「ダブルチェック」の意味と方法とは?「クロスチェック」も解説

ミスを防ぐために書類の「ダブルチェック」を行うことがあります。特に医療・看護の現場では、ことあるごとに「ダブルチェック」を行うものです。本記事では、「ダブルチェック」という言葉の意味と併せて、実際の「ダブルチェック」の方法や問題点についても言及します。また「ダブルチェック」の類語「トリプルチェック」や「クロスチェック」についても解説します。

「ダブルチェック」とは?

「ダブルチェック」の意味は”人を変えて再度チェックすること”

「ダブルチェック」の意味は、“人を変えて、再度チェック・確認をすること”です。たとえば、「Aさんがチェックしたものを、Bさんが再度確認する」という仕組みが「ダブルチェック」です。

なお、1回目と2回目のチェックは、同じ方法でも異なる方法でも問題ありません。「どんな方法で」というよりも、「人を変えて」という点がポイントです。

英語の「double-check」に由来、ニュアンスには違いも

「ダブルチェック」というカタカナ語は、英語の「double-check」が定着したものと考えられます。ただし、ニュアンスには多少の違いがあり、英語の「double-check」は、「再確認する・念を入れる・(慎重を期して)二重に点検する」の意味を持ちます。「二重点検・再点検」の意味を持つ名詞としても使用できます。

「ダブルチェック」はビジネス書類だけでなく医療・看護界では必須

「ダブルチェック」はビジネスシーンでもしばしば行われますが、特に、医療・看護・介護業界では必須作業です。たとえば、「介助手順をダブルチェックする」「患者氏名と薬の種類をダブルチェックする」は日常的な一コマでしょう。ビジネスシーンでも、例えば次のような使い方ができます。

例文
  • 来賓の名簿をダブルチェックする
  • ミスを防ぐために、顧客名と請求額のダブルチェックは必須だ
  • 「ダブルチェックお願いします」

「ダブルチェック」の具体的な方法とは?

「2人連続型」「2人連続双方向型」など様々な方法がある

「ダブルチェック」には、いくつかの方法があります。そのひとつが「2人連続型」です。これは、「2人が連続して、同じ方法で点検する」という方法で、「Aさんが点検したものを、全く同じ方法で、次にBさんにお願いする」というやり方です。

これに対し、「2人連続双方向型」というと、「Aさんが上から順に確認し、続いて、Bさんが下から順に点検する」という風に逆方向から点検する方法です。リストの整合性を見るのであれば「上から下に・下から上に」、請求書の確認であれば「売上データから請求書・請求書から売上データ」という風に、使用する手順やツールを入れ替える点が特徴です。

また、AさんがやってからBさん、という風に連続して行うのではなく、AさんとBさんが2人がかりでやるという方法(2人同時双方向型)もあります。たとえば、「Aさんが売り上げデータを読み上げ、Bさんが請求書を確認」、続いて「Bさんが請求書を読み上げて、Aさんが売り上げデータを確認」という例です。

ひとりで「ダブルチェック」を行うという例も

「ダブルチェック」は、本来”人を変えて2回点検(確認)する”という意味ですが、実際のビジネスシーンでは「ひとりダブルチェック」が行われる例も少なくありません。たとえば、「単純に2回確認する」が良い例です。

また、同じ人物が時間を空けて点検する・同じ人物が確認する方向を逆にして点検する、なども「ひとりダブルチェック」と呼ばれます。人員がいない・時間が足りないなどの理由から行われることも多い手法です。

「ダブルチェック」に甘んじて責任感・緊張感が薄れる?

「ダブルチェック」は、”確認漏れがあった・確認したけど見落としていた”という人為的なミスを防ぐために行われるもので、確認の精度を高めるために行われます。しかし、「後で○○さんがチェックしてくれるから大丈夫」あるいは「**さんがチェックしてOKだったから大丈夫」という思い込みで、責任感や緊張感がそがれやすく、結果としてずさんなチェックにつながることがあります。

また、「先輩がチェックしたのに間違っているとは言いづらい、この程度なら大丈夫だろう」とミスが放っておかれるケースもあるようです。

「ダブルチェック」の本来の意味・目的を忘れず、担当者が互いに依存せずに行う体制・空気づくりが「ダブルチェック」の精度の要となります。

「ダブルチェック」の類語とは?

「トリプルチェック」は3人で確認すること

「ダブルチェック」と似た意味の単語に”トリプルチェック”が挙げられます。これは、「ダブルチェック(2回の点検)に加え、さらにもう1回、ほかの誰かが点検する」という方法です。

理論上、2回点検するよりも3回点検したほうが精度は上がるはずですが、実際には「ほかの誰かが確認してるから大丈夫」という緊張感のなさから、「ダブルチェック」よりも精度が下がる、という意見も少なくありません。

「クロスチェック」は別の方法で複数回チェックすること

「クロスチェック」とは、”最初に行った点検方法とは異なる手法、あるいは異なる視点で点検すること”という意味です。

たとえば、在庫数を点検する際に実物を数え、データとの整合性を確認します。その次は、ツールを変え、「今月の使用数」のデータと照らし合わせ、在庫数があっているかを確認する、というのが「クロスチェック」です。異なるツール・視点を用いることで、緊張感が生まれるため効果が高いと言われる方法です

まとめ

「ダブルチェック」とは、「人を変えて、点検・確認すること」という意味の単語です。実際のビジネスシーンでは、慣習的に「ひとりの人が2回点検する」という場合でも「ダブルチェック」という単語を用いている例もあるかもしれません。また、「ダブルチェック」の精度を高めるには、「○○さんも点検してくれるから大丈夫」と人任せにとらえるのではなく、当事者意識をもって行うことが大切です。職場の雰囲気・仕組みづくりでも精度が左右されるため、「クロスチェック」など他の方法も視野に入れて試してみてください。