「アピール」の言い換えは?シーン別の表現や「ピーアール」との違いも

ビジネスシーンのみならず、日常会話でもよく見聞きする「アピール」という言葉。できればシーンに合ったスマートな言い換え表現を知っておきたいものです。そこでこの記事では「アピール」の言い換え表現を2つのシーン別に詳しく紹介します。また「ピーアール」との違いについても解説しますので参考にしてください。

「アピール」の意味とは

「アピール」の意味は「強調する、訴える」

「アピール」の語源は英語の「appeal」で「強調する、目立たせる」「訴える」などの意味があります。これをカタカナで表現したもので「相手に対して何かを強調して伝え、印象に残そうと訴える」といった意味で使われます。

「アピール」は「強調する」という意味を持つことからも、主張や前に出るといったニュアンスがどうしても強く感じられる言葉になります。基本的にはビジネスシーンでそのまま使っても差し支えない言葉ですが、上司・取引先など丁寧な対応が求められる際には少しソフトな表現となる言い換え語を用いるとよいでしょう。

また「アピール」は他の意味でも使われています。たとえばスポーツ競技において”選手や監督が審判の判定に抗議や要求をすること“を「アピールする」と表現するケースがあります。

「アピール」を使った例文

  • 自分のアピールポイントが分からなくて困っている。
  • 新商品は他社との違いを大きくアピールする必要があります。
  • 彼は仕事を頑張ってるアピールがあからさまで、つくづく嫌になる。
  • 先ほどの判定に対して、選手が審判にアピールしているようです。

ビジネスシーンで使える「アピール」の言い換え表現とは

「訴求(そきゅう)」

「アピール」の言い換え表現には「訴求(そきゅう)」があげられます。「訴求」とは「(特に広告や販売などで)消費者の購買意欲に働きかけること」の意味を持つ言葉です。広告や販売・マーケティングに関するシーンで使われる機会が多い言葉ですが、一般的に使われることもあります。

「訴求」を使った例文
  • 新商品の魅力を存分に消費者へ訴求したい。
  • 新聞広告は効果的だが、新聞を読まない世代に対しては訴求性が低そうだ。

「主張」

「主張」は「アピール」の意味の一部でもあり、自分の意見や考えを強く言うことを指します。「アピール」と同様に言い換えて使うことができる言葉ではありますが、特に意見や持論を他に認めさせようと強いニュアンスで言い張るという意味になるため、我が強いイメージを持たれる可能性も。使う場合は状況を考慮したうえで用いるほうがよいでしょう。

「主張」を使った例文
  • 彼は自分のアイデアを強く主張した。
  • その主張はもっともだと思います。もう少し議論を続けましょう。

カジュアルなシーンで使える「アピール」の言い換え表現とは

「売り込む」

「アピール」の言い換え表現の中でも、カジュアルなシーンで使えるものとしてあげられるのが「売り込む」です。

「売り込む」は、相手へ自分の考えや良い点を言葉で伝える行為に対して使う言葉。アピールよりもさらに踏み込んだ言葉ではありますが、自分の考えを伝えたいという後押しの意味で使うと強いインパクトを与えられるでしょう。そういった意味ではカジュアルなシーンで使うことができるといえます。

「売り込む」を使った例文
  • 就活は自分をいかに売り込むかが鍵だと思う。
  • 新商品をどんどん売り込んでいこう!

「アピる」

かなりくだけた表現になりますが「アピる」も「アピール」のカジュアルな言い換え表現として用いられる言葉です。いわゆる若者言葉に位置づけられますが、友人や気心の知れた人同士と会話する中で使うことができます。「アピった」や「アピりすぎた」といったように活用して用いられることもあります。

「アピる」を使った例文
  • しまった、彼女に猫好きをアピりすぎた。
  • 彼のことが気になるからって、自分をアピりすぎだよ!

「広める」

「広める」は「物事が広く知られるようにする」という意味で、「アピール」と似たよう名使い方ができます。ただ「広める」には良いことだけでなく悪いこと(噂などネガティブなこと)を言うときにも使われますので、状況に応じた使用が求められます。

「広める」を使った例文
  • きっと彼女が彼の噂を広めたに違いないわ。
  • 昨日のイベントは全国に広めたいくらい大盛り上がりだったね。

「アピール」と「ピーアール」はどう違う?

「ピーアール」は相手との関係性を構築するためのもの

「アピール」と似た言葉に「ピーアール」があります。一見すると同じように使えると思われがちですが、実はニュアンスが少し異なります。

「ピーアール」はPublic Relations(パブリックリレーシング)を略した言葉で、PRと表記されることもあります。もう少し詳しく説明すると、官公庁や団体・企業などが事業内容・施策・商品などを人々に理解してもらうために(より良い関係性を構築するために)広く知らせることです。また、その広報・宣伝活動自体を指すこともあります。

すなわち、ピーアールとは自身のことを相手により良い関係性を構築しながら伝えていくことを意味する単語。相手との関係性が大きく関わっています。

いっぽう「アピール」の場合は「相手に対して何かを強調して伝え、印象に残そうと訴える」といった意味で使われ、自身の主張が強く感じられる言葉です。相手がどう思うか、相手とどのような関係性を構築するか、といった点はニュアンスに含まれていません。

「アピール」と「ピーアール」を混同しないよう注意

たとえば面接の場で「自己ピーアールをしてください」と尋ねられる場面は多くあるでしょう。自分がどのような人間であるのか相手に十分に理解してもらうことが必要ですが、ここで”自己ピーアール”を”自己アピール”と混同してしまうと、自分の強みを上手く相手に伝えられない可能性があります。

自己ピーアールは「自分の性質や性格・強みが、企業に対してどんなことに貢献できるのか」を伝えることです。すなわち「自分と相手との関係性」を軸にして考えなくてはならず、企業が求めている人材と自分の能力がいかにマッチしているかという点を伝えるべきです。

これが「自己アピール」だと「自分自身の強みを相手へ伝えていくこと」になり、自分を売り込むニュアンスがどうしても強くなってしまいます。単なる「アピール=自己主張」では、企業に貢献できることの根拠にはならないため、相手との関係性を考慮した伝え方が必要です。

「ピーアール」を使った例文

  • SNSの普及により、新たなピーアールの方法が生まれている。
  • 自社のPR動画を新しく作成しよう。

まとめ

「アピール」は英単語の「appeal」がもとになったカタカナ語で、「相手に対して何かを強調して伝え、印象に残そうと訴える」の意味で使われる言葉です。「強調する」という意味を持つことから、”主張”や”前に出る”といったニュアンスがどうしても強く感じられる言葉になります。ビジネスシーンやカジュアルなシーンでそのまま使っても問題はありませんが、状況や相手に応じていくつかの言い換え表現を覚えておくとよいでしょう。