命の大切さを語る場合に、「貴い命」と「尊い命」の2通りの表現方法があります。本記事では、この「貴い」という単語の読み方や意味をはじめ、「尊い」との違いについて詳しく解説しました。また、「貴い」の類語や反対の意味を持つ単語、英語訳についても紹介しています。
「貴い」の意味と読み方とは?
「貴い」の意味は「非常に貴重である様」「地位が高いこと」
「貴い」には、「非常に価値があり貴重である様」「身分や地位が極めて高い様」という2通りの意味があります。「貴」という漢字は「貴重」などの単語の使用例があるように、「他に代えるものがなく、価値がある様・誰が見ても価値がある様」を指して「貴い」と表現します。
また、「高貴」という単語があるように、「身分や地位が高いこと」に対しても「貴い」という表現を使用することができます。
「貴い」の読み方は「たっとい」「とうとい」
「貴い」は「たっとい」あるいは「とうとい」と読みます。聖徳太子の教えのひとつに「和を以て貴しとなす(わをもってたっとしとなす)」がありますが、この「貴し」と同じ読み方をします。
一方で、「とうとい」という読みも可能です。「たっとい」という読みよりも耳馴染みがあるため、聞いている人もわかりやすいかもしれません。
「貴い」の使い方と例文
「貴い」は「価値の高い物」や「身分の高い様」を表す際に用いられます。特に、誰が見ても価値があるものに対して「貴い」と使うことが多いでしょう。
「貴い」を使った例文
- 地球にある資源は、限りのある非常に貴いものなので、後世に継いでいけるよう尽力されるべきだ
- 命は非常に貴いものだ。何人たりとも、ないがしろにされるべきではない
- 貴い身分の人には理解できない世界があるものだ
「貴い」と「尊い」の違いとは
「尊い」は「大切にすべきもの」「敬うべきもの」を指す
「とうとい」という読みの単語では、「尊い」という漢字表記のほうがなじみがあるかもしれません。
「尊い」とは「価値があり、大切である様」「崇高であり敬うべきもの」という意味を持つ単語です。「平和の尊さ」などの表現の他、神仏について語る際に用いられることが多いのも特徴です。また、ネット上では自分が愛する事物への表現のひとつとしても知られています。その存在を大切に思うあまり、「神聖にまでも感じる」というニュアンスを持つ表現として用いられています。
「尊い」を使った例文
- 生まれてきた我が子は筆舌しがたい程愛くるしく、尊い
- 推しが尊すぎて息ができない(ファンである人が素晴らしすぎて息ができない程だ)
「貴い」と「尊い」は厳密には異なる
「貴い」と「尊い」はいずれも、「価値のあるもの」「大切にすべきもの」という意味合いの表現ですが、厳密には違いがあります(※ただし、「貴い」も「尊い」も辞書で同じ項目に記載され、明確な区別を持たせずに使用されるケースもあります)。
「尊い」の字を使用する場合は、「自分が尊敬する気持ち」を主眼とした表現となり、やや主観的な表現となるのです。一方で、「貴い」とは、客観的に見ても「価値が高い様」に対して主に用いられます。
「推しが尊い」は、「ファンである自分の主観的な気持ち」を表しています。一方で、「資源」のように誰が見ても価値があり、かつ未来永劫その価値が変わらない(可能性が高い)、と思われるものは「貴い」という単語を使用します。
「貴い」の類語とは
「貴い」の類語「価値のある」「貴重な」
「貴い」と似た意味を持つ表現では「価値のある」「貴重な」などが挙げられます。たとえば、「貴い体験」は「価値のある体験」「貴重な体験」と言い換えることができるでしょう。
「気高い」「崇高」なども「貴い」の類語
「身分が高い」という意味で「貴い」と使った場合には、「気高い」や「崇高」などが似た意味の表現として挙げられます。「気高い(けだかい)」とは「上品で高貴な感じがあること・品格が高いこと」という意味です。「崇高(すうこう)」には、「気高く偉大である」という意味があります。
「貴い」の類語を使った例文
- 崇高な理想を掲げる
- 気高い雰囲気が伺える
「貴い」の英語訳
「貴い」は英語で「precious」や「valuable」と表現
「貴い」は英語では「precious」や「valuable」などを使って表現します。「precious」には、「貴重・とうとい・かわいい」などの意味があり、「valuable」には「貴重・とうとい」以外に「価値のある」という意味もあります。
また、「気高い・高潔な」などの意味を持つ「noble」という単語も「貴い」の英語訳として使用することができるでしょう。
- precious time (貴重な時間)
- precious metals (貴金属)
- valuable pictures (価値のある絵画)
- noble work (貴い仕事・立派な仕事)
まとめ
「貴い」とは、「価値があり貴重である様」「身分が高い様」という意味で、「誰が見ても客観的に価値がある様」や「その価値がこの先の未来も変わらないもの」に対して用いられることの多い単語です。一方、同じ読みを持つ「尊い」は「自らが敬うもの」「大切に思うもの」など主観的な感情に基づいた意味合いを持つ点が特徴的です。辞書では同じ項目で説明されることも多いですが、細かいニュアンスの違いも知っておくと便利です。
※「とうとい命」のように、いずれの漢字でも意味に大きな違いが生まれない場合もあります。この場合「命」は誰が見ても大切だとわかるだけでなく、誰にとっても大切なものだからと解釈することができます。