「話題作の公開時期が迫る」「時期が重なった」など「時期」というワードはビジネスを問わず頻繁に耳にします。この「時期」はほかの「時季」や「時機」とはどう違うのでしょう。「時期」の意味と使い方をはじめ、「時季」「時機」など同音異義語との違いや類語・英語訳についても解説しました。
「時期」の意味とは?
「時期」の意味は”期間・その時”
「時期」の意味は、“(ある程度の)幅を持った時・期間”です。また、「その時・そのおり」という意味もあります。何かを行うための期間や、今がそのタイミングであることを表現する際に「時期」という単語は使用されます。
「時期」の使い方と例文とは?
「時期」は期間やタイミングを言い表す際に用いられる
「時期」は物事の期間や何かのタイミングを言い表す場合に用いられます。たとえば、「彼女と忙しい時期が重なった」というと「忙しい期間・忙しいタイミングが重なった」と言い換えることができるでしょう。明確な日時を伴う期間というよりは、ある程度の曖昧な期間を指して「時期」と使うのが特徴です。
- かねてからの計画とはいえ、この時期に事業を始めるのは得策ではないだろう。
- 入社の時期は相談に応じます。=入社のタイミングは相談に応じます。
- 話題作の公開時期が近付いてきた。=公開の時が近づいてきた。
「時期的に」もよく使う表現
「時期」は、「時期的に」あるいは「時期的な」という表現をすることも多いでしょう。この場合も、やや幅を持たせた期間やタイミングを表現します。
- 時期的にまだ早い。
- 昇進にはスキルだけでなく時期的な問題もある。
- 時期的に繁忙期と重なるため、有給取得は厳しいよ。
「時期が来れば分かる」は”その時”の意味に
「時期が来れば分かる」とは”その時が来れば分かる”という意味の言い回しです。この場合の「時期」とはまだ先のことを指していて、「いまではない=タイミングが早い」というニュアンスで誰かを諭す場合にもよく用いられます。
「時期尚早」とは”まだ早すぎる”という意味の四字熟語
「時期尚早」は”実行するにはまだ時が早すぎる”という意味の四字熟語です。「尚早」は”しょうそう”と読み、「まだ早すぎる」という意味があります。
- 計画実行には時期尚早だ。
- 新規事業に手を出すのは時期尚早だろう。
「時期」の類語とその違いとは?
「時季」は”季節”を意味する単語
「時期」と混同しやすいのが「時季」です。「時季」には”事を行うのにふさわしい季節”という意味があります。「時期」が”期間・タイミング”を意味するのに対して、「時季」は「季節」に言及する際に使用するのが特徴です。たとえば、季節外れである様は「時季外れ」、行楽シーズンは「行楽の時季」などと表現することができます。
その意味は異なるものの「時期」と「時季」は混同しやすいので注意が必要です。たとえば「入学の”ジキ”」というと春の季節をイメージしますが、”入学のタイミング”という意味で「入学の時期」と書くのが一般的です。間違えやすい表現ではありますが、「時季が重なる」などといった使い方はありません。「時季=季節」と覚えておきましょう。
「時機」は”機会・チャンス”を意味する
「時機」は、”物事をするのに一番よいおり・適した時”を意味します。端的に言うと、「機会・チャンス」が「時機」ということになります。たとえば、「時機を見て行動する」とは”良い機会をみはからって行動する”という意味になります。「時機を逃さずに決断すべきだ」といった使い方も可能です
「時期」が”期間・タイミング”を意味するのに対し、その中でも「よいタイミング・チャンス」というニュアンスで用いられるのが「時機」ということができるでしょう。
「次期」は”次の時期・期間”のこと
「時期」と同じ読みをする単語には「次期」も挙げられます。「次期」は”次の時期・期間”を意味します。たとえば、「次期総理との呼び声が高い」は”次の時期の総理と予想されている(評判だ)”という意味にとることができます。
「時期」の英語訳とは?
「時期」は英語では”time”
「時期」は英語では”time”を使用します。「毎年この時期に」は”at this time every year”と英訳することができます。「period」という単語を使った「in this period」といった表現も可能です。
- The times are right.(時期がいい)
- The times are unfavourable.(時期が悪い)
- It is too early now. / It is premature.(時期尚早だ)
まとめ
「時期」とは、ある程度の幅を持った期間や”その時・そのおり”という意味で用いられる単語です。「公開時期を延期する」など「○○時期」という表現でもよく用いられます。一方、同じ読みをする「時季」は「季節」に関して、「時機」は”機会・チャンス”を指して用いられる点で異なります。「時期・時季・時機」のうち、最もよく用いられるのは「時期」です。まずは「時期」の意味と使い方から押さえておきましょう。