「初稿」とは?「初校」との違いや英語表現、その他の用語も紹介

「初稿」は文章やデザインなどの制作過程で必ず見聞きする用語ですが、本来の意味や正しい使い方についてご存知でしょうか。この記事では「初稿」の意味をはじめ、類義語や英語表現について解説します。さらに「初稿」と同様によく見かける「初校」との違いや、印刷・デザイン業界でよく見かける専門用語も紹介します。

「初稿」の意味は?

「初稿」とは「最初の原稿」のこと

「初稿」とは、出版社やデザイン会社、印刷会社がクライアントからもらう「最初の原稿」を指します。読みは「しょこう」です。「稿」は”下書き”の意味で、詩や文章の原案のこと。文字やデザイン、印刷物など仕事の内容によって原案の形は様々ですが、いずれの媒体においても初めての原稿については「初稿」と呼ばれています。

「初稿」の類義語は「原案」「たたき台」など

「初稿」の類義語は「原案」「たたき台」です。「原案」は「げんあん」と読み、もとになる案という意味があります。「たたき台」も同様に「もとになる案、原案」の意味で使われている言葉で、もともとは鉄製品を作る鍛冶場(かじば)で使われている道具が語源です。鉄製品は熱いうちに何度も叩いて形を作っていきますが、そのときに鉄を乗せる台のことを「たたき台」といいます。「たたき台」は、特にビジネスシーンにおいて”ある企画の原案”という意味でよく用いられています。

「初稿」と「初校」の違いは?

「初校」は「初稿に対する校正作業」

「初稿」とよく似た用語に「初校」があります。同じ意味合いで使える言葉だと思っている方もいるかもしれませんが、2つの用語の意味は全く異なります。

「初校」とは「原案の”初稿”について校正者や印刷会社が行うはじめての校正作業」のことです。すなわち、業務の過程においては1番目が「初稿」、2番目が「初校」となり、初校の前には必ず初稿がある、ということになります。

媒体が文章などの場合:クライアントに初めて提出する原稿が「初稿」。「初校」は初稿に対する初めての校正作業が「初校」。

媒体がデザインの場合:クライアントからデザイナーに渡される原案が「初稿」。初稿を基に作成する初めてのデザインが「初校」。

「初校」は「再校(二校)」「三校」と進む

「初校」が終わって相手に返すことを「初校戻し」といい、それを再び校正したものは「再校」と呼びます。「再校」は回数に準じて「二校」とも言い、段階を経て「三校」「四校」と呼ばれています。

ちなみに、校正の回数は「初校・二校・三校」の三校までが一般的です。

「初稿」の英語表現は?

「初稿」の英語表現は「first draft」

「初稿」の英語表現は「first draft」です。「draft」の名詞としての意味には「草案、下書き」があります。draft とは、書類や講演原稿などを初期から最終稿まで進展させていく下書きの原稿、つまり、草稿の意味を持つ単語です。

「revision」は類似表現だが「初校」に近い意味

「revision」 とは”何かを修正する行為”を意味する英単語ですが、修正された新しい原稿をさすこともあります。すなわち、「初稿」よりも「初校」に近い意味の言葉です。

編集過程においては、初稿は “first draft”、最終の改訂版のことを “final revision” という表現で用いられることが多いでしょう。

「first draft」を使った例文

  • I wrote the first draft in a month.

(私は1ヶ月で初稿を書いた。)

  • She finished all the first draft by handwriting.

(彼女は初稿をすべて手書きで仕上げた。)

「初稿」のほかによく使われる専門用語は?

「入稿」

「入稿(にゅうこう)」とは、原稿を受け渡す意味の言葉ですが、使う立場によって意味合いが異なります。具体的には出版社が原稿を印刷会社に渡すことを「入稿」とよびますし、出版社が原稿を受け取ることについても「入稿」とよびます。

「入稿」が使われるシーンは印刷業界に限りません。広告代理店がネット広告に掲載するデータをクライアントに納品する時にも使われています。

「校正」

「校正(こうせい)」は、原稿の確認作業を行うこと全般を指す用語です。具体的には、原稿と見比べて間違いがないか修正する作業を指します。

ただ、校正作業とひとくちに言ってもその内容は様々です。文章の場合は誤字脱字のチェックや文章内容が発注者の指示に沿っているかを確認するといった作業が主になりますが、デザインの場合は初稿をもとにしてデザインを修正・編集することが校正作業と呼ばれます。

「校了」

「校了(こうりょう)」とは原稿やデザインが校正などの修正作業をすべて終え、印刷作業に進んでも問題ない状態になったことです。「校正終了」の意味を持ちます。

「校了」となった場合、以降は修正や差し替えを行うことができません。万が一印刷作業に入ってから、あるいは記事や原稿が公開されてから誤字脱字等に気づいて修正が必要となった場合、新たな手間やコストがかかってしまいます。そのため「校了」の言葉には重大な責任が含まれていると言えるでしょう。

まとめ

「初稿」は出版社やデザイン会社、印刷会社がクライアントからもらう「最初の原稿」を指します。初めての原稿については必ず「初稿」と呼ばれ、類義語には「原案」「たたき台」などがあります。「初稿」とよく似た用語の「初校」は「原案の”初稿”について校正者や印刷会社が行うはじめての校正作業」のことです。業務の過程においては1番目が「初稿」、2番目が「初校」となり、初校の前には必ず初稿がある、ということになります。混同して使用することのないように注意してください。