「金科玉条」の意味と由来は?類語や使い方・英語まで詳しく解説

「金科玉条」は漫画やアニメで使用されたこともあり、その文字からは華やかな様子をイメージしがちですが、「ルール」「規則」に関する非常に厳かな意味を持つ言葉でもあります。「金科玉条」の詳しい意味や語源、類語表現について解説します。具体的な使い方や英語表現もぜひ参考にしてみてください。

「金科玉条」とは?

「金科玉条」の意味は”最も大切な法律・規則”

「金科玉条」の意味は、“最も大切な法律・規則のこと”です。「絶対的なよりどころとなるもの」ということを表す四字熟語です。「特別なルール」というように、普通のものとは一線を画すニュアンスを持つ表現です。

「金科玉条」に使われている「金」と「玉」は、元々、宝石・財産といった貴重なものを表す漢字です。一方、「科」や「条」はいずれも法律や条文という意味があります。

文字通りに解釈すると「美しくて立派な法律(条文)」となり、そこから「最も大切なきまり」という意味で使用されるようになりました。さらに、国の法律だけでなく「その人が最も大切にしている事柄(ルール)」という意味でも使われています。

読み方は「きんかぎょくじょう」

「金科玉条」の読み方は、”きんかぎょくじょう”です。

語源・由来は中国

中国の『文選(もんぜん)』という詩文集に語源があるとされています。「立派な金科玉条」という表現で、新しい王朝の誕生・体制を称賛した一説が今に伝わる「金科玉条」という四字熟語の語源となっているようです。

日本でも古くから「金科玉条」という表現は使われていますが、「天皇が作った法律(規則)は絶対的なものである」というニュアンスで使用されたのがはじまりとされています。そこから時代を経て、法律に限らず、個人の信念・偉人の教えなどを指しても「金科玉条」という言い方をするようになったようです。

「金科玉条」の類語とは?

「金科玉条」は日常的にはなじみがないという人が多いため、他の言葉に言い換えた方が適切な場合もあります。言い換え・置き換えに使える類語を紹介します。

金科玉条の類語は「おきて」や「名分」など

「金科玉条」の類語には、「おきて」や「名分」が挙げられます。

「おきて」とは「定め」や「取り決め」のことで、「その社会の人が守らなければならないもの」というような「公な取り決め」に対して使う言葉です。「名分」は、「その身分の人が守るべき責務」という意味で、「道徳上そうすべきである」というニュアンスを含みます。いずれも、「金科玉条」の類語といえる単語です。

「金科玉条」は他にも、「正義(正しい道理のこと)」などと言い換えることができる場合もあります。

「金」を使った類似の四字熟語はほかにも

四字熟語には、「金科玉条」のように「金」を使ったものが他にもいくつかあります。中でも、「金科玉律」は、「最も大切で守るべき重要な法律・規則」という意味で、「金科玉条」の類語と言える表現です。また、「金律金科」も「自分にとって守らなければならない大切な法律・きまり」という意味があります。

「金科玉条」とあわせて、このふたつの四字熟語も押さえておきましょう。

「金科玉条」の使い方と例文とは?

「金科玉条」の意味が分かったところで、肝心なのがその使い方です。実際の会話ではどういった使い方をするのか、例文をともに紹介します。

「金科玉条」は自らの主義・ルールを示す際に使う

「最も大切な規則・法律」という意味の「金科玉条」は、しばしば、自らが大切にしている決まり・主義を示す際に使われます。「法律」だけでなく、尊敬している人の言葉や自分なりの決まりを主張する場合にも使うことができます。例えば、以下のような使い方が可能です。

  • 学生時代の恩師のことばを「金科玉条」としている
  • 時間厳守はビジネスマンの「金科玉条」だ

この場合、「恩師の言葉を大切にし守っている」「時間厳守は最重要事項のひとつだととらえている」という意味になります。

「金科玉条」には「融通が利かない」というニュアンスも

「金科玉条」は「絶対的なきまり」「守るべきルール」という意味がある一方で、「そうしないわけにはいかない」「例外が考えられず融通が利かない」とネガティブなニュアンスで使用されることがあります。たとえば、

  • これまでのやり方を「金科玉条」のごとく大切にしているが、効率が悪いことに気づくべきである
  • 君のとっての「金科玉条」が、すべての人にとって尊いわけではない

といった使い方をした場合、特定のやり方に固執していたり、自らの主義主張を押し通していたりと、いずれも周りが見えておらず自己中心的なニュアンスです。

「言い訳にする」というニュアンスでも使用可能

「守るべき決まり」という意味の「金科玉条」は、言い訳にする・盾にするという意味で使うことも可能です。たとえば、

  • 部長の言葉を「金科玉条」にして予算を通す
  • 男性の育児参加を奨励する人事制度を「金科玉条」とし、定時で退社する

という表現もできます。

「金科玉条」の英語表現とは?

「金科玉条」を英語で表現するとどうなるのでしょう。英語での表記例を紹介します。

金科玉条は英語で「golden rule」

「金科玉条」は「golden rule」を英訳することができます。ただし、この「golden rule」には「黄金律(人生にとってこの上なく有益な教訓)」と訳されることもあり、「金科玉条」とは異なる意味で解釈される可能性もあるため注意が必要です。

誤解を招きにくい表現としては、「金科玉条」の意味をもう少しかみ砕き、「~に忠実に従う」というニュアンスでの英文とするのがおすすめです。たとえば、「恩師の教えを金科玉条としている」は、「I follow my teacher’e words faithfully」とすることができます。また、「stick fast to~」にも「金科玉条とする」という意味の表現です。

まとめ

「金科玉条」には、「最も重要なきまり」「絶対的なよりどころになるもの」という意味があります。何を「金科玉条」とするのかには細かい制限はなく、法律などの一般的な決まり(ルール)のほか、尊敬する人の教えや個人的な主義など、幅広く使うことのできる表現です。一方で、「金科玉条」は、「頑なに守りすぎて融通が利かない」という皮肉めいた意味でも使うことができます。