「得意先」の意味とは?取引先・顧客との違いや使い方を解説

「得意先にお中元を手配する」「得意先に挨拶に行く」など、仕事の相手を「得意先」と呼ぶことがあります。この「得意先」とは具体的にはどういった会社を指すのでしょう。「得意先」の意味をはじめ、「取引先」「顧客」など類語との違いについて解説します。また「得意先」の使い方、敬語での注意点にも触れています。

「得意先」の意味とは

「得意先」とは「顧客の中でもなじみの相手」を意味する

「得意先」とは「いつも取引をする相手、顧客の中でもなじみの相手」を意味します。取引をする相手には、はじめて取引をする企業、古くから付き合いのある企業、日常的に取引している企業など様々ありますが、その中でも「なじみの相手」を指すのが「得意先」です。

また、頻度に限らず大口の取引相手も「得意先」といいます。

「得意」は元々「親しい仲」を表した

「得意先」の「得意」は、元々は「親しい仲」という意味がありました。転じて「いつも商品を買ってくれたり取引したりする客、気を許せる売り込み先」などを指して「得意先」というようになったと言われています。

「得意先」の使い方とメール例文

「得意先各位」「お得意先各位」は一般的ではない

「得意先」に対して文書で連絡する際に「得意先各位」「お得意先各位」といった宛名書きは通常は使用しません。取引がある企業全体に出す文書では「お取引先各位」などの表現が一般的です。

なお、全体に宛てる際に使用する「各位」には敬称として「みなさま」という意味を含むため、「お取引先様各位」などとして使うのは誤りです。

敬語では「得意先様」より「お得意様」がメジャー

「得意先」は社内での会話で用いられることが主で、「得意先」に対して直接「得意先様」という表現を使うことはありません。ただし会話の中で「得意先」を話題にする際には敬意を込めて「お得意様」と使う例はあります。意味は同じですが、やや柔らかい印象になるでしょう。

同様に、「得意先」ではなく「お得意先」の表現でつかうこともあります。

例文
  • 既存の取引先がいつお得意先になるかはわからないので丁寧な仕事を心がけている。
  • お得意先に送付するサンプルを今週中に手配しておいて。

「得意先元帳」とは簿記用語

「得意先元帳」とは取引先毎に売掛金を管理するための補助簿のことで、「売掛金元帳」「得意先帳簿」とも呼ばれます。売掛金が増減した際には総勘定元帳とあわせて「得意先元帳」にも記載します。

「得意先」の類語とその違い

「取引先」は取引行為を行う相手

「取引先」とは「企業が取引行為を行う相手」のことです。平たくいうと、製品やサービスの売買を行うすべての相手を意味します。売買のいずれの側であっても「取引先」と呼ぶことができ、特に重要な相手は「主要取引先」などと呼ばれます。もちろん、「得意先」も「取引先」に含まれます。

「顧客」は販売する相手方のこと

「顧客」とは「製品やサービスを販売する相手」のことです。たとえば卸業者から見た小売店は「顧客」です。

「顧客」は商品を購入する側を指すのが特徴で、これから商品を買ってくれそうな見込みのある相手は「見込み顧客」とも呼ばれます。

「仕入れ先」は「得意先」とは逆の意味

「仕入れ先」とは「製造・販売のための商品を購入する相手」です。その仕入れた商品を販売する相手が「顧客」であり「得意先」です。「仕入れ先」はたとえばメーカー・問屋・商社などが挙げられます。

「頻繁に利用する仕入れ先」という意味で「得意先」ということは一般的ではありません。

「クライアント」は「依頼人」を指して使う

「クライアント」とは主に「依頼人」を指します。「顧客」と似た意味を持ちますが、不特定多数を指す「顧客」に対し、特定の相手を指して「クライアント」と使うことが多いのが特徴です。

たとえば弁護士や会計士などは依頼人を「クライアント」と呼ぶことが多いです。

「先方」は「相手方、相手先」を意味する

「先方」とは「相手方」を指し、「先方」と書いて「せんぽう」と読みます。ビジネスシーンでは「先方に伺います」のように、取引先を指した使い方をよくされます。取引の内容を問わず「相手」という意味で使用できる表現です。

なお、「先方」を「さきがた」と読む場合は「さっき、先ほど」と時間を表す意味になります。

「得意先」の英語訳とは

英語では「client」や「customer」

「得意先」は英語では「client」や「customer」という単語を使用します。「client」は類語として紹介した「クライアント」の元になった英単語で、英語でも「依頼人」というニュアンスで用いられることが多いです。

一方「customer」は取引先の中でも「顧客、お客様」を指して用いられます。「カスタマーサービスセンター」のようにこちらもカタカナで用いられることが多く、日本語としても定着しています。たとえば「favorite customer」は「得意先」の和訳がされる表現です。

「得意先」の英文例

  • I asked my client to call me later.(依頼人に後で電話をくれるように頼んだ)
  • She is out to the favorite customer.(彼女は得意先に出かけています)

まとめ

「得意先」とは「顧客の中でもなじみの相手」を指します。頻繁に取引のある相手や頻度を問わず大口の顧客などは「得意先」と呼ばれます。数ある取引先の中でも特定の相手を指して使うことが多い一方で、企業によっては新規以外の取引先を「得意先」という例もあるようです。なお、敬語・丁寧な表現として「お得意先」や「お得意様」と使う例もありますが、「得意先様」という表現は一般的ではありません。