「高みの見物」の意味とは?例文と類語「対岸の火事」や対義語も

「高みの見物」を決め込む人はとはしばしばウザい嫌なやつに映りますが、この「高みの見物」は具体的にはどういった態度を表すのか知っていますか。

ことわざ「高みの見物」の意味とその使い方を例文で解説します。また似た意味の「対岸の火事」などの類語・言い換え表現や対義語、英語訳といった関連用語も触れています。

「高みの見物」の意味とは

「高みの見物」は「第三者の立場で傍観すること」

「高みの見物」とは「第三者の立場から、興味本位に物事を傍観すること」を意味します。実際に高いところから見下ろすのではなく、影響を受けない立場で興味本位に見守ること、様子を見ることを「高みの見物」といいます。

漢字で「高見の見物」と書くのは誤り

「高みの見物」の「高み」を漢字で「高見」と書くのは誤りです。「高み」の「み」は程度や状態などを表す意味を持つ接尾語であり、「見る」という意味はありません。そのため漢字をあてるのではなく、ひらがなで書くのが正しいです。

語源・由来は「高い場所から見て楽しむこと」

「高みの見物」とは、元々は「大騒ぎしている人々を高いところから見ること」という意味でした。これが転じて、同じ目線ではなく高い場所から全体を眺めるように「第三者の立場で傍観する様」という意味につながったとされています。

「高みの見物」の使い方と例文

興味本位で眺める様を表す

「高みの見物」は”関わりのない事柄を見る”というよりは、”関わりがない物事の流れを興味本位で眺める”様に使用します。野次馬のようなニュアンスにとるとわかりやすいでしょう。たとえば職場の揉め事を関係のない人が「あらあら大変だね〜」と面白半分で眺める様が良い例です。

また口出しをせずに第三者として成り行きを眺める、というニュアンスでも用いられます。

例文
  • ここはひとつ高みの見物といこう。巻き込まれるのはごめんだ。
  • 今年は幹事からも解放されるから高みの見物といった感じで気も楽だ。

「ワイ高みの見物」はネットで用語、見下す意味に

「高みの見物」はSNSなどネット用語として、見下すようなニュアンスで用いられることもあります。たとえば「3年付き合ってた彼女に浮気された、結婚も考えていたのに…」という投稿に対して、「ボッチなワイ、高みの見物」と返すと「独り身の自分には全く関係ないが面白半分で見てやるよ」といった意味になります。相手の不運などを嘲笑うようなニュアンスとも言えるでしょう。

「高みの見物」の類語とは

「高みの見物」の類語は「我関せず」

「高みの見物」と似た意味の表現は「我関せず(われかんせず)」です。「我関せず」とは「自分には関係がない」という意味で、「自分は関係ないという態度をとる様」を表します。

たとえば「我関せずといった態度」などと使い、本来は関係者・当事者なのに素知らぬ顔をしている、というニュアンスでも用いられます。

「高みの見物」をする様は「静観する」とも

「高みの見物」をする様子は「静観する」と言い表すこともできるでしょう。「静観する」とは文字通り「静かに観察すること」という意味で、「物事の成り行きをじっと見守ること」という意味です。「事態を静観する」などと使用します。

似た意味のことわざには「対岸の火事」も

「対岸の火事」とは「自分には全く影響がない出来事」の例えです。向こう岸の火事が自分に降りかかってくることがないように、自分には関係のないこと・痛くも痒くもないことなどをあらわします。

「高みの見物」には「興味本位に眺める」というニュアンスが含まれますが、「対岸の火事」には興味関心を示すニュアンスはありません。”面白そうだ”と眺める様が「高みの見物」です。

「高みの見物」の対義語とは

対義表現は「口出しする」「手出しをする」

「高みの見物」と反対の意味では「口出しをする」「手出しをする」などが挙げられます。第三者が興味本位で眺めるという意味の「高みの見物」に対して、話に割り込んだり実際に行動を取ったりする様を表します。

「干渉する」も反対の意味の語

「高みの見物」の対義表現では「干渉する」も挙げられます。「干渉する」とは「自分の意志に従わせようとすること」という意味です。口出しをする・手出しをする、両方の場合に用いられます。

「高みの見物」の英語訳とは

「高みの見物」は英語で「look on」

「高みの見物」を英語で表す際には「look on」という表現を使用します。「look on」とは「傍観する、見物する」などの意味を持ちます。また似たニュアンスの英語表現では「stand by」もあります。「stand by」は「そばに立つ」という意味のほか、「関わらないでいる、傍観する」という意味も持つ表現です。

「高みの見物」の英訳例

  • I just looked on.(わたしは高みの見物を決めこんだ)
  • Why are you looking on?(君はなぜ傍観してるの?)
  • We cannot stand by.(私たちは傍観するなんてできなかった)

まとめ

「高みの見物」とは第三者の立場で興味本位に傍観する様を表します。実際に高い場所から見るという意味ではなく、全体を見渡せるような場所から傍観する、というニュアンスが特徴です。「高みの見物」という慣用句そのものにはネガティブなニュアンスはありませんが、「興味本位に眺める」という意味から面白半分で見下すような文脈で用いられることがあります。