担当者の不在を伝える際に、「○○はすでに退社しました」ということがありますが、実はこの表現は「退職」と「帰宅」のいずれの意味にもとることができます。本記事では、「退社」の詳しい意味と電話応対における実際の使い方について詳しく解説します。また、似た意味を持つ「退職」や「退勤」「帰社」など類語との違いについて、さらに「退社」の英語訳についても記載しました。
「退社」の意味と使い方とは?
「退社」の意味は”会社を辞めること・会社から帰ること”
「退社」の意味は、“会社を辞めること・会社から(自宅へ)帰ること”です。「辞める」以外にも、”オフィスを出て自宅に帰る・(その日は)オフィスには戻らない”という場合にも「退社」と使うことができます。
「退社」に使われる「退く」という単語には、”後方へ下がる・引退する”という意味の他”その場所から去る”という意味があります。この漢字の意味から「オフィスを去る=帰宅する」という意味がイメージできるでしょう。
「退社」を使った例文
「退社」は、文脈や前後の内容からどちらの意味になるのか判別を求められることもありますが、誤解のないように伝えるには「本日」や「○月末」のように時間を明確にするとよいでしょう。
- 9月末で退社させていただきます
- この度、一身上の都合で退社することとなりました
- (電話口で)佐藤は、3月末をもって退社いたしました
- 私用のため16時退社とさせていただいてもよろしいでしょうか
- (電話口で)佐藤は本日すでに退社いたしました
特に、電話応対で担当者の不在を伝える場合には、上記のように言葉を足してあげると親切です。また電話応対では、”今日はもう帰宅した”という意味で「本日はすでに失礼させていただいております」という言い回しを用いることもあります。「帰宅した」ことを伝える際の表現のひとつとして覚えておきましょう。
「退社」と類語「退職」の違いとは?
「退職」とは”会社を辞めること”を意味する単語
「退社」と似た表現に「退職」があります。「退職」とは、「会社を辞めること」を意味します。この点では、「退職」は「退社」と同じ意味を持つ単語ですが、「退職」には「会社から帰る」という意味はありません。「退社」に対し、「退職」は一つの意味しか持たないので非常にシンプルです。
「会社を辞める」の意味では「退社」よりも「退職」がベター
「会社を辞める」と表現する場合には、「退社」よりも「退職」を使った方が無難です。「退社」のように複数の意味を持たないので、誤解を生む懸念もありません。また会社勤めではない場合でも、”仕事を辞める”という意味で使えるのが「退職」の大きな利点です。たとえば、公務員や教職、銀行員などはその職業柄、「退社」とは表現しません。こうした職業の種類に関係なく、”仕事を辞める・職を退く”という意味で幅広く使えるため、「退職」という表現に統一しておくと良いでしょう。
電話応対では一言添えるとなお丁寧
「退職」はシンプルに”仕事を辞めたこと”を伝えることができますが、電話口などで「退職」の事実を伝える際にはやはり、一言添えると丁寧です。単に「佐藤はすでに退職しました」というよりも、”佐藤は先月末を以って、退職いたしました”と伝えます。また、「申し訳ございませんが、佐藤はすでに退職しております」といった言い回しを使用することもあります。
「退社」のそのほかの類語とは?
類語①「帰社」とは”オフィスに戻ること”を意味する
「帰社(きしゃ)」とは、”会社に帰ること”を意味します。「会社から帰る」のではなく、”出先から会社に戻る”ことを「帰社」と表現します。たとえば、「客先でのミーティングを終えたら、昼食をとらずに帰社予定だ」あるいは「本日帰社予定なし」などといった使い方が可能です。
なお、「帰社」は通常身内で用いることが多い表現で、電話応対など社外の人に対しては「あいにく、○○は本日戻る予定はございません」「14時には戻る予定でございます」などといった表現を使用することが多いでしょう。
類語②「退勤」とは”勤務を終えること”
「退勤」とは、”(その日の)勤務を終えること”を意味します。単に「会社を離れる」という意味ではなく、仕事が終わる・勤務を終了することを指して「退勤」と言います。「退社」と意味が似ていますが、”16時に会社を出て客先で打ち合わせをし、18時にその日の勤務を終えた”という場合には、「16時退社、18時退勤」という表現も可能です。
また、”(勤務を終え)すでに帰宅しました”という意味で「○○は本日はすでに退勤いたしました」という言い方をすることもあります。
「退社」の英語訳とは?
「退社」の英語訳は”leave”を使う
“会社から帰宅する”という意味での「退社」は、英語では“leave the office”と表現します。
- She already left the office.(彼女はすでに退社しました)
- He just left to go home.(彼はたった今退社しました)
「会社を辞める」を意味するのは”retire”
“会社を辞める”という意味での「退社」は“retire”を使うことが多いでしょう。他にも「quit」という単語や「leave from the company」という表現を使うことでも「退職」を言い表すことができます。
- She has already retired.(彼女はすでに退社しています)
- Quit my job.(仕事を辞めた)
まとめ
「退社」には、「会社を辞める」と「会社から帰る」の2通りの意味があります。そのため、単に「退社しました」と告げるだけではどちらの意味か判別がつきづらい、というケースも起こり得ます。「本日はすでに退社しました」あるいは「3月末で退社しました」というように使い方には配慮が必要です。