「資料にエビデンスを添付するように」と言われたら、何を用意すればよいかわかりますか?他にも、「エビデンスベース」という言い方がありますが、「エビデンス」とはどういった意味の言葉なのでしょう。ビジネスでの使用例のほか、医療や金融など様々なシーンにおける「エビデンス」の意味もあわせて解説します。
「エビデンス」とは?
「エビデンス」の意味は”根拠・証拠”
「エビデンス」の意味は、”根拠・証拠”です。「エビデンスは?」と言われたら、その根拠や証拠を求められているということになります。
英語「evidence」と日本語では微妙な違いも
日本語で使用されている「エビデンス」は、英語の「evidence」が定着したものです。英語の「evidence」もまた、根拠・証拠といった意味があり、日本語とは大きな違いはありません。
その一方で、ビジネスシーンでは業種によって証拠・根拠以外の意味でも使われることがあり、ニュアンスに微妙な違いが出ることがあります。日本語ならではの使用例については次で詳しく紹介します。
ビジネスでの「エビデンス」の使用例とは?
ビジネスシーンで使われることの多い「エビデンス」という言葉。その具体例を紹介します。
「エビデンス資料を添付する」が一般的
「エビデンス資料」とは、根拠となる資料のことです。たとえば、提案する際にはメリットがうまく説明できると相手をぐっと引き込むことができます。その際に必要なのが、メリットを裏付けするようなデータです。そうした根拠や証拠となるような資料の事を「エビデンス資料」と言います。
「エビデンス資料」とせずに、単に「エビデンスを添付する」という言い方をすることもあります。
「エビデンスベース」は「証拠に基づいた」
「エビデンスベース」とは、「証拠に基づいた」という意味です。英語の「evidence-based」を日本語にした表現で、「エビデンスベースド」ということもあります。
「エビデンスベースの話をしよう」というと、ただ主張を言い合うのではなく、根拠に基づいて話をしよう、という意味になります。確かな証拠・根拠に基づいて話すことは、特異なことではなく、ビジネスでは常識です。「エビデンスベース(ド)」の話ができると信頼性・説得力ともにアップします。
職種や業界で異なる「エビデンス」の使い方とは?
経理の「エビデンス」は請求書・領収書
経理の分野で「エビデンス」といった場合にはとりわけ、請求書や領収書を意味します。「エビデンスも一緒に提出してください」や「エビデンスのないものは無効」という言い方も可能です。経費精算時にこのように言われたら、領収書を忘れずに添付しましょう。
IT業界では「議事録」の意味も
「エビデンス」はIT系の企業ではひとつ違った使われ方をします。
システムの仕様など細かい話のやりとりが重要なIT業界では、メールの内容やミーティングの会話が開発の重要な根拠・証拠となります。そのため、議事録や話のやり取りの記録などを指して「エビデンス」ということがあるのです。
また、開発されたシステムが発注内容の通りに動いているか、といった証拠画像・証拠データも「エビデンス」と呼ばれます。
契約書面をとることを指す「エビデンスをとる」
基本的な「根拠・証拠をとる(=エビデンスをとる)」意味から転じて、業界によっては、契約書面をとることを「エビデンスをとる」という言い方をすることがあります。特に、カタカナ語を好むIT業界で使われるケースが多いようです。
「記録を残す」というニュアンスと似たものがありますが、さらに証拠・根拠としての意味合いが強くなるのが特徴です。
銀行の「エビデンスを提出」は公的証明書のこと
銀行とのやり取りで「エビデンスを提出してください」と言われた場合には、公的な証明書類を指すことがあります。融資相談をした際などに用いられる表現で、運転免許証や健康保険証のコピーなどが該当します。
一方、外国への送金においては、目的や資金の出どころなど「送金の目的」を記した書類を「エビデンス」として求められることもあります。
医療における「エビデンス」の意味とは?
使用例が多いのは、医療の現場でも同じですが、医療分野における「エビデンス」はまた少し独特な意味合いとなります。
医療での意味は「治療に対する臨床結果・科学的根拠」
医療において「エビデンス」といった場合には治療の臨床結果や科学的な根拠を指します。広い意味では同じですが、医学的に「エビデンス」というと、「治療の裏付け」といったニュアンスです。
たとえば、「エビデンスに基づいた治療」というと、研究などに、よって良いと証明されている(根拠のある)治療、ということになります。ほかにも、投薬・検査など幅広く使用されます。
EBNは根拠に基づいた看護
看護に関しても同様で、「エビデンスに基づいた看護(Evidence-based Nursing)」という言葉がよく使用されています。言うまでもなく、看護領域においても、科学的・統計学的な根拠に基づいたケアを提供することは重要です。
一方で、患者ひとりひとりにあったケアを提供するためには、信頼性の高いエビデンスを求めるだけでなく、それを吟味するための批判的な視点も必要だといわれています。根拠を正しく見極める力もまた、求められているようです。
まとめ
「エビデンス」は、証拠・根拠という意味の言葉で、ビジネスシーンでは「エビデンス資料」「エビデンスベース」などという風に使われています。経理では領収書、IT業界では議事録や契約書、医療では臨床データなど、使用シーンで若干ニュアンスが異なりますが、いずれも「根幹となるような重要なもの」を指す言葉です。仕事そのものの信頼性にもつながる「エビデンス」はビジネスのキーワードとしてぜひ覚えておきましょう。