「長いスパンで物を見る」「スパンがあく」など、ビジネスシーンで用いられるカタカナ語「スパン」にはどのような意味があるのでしょう。本記事では「スパン」の意味と共に、ビジネス・建築・アパレルなど分野別の使い方や例文を紹介しました。類語や言い換えに使える日本語も解説しています。
「スパン」の意味とは?
「スパン」の意味は”時間の幅・時間的な間隔”
「スパン」の意味は、“ある時間の幅・時間的な間隔・時期”です。時間的な意味のほか、「航空機の翼幅」や「柱と柱の距離」という意味でも用いられます。
英単語の「span」に由来するカタカナ語
「スパン」は英単語の”span”という単語を使用したカタカナ語です。英語ではカタカナ語の「スパン」と同じ意味の他、動詞として”(特定の期間に)及ぶ・(橋が)かかる・(手で距離を)はかる”などの意味もあります。
ビジネスでは「期間・間隔」の意味で用いられる
ビジネスシーンでは一般に、「期間・間隔」の意味で「スパン」と使うことが多いでしょう。「10年のスパン」「5年スパン」などといった数字を伴った使用もよく見受けられます。
時間の幅について言及する際に「長いスパン・短いスパン」といった表現をすることも多いでしょう。たとえば、「長いスパンで物事を考える」と使うと”長い目で見る・長期的視点で物事をとらえる”などの意味になります。
- 短いスパンで結果を出すことも重要だ。
- 短いスパンで決着をつけるつもりで営業に臨む。
- 新しい人事制度では2年スパンで昇進試験を導入するらしい。
「スパン」の使い方と例文とは?
「スパンがあく」とは「時間の間隔があくこと」を表す
「スパンがあく」とは”時間的な間隔があく”という意味にとることができます。たとえば「前回から少しスパンがあいた」というと”前回からは少し時間がたった・久しぶりだ”のニュアンスになります。
経営においては「スパン・オブ・コントロール」という表現も
ビジネス、とりわけ経営においては「スパン・オブ・コントロール」という表現があります。この場合の「スパン」は”範囲・目の届く距離”という意味で用いられていて、「スパン・オブ・コントロール」とは”ひとりの管理職(マネージャー)が直接管理する部下の人数・業務の範囲”という意味です。一般に、「スパン・オブ・コントロール」の範囲は5~7人程度と言われています。
また、単に”上司が管理できる範囲・上司が管理すべき範囲”の意味で「スパン」と使用されることもあります。
- スパンを広げすぎたので管理職からは不満の声が上がっている。
- これ以上管理職のスパンを広げるべきではないだろう。
- ワークライフバランスを考えると、もう少しスパンを狭めてゆとりを持たせた方がよいだろう。
アパレルでは「スパン糸」の表現で用いられる
アパレルの分野では、「スパン」は糸の名称として用いられます。「スパン糸」とは、コットンやリネンなどの綿状の短い繊維をより合わせた糸のことです。ふくらみと毛羽があるのが特徴で、生地の素材や縫い糸として使用されます。
これに対し、毛羽がなく光沢があるのがフィラメント糸です。こちらは絹やナイロンといった長い繊維をより合わせて作られます。
建築においては「梁などの間の距離」を指す
建築においては、梁など支点柱と支点柱の距離のことを「スパン」と呼びます。日本語では「梁間(りょうかん・はりま)」や「わたり」と呼ばれるものです。
不動産の分野では柱と柱の間の距離を「スパン」といい、マンションの開口部をさして「スパン」ということも多いでしょう。
「スパン」の類語とは?
「スパン」と似た意味の単語は”ターム”
「スパン」と似た意味を持つ単語には”ターム”が挙げられます。「ターム(term)」とは、”一定の期間・限られた期間”を意味し、たとえばビジネスでは「契約期間」を指す単語でもあります。
「ターム」は、厳格な定めがあり変更が効かない期間を指す点が大きな特徴です。これに対し「スパン」は、必要に応じて変更できるケースに用いられることが多いと言えるでしょう。
「期間・時間」などの言い換えも可能
「スパン」を言い換える場合には”期間・時間・間隔”などの表現が使用できます。
たとえば、「短いスパンで考える」は”短い期間で考える”と言い換えることが、「スパンがあく」は”時間があく・間隔があく”と言い換えることができるでしょう。
また、「長いスパンで~」や「短いスパンで~」といった表現は、”長い目で見て・短期的な視点で”などといったワードに置き換えることもできます。
まとめ
「スパン」とは”ある程度の幅を持った時間”を意味する単語で、日本語でいうところの「期間・間隔」などと似た意味を持つ表現です。「5年スパン」のように具体的な数字と共に用いられることもあれば、「長いスパン」などといった使い方でも知られています。
経営の分野では「目の届く範囲」の意味で、建築の分野では「梁間」の意味でも用いられます。分野によって異なるニュアンスで用いられる点が「スパン」というワードの特徴でしょう。