「リフレッシュ休暇」とは、企業の休暇制度のひとつで、文字通り、従業員のリフレッシュを目的として付与される休暇のことです。この「リフレッシュ休暇」制度の具体的な特徴や有給休暇との違い、また「リフレッシュ休暇」のメリット・デメリットについても紹介します。
「リフレッシュ休暇」とは?
「リフレッシュ休暇」とは「勤続年数の節目で取得可能な連休制度」
「リフレッシュ休暇」とは、「勤続年数の節目で付与される休暇制度」です。一般的には5年や10年といった節目で付与される「リフレッシュ休暇」は、日ごろの業務へ取り組みを労う意味があり、文字通り心身の「リフレッシュ」が目的です。
「一定の勤続年数を超えた社員」に対して付与する企業もありますが、毎年ではないのが一般的です。
「リフレッシュ休暇」は企業が就業規則で定める
「リフレッシュ休暇」は、法律で定められた休暇(有給休暇など)とは異なり、企業が任意で設ける「法定外休暇」に該当します。そのため、具体的な運用方法は、企業が就業規則で定める必要があります。
教員など公務員でも取得可能な場合が
「リフレッシュ休暇」は企業で働く会社員だけでなく、教員などの公務員でも取得可能な場合があります。地方公務員の場合、その休暇制度は、所属する地方自治体が定めます。
ただし、公務員の休暇制度も見直しされていることが多く、中には「リフレッシュ休暇」を廃止した自治体もあるようです。
「リフレッシュ休暇」は厚生労働省が推奨する制度
厚生労働省は、「特別な休暇制度」のひとつとして、「リフレッシュ休暇」を次のように定めています。
職業生涯の節目に勤労者の心身の疲労回復等を目的として付与される休暇
厚生労働省も推奨する休暇制度である一方で、導入率には企業の規模で差が大きいのが現状です。1000人以上の企業では47.6%と半数近くまで「リフレッシュ休暇」の導入が進んでいるのに対し、100人以上300人未満の企業では、20%にも届いていません。(参考:厚生労働省 平成30年就労条件総合調査の概況)
「リフレッシュ休暇」の特徴とは?
「リフレッシュ休暇」の日数は勤続年数とともに増える
「リフレッシュ休暇」は、勤続年数に応じて休暇の付与日数が異なるのが大きな特徴です。たとえば、勤続年数3年で5日、5年で10日、10年で15日というように、日数が増えるのも珍しくはありません。
「リフレッシュ休暇」は、付与された日数を「連休としてのみ取得可能」とする企業と「分割取得」を認めている企業に分かれます。本来の「心身のリフレッシュ」という休暇の目的を考慮すると、連続して休暇を取るのが望ましいと言えるでしょう。また、付与された「リフレッシュ休暇」の取得を義務とする企業もあれば、任意取得として社員に任せる企業もあります。
「リフレッシュ休暇」は年次有給休暇とは異なる制度
「リフレッシュ休暇」は「年次有給休暇」とは異なる制度です。先述したように、「リフレッシュ休暇」は企業が任意で定める「法定外休暇」ですが、「年次有給休暇」は法律で定められた「法定休暇」に該当します。
そのため、「年次有給休暇」とは別に、該当者には「リフレッシュ休暇」が付与されることが多いですが、就業規則で定めれば、年次有給休暇の一部を「リフレッシュ休暇」として連続取得させることが可能です。
「リフレッシュ休暇」取得中の給料は支払われるのが一般的
「リフレッシュ休暇」として会社を休んだ分の給料は、支払われるのが一般的です。そのため、「リフレッシュ休暇」の日数分、減給されるようなことはありません。ただし、法律に定めがあるわけではないので、企業側が独自に無給とすることも可能であり、企業の運営に任されているのが実情です。
「リフレッシュ休暇」のメリットとは?
メリット①有給とは別に休みがもらえる・休みが増える
「リフレッシュ休暇」の一番のメリットは、従業員にとって休みが増えるという点です。年次有給休暇とは別に休暇がとれることはそうあることではありません。
メリット②モチベーションの回復・業務の改善につながる
「休みを取らずに働く」ことは、労働時間で見ると多くの業務ができることになりますが、実際には、モチベーションが下がったり、生産性が下がったりすることもあります。「リフレッシュ休暇」によって、そうしたマンネリを解消し、モチベーションの回復・業務の改善につなげることも可能です。
メリット③企業イメージの向上にもつながる
近年、過労死やパワハラ、長時間労働やサービス残業など、企業の労働環境が問いだたされることが増えています。そうした中で、労働者の健康やワークライフバランスの充実を後押しするような「リフレッシュ休暇」の設定は、企業としても好印象です。
「リフレッシュ休暇」のデメリットとは?
「リフレッシュ休暇」は、休暇中が無給である場合を除き、労働者にデメリットは考えられません。ここでは主に、企業側のデメリットや注意点について言及します。
デメリット①「リフレッシュ休暇」運用のために細かい規定が必要
「リフレッシュ休暇」は企業が任意で設定する休暇制度なので、導入・運用に際しては就業規則にて細かく定める必要があります。たとえば、「リフレッシュ休暇」と有給休暇を合わせて取得した場合の日数の上限もトラブル防止には必要です。
また、繁忙期には「リフレッシュ休暇」を取得せず延期することができる権利や「リフレッシュ休暇」取得年度の制限(次年度には持ち越せない)、退職予定の人は「リフレッシュ休暇」を取得できない、などといった制限についても定める必要があります。導入におけるこうした手間は、デメリットのひとつと言えるでしょう。
デメリット②「リフレッシュ休暇が取れない」という不満の声への対応
「リフレッシュ休暇」を導入する以上、「リフレッシュ休暇が取れない」という現場の声も覚悟しておく必要があります。
「リフレッシュ休暇」は、取得することを「義務」とする企業もありますが、一方で「任意取得」として運用する企業も少なくありません。任意取得の場合、労働者の多くが日々の業務に追われ取得できずに終わることも多いようです。
名ばかりの制度となることを避けるためには、社員に広く周知し、取得しやすい環境を整えておくことが重要です。
「リフレッシュ休暇」の英語訳とは?
「リフレッシュ休暇」は英語で「refreshment leave」
「リフレッシュ休暇」は、英語では「refreshment leave」となります。この場合の「leave」は「休暇」の意味で使用されています。他にも、
- leave for refreshment
- special incentive leave
といった表現も可能です。
まとめ
「リフレッシュ休暇」は、「勤続年数の節目に、労働者の心身の回復を目的として付与される休暇」のことで、企業が独自に定める休暇制度のひとつです。一般に、3年・5年・10年のように定められた年次で連休が付与され、休暇日数は勤続年数を経るにつれて増えるのが特徴です。本来の目的を考慮すると、与えられた「リフレッシュ休暇」はすべて取得するのが望ましいと言えるでしょう。