「プライマリー」は英単語に由来するカタカナ表現で、医療や看護の現場をはじめ、ビジネスシーンで用いられることもあります。この「プライマリー」には、英単語同様2通りの意味があるため、使用シーンや組み合わせるワードで異なるニュアンスで使用されます。本記事では「プライマリー」の詳しい意味とともに具体的な使用例について解説しました。
「プライマリー」の意味とは
「プライマリー」には「基本的な」と「主要な」の意味がある
「プライマリー」には、まず「基本的な・初歩的な・最初の・一番目」という意味があります。たとえば「プライマリスクール」が英語(主に英国)で「小学校・初等学校」を意味することからも、「初歩的な・最初の」といったニュアンスが伝わるでしょう。
一方で、「プライマリー」には「主要な・主な」という意味もあります。この「主要な」という意味はカタカナ語としてもよく用いられていて、「プライマリー」を使った言葉を解釈する際のポイントにもなります。
英語「primary」に由来する単語
カタカナで記載される「プライマリー」は、英単語の「primary」に由来します。この英単語の「primary」には、「初期の・原始的な・初等の」という意味と「主要な・主な」という意味があります。
たとえば、同じ種類のものがいくつかある中で「最初に選ばれるもの」や「主として選ばれるもの」に対して「primary」と使われることが多いでしょう。いずれも、カタカナで用いられる「プライマリー」とほぼ同義と言うことができます。
「プライマリー」を使った表現
「プライマリーバランス」は国などの「基本的な財政収支」のこと
「プライマリーバランス」とは、「国や自治体などの基礎的な財政収支」を意味します。この「プライマリーバランス」がプラスの場合は、税収入などで必要な支出が賄えている状態ですが、「プライマリーバランス」がマイナスの場合は国債などを発行しないと支出がまかなえない状態です。近年の日本は後者で、「プライマリーバランス」がマイナスの状態が続いています。
「プライマリーケア」は「身近な医師の総合的医療」
「プライマリーケア」は医療に関する用語で、「身近な医師による総合的な医療」という意味で用いられます。大病院で行われるような専門性に特化した医療ではなく、日常的に何でも相談できるような医師による医療を指します。特に、患者が抱えるあらゆる不調に対処できる、幅広い専門性を備えた医師によって行われるものを指すようです。
看護では「主治看護師制」を「プライマリーナーシング」という
一方、看護の分野では「プライマリーナーシング」という言葉があります。この「プライマリーナーシング」とは、いわゆる「主治看護師制」のことで、入院から退院まで一人の看護師が継続して担当することを指します。医療と看護ではやや異なるニュアンスで用いられる点がポイントです。
「プライマリーヘルスケア」は健康を人権として達成するためのアプローチ
「プライマリーヘルスケア」は、基本的人権としての健康を達成するための方法やアプローチ・保健活動を意味します。この「プライマリーヘルスケア」においては、健康であるための活動に住民自身が主体的に参加したり、自分で決定したりすることを保障すること、またそのために住民がみずから問題解決していくためのアプローチが含まれます。
この場合の「プライマリー」は「一次的な・初歩的な」という意味です。まさに、地域における一次的な活動を強調したワードとして、用いられていると言えるでしょう。なお、先述した「プライマリーケア」はすでにある程度の医療体制が整った地域(先進国など)で用いられることが多く、総合的・継続的というニュアンスで用いられています。
ビジネスでは「プライマリー」と「セカンダリー」のセットで使うことも
「プライマリー」をビジネスシーンで使う場合は、「1番目」というニュアンスで用いられることもありますが、「主要な・メインの」といった意味合いでの使用も少なくありません。加えて、「セカンダリ」とセットで用いられることが多いのも、ビジネスシーンにおける特徴です。
「セカンダリー」とは、「二番目の・補助的な」という意味で用いられるカタカナ語で英単語の「secondary」に由来します。たとえば、「プライマリ」を「主要」の意味で使い、その「サブにあたるもの・予備となるもの」に対して「セカンダリー」と使います。
「プライマリーデータ」は「独自データ・自社データ」のこと
「プライマリーデータ」とは、「独自データ」や「自社のデータ」を指す表現です。たとえば、自分たちで調査・収集した情報やよそにはない情報が「プライマリーデータ」です。これに対し、すでにほかの機関によって公表されているデータ・情報は「セカンダリデータ」と呼ばれます。
まとめ
「プライマリー」には、「基礎的な・初歩的な」という意味と「主要な」の二通りの意味があります。使用シーンで読みわけが必要ですが、ビジネスシーンでは「1番目であり主要な」という意味で用いられることも多いでしょう。加えて、「2番目にあたる予備の」という意味を持つ「セカンダリー」と対で用いられることが多いのも特徴です。なお、「プライマリー」も「プライマリ」もどちらも同じ単語として用いられていて、意味に違いはありません。