「友人に感化される」「著名人の言葉に感化された」と使われる「感化」とは、どういった意味の単語なのでしょう。本記事では、「感化」の詳しい意味や使い方を、例文で解説します。また、「触発」をはじめとした類語との違いや英語表現についても紹介します。
「感化」の意味とは?
「感化」の意味は”人に影響を与え、心を変化させること”
「感化」の意味は、“人に影響をあたえ、心や行いを変化させること”です。「感化」の「感」は、”物事に触れ心が動く様”を意味し、「化」は”かえる・人格に影響を与える”といった意味があります。「感化」は、改まったシーンだけでなく、日常的にもよく用いられる単語です。
「感化」の使い方と例文とは?
「感化される」が一番よく使う表現
「感化」は、「感化される」という表現で用いられることが多いでしょう。「感化される」とすると、「(ある事柄に)心が動かされた・(ある物事の)影響を受けて考えが変わる」というニュアンスになります。
- 友人に感化されて、英会話に通うことにした
- 師匠に感化されたことで今の自分があると思っている
- 映画に感化され、私の人生は大きく変わった
「感化される」は悪いニュアンスでも使用される
「感化される」という表現は、「良い影響を受けた・良い方向へと変化した」という場合だけでなく、ネガティブな意味合いで使うことも可能です。たとえば、「映画に感化された人が模倣犯となる懸念もある」と使うと、「映画に悪い影響を受け、模倣犯として犯罪を犯す人が出てくることが心配される」というニュアンスになります。
- 占い師に感化され仕事を辞めてしまうなんて信じられない
- 彼は感化されやすく、悪徳セールスによく騙されている
- 友人に感化され、非行に走る若者も少なくはない
「感化する」とも使える
「感化」は、「影響を受けた・心が動かされた」というニュアンスで「感化される」の形で使われることが多いですが、「感化する」の形で使われることもあります。
「彼が更生した理由のひとつに、君が彼を感化したことが挙げられる」
この例文は、「君が彼の心を動かした」という意味合いになります。「(人・物事)が、(人)を感化する」の形で使うと覚えておきましょう。
「感化事業」は青少年の矯正教育に関する事業
「感化事業」とは、非行の少年少女を保護し、教育・矯正を図る事業のことです。この「感化事業」は、日露戦争後から大正前期にかけて用いられた名称で、犯罪や不良行為を犯した青少年やその恐れのある者たちを保護し、環境を改め、矯正教育を行う事業でした。「感化救済事業」や「教護事業」とも呼ばれます。
「感化されやすい人」「感化されない人」の特徴とは?
「感化されやすい人」は流されやすく、優柔不断
すぐに感化される人と、感化されない人の違いは何なのでしょう。まず、「感化されやすい」と言われる人は、「流されやすい」のが大きな特徴です。たとえば、意志が弱く、人の意見にすぐに流されてしまったり、周囲の意見に左右され、決められなくなる優柔不断な一面があったりする人は「感化されやすい人」と言えるでしょう。流されやすい分、騙されやすいという特徴も挙げられます。
その一方で、「感化されやすい人」は、感受性が豊かで柔軟性がある、と表現することもできます。人の意見に耳を傾け、良い方向へと転換できるのは「感化されやすい人」の長所と言えるでしょう。
「感化されやすい人」は素直な一面も
「感化されやすい人」は、人の話を素直に受け止めることができるのも特徴です。その時に聞いたこと・起こったことを受けて、素早く判断したり、状況を把握したりするスキルに長けているため、結果的にほかの人よりも感化されやすい・影響を受けやすいとも言ううことができるでしょう。
「感化されない人」は意思が強い
一方、「感化されにくい人」は強い意思を持っている、ということができます。自分をしっかりと持っている人が多く、周囲の話や見聞きするものに左右されないのが特徴です。ただし、「感受性」という言葉を使うと、「感受性が低い」と言えるでしょう。
「感化されない人」はマイペースな一面も
「感化されない人」は、自分の信念を持っているだけにマイペースです。自分に自信があるため、ほかの人に必要以上に合わせたり、空気に読んで行動したりする人が少ないというのが特徴として挙げられます。
「感化」の類語とは?
「感化」と似た意味の表現は”刺激を受ける・感銘を受ける”
「感化される」と似た意味の表現には、「刺激を受ける・感銘を受ける」と言った表現が挙げられます。たとえば、「上司に感化されてジョギングを始めた」は”上司に刺激を受けてジョギングを始めた”という風に言い換えることができます。
一方、「感動して心を動かされた」という意味では”感銘(かんめい)を受ける”と言い換えることも可能です。たとえば、「映画に感銘を受ける・社長のお言葉に感銘を受けた」などと使うことができます。他にも似た意味の表現では、「心に響く」なども挙げられます。
悪いニュアンスでは「洗脳」も似た意味の単語
「感化」を悪い意味で用いる場合には「洗脳」が似た意味の単語として挙げられます。「洗脳(せんのう)」とは、”相手の考えを根本的に変化させる”という意味の単語で、「占い師の言葉に洗脳され、高価な宝石を買ってしまった」などいった使い方が可能です。
「触発」は”感化”の言い換えに使えない場合も
「触発」もまた、「感化」と似た意味を持つ単語です。「触発(しょくはつ)」とは、”見聞きすることで、衝動・感情・意欲を誘い起こす”という意味があります。たとえば、「上司に触発されて、ジョギングをはじめた」という風に使うことができます。
「感化」は”共感し、考えや行動を変化させる”というニュアンスであるのに対し、「触発」は”あることをきっかけに、相手に行動させる”という意味があり、瞬間的・衝動的なニュアンスを持つ点が特徴です。また、「触発」は主にポジティブな文脈で用いられる点でも「感化」とは異なります。
「感化」と「看過」は意味の異なる単語
「感化」と同じ読みをする単語に「看過」があります。
「看過」は、「目にしておきながら、問題にせず見逃すこと」という意味の単語で、「看過できない(看過することができない)」という表現でよく用いられます。たとえば、「見て見ぬふりをする・(気づいておきながら)放置する」というのが「看過」です。
「感化」と「看過」は全く異なる意味の単語で、「感化できない」といった使い方はしません。いずれもビジネスシーンでよく用いられる単語なので、混同しないようにしましょう。
「感化」の英語訳とは?
「感化」は英語で”influence”
「感化」を英語で表現する場合には、“influence”を使用します。
「influence」は名詞では「影響・感化」、動詞では「影響を及ぼす」という意味です。日本語の「感化される」は、「be influenced by」と表現するのが一般的ですが、「under the influence of~」を使用することもあります。また、「刺激される」という意味の「be inspired」を用いて表現することも可能です。
- I was influenced by my mother and decided to study abroad.(母に感化され留学を決めた)
- I decided to study abroad under the influence of my mother.(母に感化され留学を決めた)
- He was inspired by his teacher.(彼は教師に感化された)
まとめ
「感化」は「人に影響を与え、考えや行動を変化させること」という意味の単語で、「感化される(感化された)」という表現で用いられるのが一般的です。似た意味の「触発」が良い方向へと変化したことに使われるのに対し、「感化」は、良い変化・悪い変化のいずれにも使うことができるのも大きな特徴です。文脈から、「感化」の意味する変化の良し悪しを正確に読み取ることがポイントです。