「立ち居振る舞いに気を付ける」や「立ち居振る舞いを磨く」など、ビジネスシーンでは各人の動作や身のこなしに言及することがあります。本記事では「立ち居振る舞い」という言葉の意味をはじめ、その使い方を例文で解説しました。また、「立ち振る舞い」との違いや類語、英語訳についても紹介しています。
「立ち居振る舞い」の意味とは
「立ち居振る舞い」とは「日常生活の動作・身のこなし」を意味する
「立ち居振る舞い」とは、端的に言うと「日常生活における動作・身のこなし」を意味します。「立ち居」には、「立ったり座ったりすること」という意味のほか「日常の動作」という意味もあります。
読み方は「たちいふるまい」、漢字では「立居振る舞い」とも
「立ち居振る舞い」は、「たちいふるまい」と読みます。漢字で表記する場合は、「立ち居振る舞い」のほか「立居振る舞い」と書く場合もあります。いずれも意味に違いはありません。
「立ち居振る舞い」の使い方と例文
「立ち居振る舞いを磨く/気を付ける」などと使う
日常における身のこなしを意味する「立居振る舞い」という表現は、自らの言動に言及する場合や他人の言動に注意を促すようなシーンでもよく用いられます。礼儀やマナーといったテーマで使われることが多いのも特徴です。
- ビジネスパーソンとしての立ち居振る舞いを磨く。
- 大人の女性としてのスマートな立ち居振る舞いを身につけたい。
- 君はもう少し立ち居振る舞いに気を付けた方がいい。
- TPOに合わせた立ち居振る舞いが求められる。
接客業などでは「立ち居振る舞い」が重視されやすい
「立ち居振る舞い」はオフィスで働く人よりも、接客など直にお客様と接する仕事の方が重視されやすいものです。
- 接客業では、スタッフの立ち居振る舞いもサービスのひとつと認識される。
- ホテルでの接客では日本ならではのおもてなしを体現した立ち居振る舞いが求められる。
たとえば、好印象につながるような「立居振る舞い」としては、背筋を伸ばして立つ(座る)といった姿勢をはじめ、目線をあわせ柔らかな表情を心がけることなどが挙げられるでしょう。また、大ぶりな動きやそれに伴う大きな物音はがさつで乱暴な印象を与えることもあります。
スピーディな動作の中でもメリハリをつけ、きびきびと動くことも好印象な立ち居振る舞いにつながると言えるでしょう。
「立ち居振る舞い」と「立ち振る舞い」の違い
基本的には同じ意味の単語
「立ち居振る舞い」と似た単語に「立ち振る舞い」が挙げられます。結論から言うと、「立ち振る舞い」も「立ち居振る舞い」も同じ意味を持つ単語ということができるでしょう。
ただし、厳密に言葉を読み解いていくと、「立ち居」が「立ったり座ったり」を意味するのに対し、「立ち振る舞い」は「立っている場合の身のこなし」という意味にとることもできます。とはいえ、現代では同じ意味の単語として用いられていて、「立ち振る舞い」という単語も「日常における身のこなし全般」を指す単語として使用されています。辞書でも同じ項目で用いられる表現です。
一説では、現代で広く用いられる「立ち居振る舞い」よりも、「立ち振る舞い」の方が言葉としての歴史は深いとも言われています。
「立ち振る舞い」には「旅立ちのためのご馳走・宴会」という意味も
「立ち振る舞い」には、「日常生活における身のこなし・動作」という意味のほか、「旅立ちや門出を祝うごちそうや宴会」という意味もあります。
この場合、「たちぶるまい」と読まれるのが特徴です。この場合の「振る舞い」は、「料理を振舞う」などと同じように「もてなす・ご馳走する」といったニュアンスとなります。
「立ち居振る舞い」の類語
「所作」とは「ふるまい」や「身のこなし」を意味する
「立ち居振る舞い」と似た意味を持つ単語に「所作」が挙げられます。「所作(しょさ)」とは「ふるまい・身のこなし」を意味する単語で、特に「その場に応じた身のこなし・しぐさ」という意味で用いられます。
「所作」には他に、「演技の動作」や「仕事・職業」といった意味、あるいは仏教用語として独特の意味もあります。
「作法」は「動作の正しいやり方・決まったやり方」の意味
「作法(さほう)」とは、「物事を行う決まった方法・決まったやり方」という意味を持ち、「決まり」や「しきたり」などのニュアンスを持つのが大きな特徴です。例えば「礼儀作法」のように、「礼儀にのっとった身のこなし・(その分野の)正しいやり方」といった意味合いで用いられます。
これに対し、「立ち居振る舞い」は「日常生活における身のこなし」を意味する単語であるため、守るべき規範やルールといったニュアンスは含まれません。
「起居」も「立ったり座ったり」を意味する単語
「立ち居振る舞い」と似た意味を持つ単語には、「起居」もあります。「起居(ききょ)」とは、文字通り「立ったり座ったりすること」という意味で、転じて「日常の生活・動作」といった意味でも用いられる単語です。「起居動作を手助けする」というと「日常動作の手助け」といったニュアンスです。
また、ほかにも「素行(そこう:平素の行い・ふだんの行動)」や「挙動(きょどう:人の動作・立ち居振る舞い)」なども類語と言えるでしょう。
「立ち居振る舞い」の英語
「立ち居振る舞い」は英語で「behavior」
「立ち居振る舞い」を英語で表現する場合は「behavior」を使用します。「作法・行儀」を意味する「manner」や「身のこなし」という意味を持つ「carriage」を用いて表現することもあります。
- Her manner of behavior is more beautiful than her teacher.(彼女の立ち居振る舞いは先生よりも美しい)
- She has graceful manners.(彼女は物腰が穏やかだ/彼女は立ち居振る舞いが穏やかだ)
- a person of decent carriage (きちんとした立ち居振る舞いの人)
まとめ
「立ち居振る舞い」とは、「日常における身のこなし・動作」という意味の単語で、ビジネスシーンにおいてはしばしばマナーや礼儀などの話題で用いられます。「立ち居振る舞い」を磨くには、マナー講座などを受講するほか、身近な人のスマートな「立ち居振る舞い」をまねるというのもひとつの方法です。TPOに合わせた臨機応変な「立ち居振る舞い」ができるのがビジネスパーソンとしては理想かもしれません。