「枢軸」の意味とは?語源・使用例に「枢軸国と連合国」も解説

物事の重要な部分、特に政治や権力に対して「枢軸」という単語を使うことがありますが、ほかにはどういった使い方があるのでしょう。本記事では「枢軸」の意味や語源・由来をはじめ、使い方について例文で解説しました。また、「枢軸国と連合国」の関係や「枢軸時代」など関連用語についても解説しています。

「枢軸」の意味と語源・由来とは?

「枢軸」とは”活動の中心となる大切なところ”という意味

「枢軸」の意味は、“物事の中心、活動の中心となる大切なところ”です。重要な部分を指して「枢軸」と言います。

なお「枢軸」は“すうじく”と読み、「くじく」あるいは「きじく」などの読みは誤りです。

「政治や権力の中心」の意味もある

「枢軸」には上記以外にもうひとつ”政治や権力の中心”という意味があります。こちらの意味で用いられることも多く、1936年のイタリア外相による使用をはじめ、同首相のムッソリーニが使ったことをきっかけに、広く用いられるようになったとも言われています。当時のドイツとイタリアの関係を表す「ローマ‐ベルリン枢軸」という表現も有名です。

「枢軸」の由来・語源は「戸のくるる」と「車の心棒」

「枢軸」の「枢」とは、”戸のくるる(枢)”を意味します。「戸の枢」とは、開き戸を開閉するための仕掛けの一種で、回転軸の上下に設けられた突起を枠のくぼみに入れることで戸が回転するようにした仕組みのことです。

一方の「軸」は”心棒(しんぼう)”のことで、車輪やコマなど回転する物の軸となる棒を意味します。戸を回転させる「枢」もまた、心棒(心棒の突起)と表現することができるでしょう。

このように、「枢軸」はいずれも、”(そのものになくてはならない)中心となる軸”という意味の漢字を重ねた表現です。

「枢軸」の使い方と例文とは?

「物事の中心」という意味で用いられる

「枢軸」は、”物事の中心”となるものを指す場合に使用することができます。たとえば、「枢軸産業」というと”中心を担う重要な産業”という意味になります。同様の意味では「産業の枢軸」とも表現することができるでしょう。

例文
  • 枢軸産業を担う一員として、責任感と使命を持っている。
  • 枢軸となって働くには彼はまだ日が浅い。

政治的意味合いでの使用も多い

「枢軸」は政治的な意味合いで用いられることも多い単語です。たとえば、「国の枢軸」が良い例です。この場合、”国の中心となる大事な部分”つまり「政治の中心」という意味にもとることができます。

例文
  • 彼は間違いなく、この国の枢軸を担う政治家になるだろう。
  • 枢軸を変えなければ、末端にある国民の生活は何も変わらない。

「枢軸時代」は思想の転換期を指す

「枢軸時代」とは哲学者のカール・ヤスパースが提唱した概念で、人々がそれまでの神話時代から転換し、人としての自覚を持ち始めたという転換時期を指します。

紀元前500年頃からギリシアをはじめ、インドやイラン、中国などの思想家が次々と登場し、自己の自覚、人間としての存在を意識するようになりました。これにより「歴史の軸が転換した」としてカール・ヤスパースは「枢軸時代」と名付けたようです。

歴史の転換期を表す単語ということで、同じく歴史に関するワードである「枢軸国」と混同されることがありますが、「枢軸国」と「枢軸時代」は言葉としては無関係です。

「枢軸国」とは?

「枢軸国」とは”親密、かつ共同行動をとる国”を意味する

「枢軸国」とは、”国際的に親密で友好関係にあり、かつ共同行動をとる国々”を意味します。この「枢軸国」による同盟は「枢軸同盟」とも呼ばれます。

一般には第二次世界大戦時の日・独・伊などを指す

一般に、「枢軸国」とは第二次世界大戦中の「日独伊三国同盟」を中心とした国々を指して用いられることが多いでしょう。「枢軸」という単語はムッソリーニが「ベルリン‐ローマ枢軸」と表現したことから広く使用されるようになったことは先述しましたが、このドイツとイタリアというファシズム国家による協力体制を指して「枢軸国」と呼ぶようになったようです。

この2国に加え、1936年に「日独防共協定」が、翌年にはイタリアが参加し「三国防共協定」が成立したことから日本を含む3国が「枢軸国」と呼ばれます。この3国の軍事態勢は、1940年の「日独伊三国同盟」によってさらに強化されたと言われています。

なお、この「防共協定」にはのちにハンガリーなど他の国々も参加していることから、「枢軸国」には3国以外の諸国が含まれることもあります。

「枢軸国」と戦い勝利したのが”連合国”

第二次世界大戦において、「枢軸国」と戦ったのが「連合国」です。「連合国」はアメリカ・イギリス・ソ連によって主導されました。多くの人が知るように、第二次世界大戦は「連合国」の勝利によって幕を閉じています。

「枢軸」の英語訳とは?

「枢軸」の英語訳は”central”を使う

「枢軸」は、英語で“central”を使って表現することができます。「central」には”中央の・中心の”という意味があり、”中心”という意味を持つ名詞「center」を使って表現することも可能です。

一方で、単に「中心となる軸」という意味で用いる場合には、”軸として旋回する・旋回軸”などの意味を持つ「pivot」という単語が使用できるでしょう。

例文
  • Tokyo is the center of commercial activity.(東京は商業活動の枢軸だ)
  • This machine turns upon the pivot.(この機械は枢軸を中心に動く)

なお、「枢軸国」は「the Axis Powers」あるいは「the Axis」と表現されるのが一般的です。「axis」には”軸・中枢”などの意味がありますが、「the Axis Powers」は定型表現として覚えておくとよいでしょう。

まとめ

「枢軸」とは”物事の中心となる重要な部分”を意味する単語で、しばしば政治や経済を話題にする際に用いられます。一方で第二次世界大戦時に同盟関係にあった日独伊の3国を指す単語「枢軸国」というワードでもよく知られています。歴史だけでなくビジネスシーンでも使える単語ですので、ぜひ覚えておきましょう。