「一触即発」は危機的な状況を表す四字熟語です。「一触即発の状態だ」といったように、これから何かが起こるかもしれないシーンでよく使われます。
この記事では「一触即発」の意味と使い方を例文とともに解説します。類語や英語表現も参考にしてみてください。
「一触即発」の意味とは?
「一触即発」の意味は「危機に直面している様」
「一触即発」は「いっしょくそくはつ」と読み、「少しでも触ろうものならば爆発しそうな様子」を指します。そこから、重大なことが起こりそうな危機的状況に直面していること・きわめて緊迫した状況であることを意味する言葉です。
「一触即発」が正、「一瞬即発」とはいわない
「一触即発」と似た表現として、「一瞬即発」という表現を使う人もいます。しかし、この「一瞬即発」という四字熟語は存在しません。「一触即発」と読みは似ていますが、「一瞬即発」は誤用と考えられますので、注意しましょう。
「一触即発」の使い方と例文
「一触即発の状態にある」という言い方が一般的
「一触即発」は、国際情勢を告げるニュースなどでもよく耳にする表現です。「一触即発の状態」「一触即発の緊張感」など、何かが起こりそうな場面を表す言葉として使われます。
既に関係が悪い場合を指して使う
「一触即発」は、ちょっとしたことがきっかけとなり、大変な事態を招きそうな危機的な状況を指して使う言葉です。そのため、すでに緊張状態にあったり、何かが起こりそうな状態であったり、穏やかではないシーンで使います。
張り詰めた空気を表すのにも使える表現で、少なくとも、相手との関係が良好な場合で使う言葉ではありません。
「一触即発」は政治・スポーツ・ビジネスなど幅広く使える
「一触即発」は国際情勢や政治のほか、スポーツやビジネスなどで幅広く使うことができます。たとえば「社内の競争が激しく、フロアは一触即発の状態を呈している」などという表現も可能です。
「痴話げんかと言うには程遠い、一触即発の緊張感が二人の間に漂っている」という風に、身近な人間関係に対しても使うことができます。
「一触即発」を使った例文
- 両国は依然として、一触即発の緊張状態にあります。
- 現場は一触即発の状況です。
「一触即発」の類語
「危機一髪」「一髪千鈞」が類似の四字熟語
「一触即発」の類語には、「危機一髪」「一髪千鈞」が挙げられます。「危機一髪」とは、「髪の毛一本程度のわずかな差で危険に追い込まれるような状況」を表す言葉です。
一方、「一髪千鈞(いっぱつせんきん)」は「非常に危険なことをする」という意味で、「一本の髪の毛で非常に重いものを引く」という例えを用いた表現です。「一髪千鈞」の「鈞」とは昔中国で使われていた重さの単位を指しています。
いずれも「危険な状況」を指すという意味では似ていますが、ニュアンスが若干異なるので使用には注意も必要です。特に、「危機一髪」は自分の状況のみを指して使うことができますが、「一触即発」は相手がいる状況で使うのが特徴です。
「瀬戸際」「紙一重」なども類語表現
「一触即発」と似た意味の言葉には、危険と隣り合わせの状況を指す「瀬戸際」「紙一重」「危うく」なども挙げられます。ほかにも、「すんでのところで」「一歩間違えれば」という表現も、日常的によく使う表現です。
また、話し言葉としては、「ギリギリ」や「スレスレの」といった表現も「一触即発」の類語と言えるでしょう。
「一触即発」を英語でいうと?
英語では「hair-trigger」を使う
英語で「一触即発」と表現したい場合には、「hair-trigger」を使います。この場合の「hair」は、「一本の毛」という意味です。日本語の「危機一髪」のように、「わずかな差」「ほんのささいなもの」の例えとして「hair(一本の毛)」が使われています。
また、「hair-trigger」の「trigger」は「引き金」という意味です。つまり、「髪の毛一本が引き金となるような緊迫した状況」という意味になります。たとえば、「That created a hair-trigger situation.(これが一触即発の状況を生み出した)」などという風に使うことができます。
まとめ
「一触即発」は、ちょっとでも触ると大変なことになりそうな危機的状況に使う表現で、すでに関係が悪化しているなど何らかの予兆が感じられるときに使います。政治のニュースでも一般的ですが、日常的にも使うことのできる表現です。