「2万人を優に超える観衆」などに使われる「優に超える」という表現には、どういった意味があるのでしょう。また実際に会話中などで使う場合には、注意点を知っておくことも大切です。
「優に超える」の意味と使い方について、例文を入れながら解説します。また、「優に超える」と似た意味の表現や英語訳についても紹介します。
「優に超える」とは?
「優に超える」の意味は”抜きんでている様・余裕をもって上回っている様”
「優に超える」の意味は、“抜きんでている様・余裕をもって上回っている様”です。数量・範囲・程度などを比較して、「十分に余裕をもって上回っている」ことを指して「優に超える」と言います。
「優に」とは”十分に”、「超える」とは”上回る”こと
「優に超える」の「優に」は、”十分に・楽に”という意味があり、余裕のある様を表します。一方、「超える」とは、”順序を飛ばして先になる”や”数量・範囲・程度などが上回る”という意味の単語です。この二つの単語をつなげることで「優に超える」という表現は成り立っています。
「優に超える」は、”裕に超える”あるいは”優に越える”のような漢字の誤りが多い表現ですので、意味を理解して間違って覚えないように気をつけましょう。
「優に超える」の使い方と例文とは?
「優に超える」は大きいこと・多いことを表現する
「優に超える」は、大きさや多さの程度を表現する際によく使用されます。
- 子供の背丈なら優に超えるほどの大きさだ
- 100㎞は優に超えるかと思うほどの道のりだ
- 急遽詰めかけた人も含めると、2万人を優に超える
- 人気店とはいえ、待ち時間は優に2時間を超えた
能力に対しても「優に超える」と表現できる
「優に超える」という表現は、ほかにも様々な物事の程度に対して用いられます。そのひとつが「能力」です。ビジネスシーンでは、スキルや能力を比べる際にも「優に超える」と使うことがあります。
- 今年の新入社員の能力は、昨年度を優に超えると評判だ
- 前回のチームを優に超える出来栄えだ
- 彼のスキルは私のそれを優に超えている。まだまだ努力が必要だ
物事を比較する場合には注意も必要
「優に超える」という表現は、単に数量が大きいことを表す際に用いられることもありますが、複数の物事を比べて「十分に抜きんでている」という意味でも使用されます。
ただし、何かを比べて一方をうまく言うということは、もう一方を貶めることにもつながります。たとえば、「Aさんの売り上げはBさんを優に超えている。二人は同期なのに…」というと、「同期に差をつけるほど仕事ができるAさん」への褒め言葉とも取れますが、一方で「Bさんは同期の中でも仕事ができない」という表現でもあるのです。
また、「当社の〇〇は、C社を優に超える性能です」というと、C社を貶めているようにも聞こえるため、聞き手が気分を害する懸念もあります。この場合は、特定を名指しするのではなく、「他社を優に超える性能」と言い換える配慮が必要でしょう。
「優に超える」の類語とは?
似た意味の表現は「十分に」や「少なからず」
「優に超える」と似た意味の表現には、「十分に」や「少なからず」といった単語が挙げられます。「十分に」とは、「満ち足りている様」を表すだけでなく「必要、またはそれ以上である様」という意味もあります。「少なからず」とは、「少なくはない=たくさん・非常に」という意味を持つ単語です。
- 100㎞は十分に超えた
- 待ち時間は少なからず2時間は超えた
「ざっと~は下らない」も類似の表現
「優に超える」と似た意味の単語には、「ざっと」という表現も挙げられます。「ざっと」という単語は、物事を大まかにいう際に用いられ、「大体」「およそ」の意味を持つ単語です。「優に超える」の言い換えでは「ざっと~は下らない」という言い方もよく使用します。
- ざっと2時間は待っただろう
- 集まった人はざっと見積もっても、2万人はくだらない
「優に超える」は”軽く上回る”とも言い換えられる
「優に超える」という表現には、数量などが「上回る」という意味があることは先述した通りですが、言い換える場合には「軽く上回る」という表現をよく使用します。「軽く」を付け加えることで、「十分に上回る」「抜きんでている」というニュアンスが加わります。
- 今日の試合は前回を軽く上回ったと評判だ
- 集まった人々は2万人を軽く上回った
- 子どもの背丈を軽く上回るほどの大きなひまわりだ
「優に超える」の英語表現とは?
英語では「well over」や「full」を使う
英語で「優に超える」と表現したい場合には、“well”や“full”を使用します。「well」には「十分に」という意味が、「full」は数量を表す単語とともに用いて「まる~」の意味があります。たとえば、「優に二時間かかる」という場合には、「It is a full two hours(まる二時間かかる)」となります。また、「solid(丸々の、完全な)」を用いて、「two solid hours」といった表現も可能です。
- He’s been waiting for you for two solid hours.(彼は君を優に二時間は待っていたよ)
- The profit was well over $10,000.(利益は優に10万ドルを超えた)
まとめ
「優に超える」という表現は、数量をはじめ、能力やスキルに対しても使われる表現です。ビジネスシーンでは、出来栄えを比べる際や利益に対して言及する際にもよく用いられます。幅広く使われていますので、これを機にぜひマスターしておきたい表現です。