしょう。

「奇特」の英語訳

「奇特」は英語で「praiseworthy」

「奇特」は英語では「praiseworthy」という単語を使用します。「praiseworthy」とは「ほめるべき、感心な、称賛に値する」などの意味を持つ単語です。たとえば「That was a praiseworthy action.」は「奇特な行いだった」という和訳が可能です。

他にも「a praiseworthy person(奇特な人、感心な人)」といった表現でも使用できます。

「奇特な人」は「respectable」を使った英訳も

「奇特な人」の英語訳では「respectable」という単語も使用可です。直訳すると「尊敬に値する」という意味で、「a respectable person」は「尊敬すべき人」という意味になり、日本語の「奇特な人」と似たニュアンスになります。

他にも、「立派な人」という意味では「a fine person」や「a good person」という表現もあります。

まとめ

「奇特」とは本来「行いや心がけが優れている様、褒めるに値する様」という意味です。しかし「奇特な人=奇妙で珍しい人」と、本来とは異なった意味に誤認・誤用している例も多く、褒め言葉として使う際も正しく意味が伝わらない懸念があります。

前後の表現を補うなどして、称賛の気持ちが伝わるような配慮、あるいは他の言い回しに換えた方が無難かもしれません。