「損得勘定で動く人」というと、どういった人をイメージしますか?ここでは、「損得勘定」の詳しい意味とその使い方をはじめ、類語、英語訳について解説します。また、男女問わず存在する「損得勘定で動く人」とは具体的にはどういった人なのか、その特徴を紹介します。
「損得勘定」の意味と読み方とは?
「損得勘定」の意味は”得か損か、打算的に判断する様”
「損得勘定」の意味は、“自分にとって得か損かを打算的に判断する様”です。得なのか損なのか、メリットがあるのか否かを天秤にかけ、その利害を基準として物事を判断することを「損得勘定」と言います。
「勘定」には”あらかじめ見積もること”の意味もある
「勘定」には“数量や金銭を計算すること”という意味の他、“先々生じるであろうことを、あらかじめ見積もること・いろいろと考えて出た結論”などの意味があります。「損得勘定」の場合”損か得かを計算する”という意味にとらえて問題ないですが、「判断の基準として用いる」という意味を持つ点もポイントです。
読み方は「そんとくかんじょう」、「損得感情」は違う
「損得勘定」の読み方は、“そんとくかんじょう”です。同じ「損得勘定」の意味で「損得感情」と書かれることがありますが、これは誤りです。「物事を損か得かで判断する」という意味では「勘定」の字を用いて「損得勘定」と書きます。
「損得勘定」の使い方と例文とは?
人の性質や行動を言い表す際に使う
物事の判断基準、考え方である「損得勘定」は、ふるまいや言動に言及する際だけでなく、人の性質を言い表す際にも用いられます。
- 彼は損得勘定で動く人だ。
- 損得勘定で付き合うのは相手にも失礼だと思う。
- 彼女は物事を損得勘定で考える癖がある。
- 損得勘定抜きにもう一度考えてもらえないだろうか。
「損得勘定」はネガティブな意味合いで用いられる表現
「損得勘定」は「損か得かを打算的に判断する様」という意味ですが、もう少しかみ砕いていうと「損か得かを考えた際に、損になる場合は実行しない」というニュアンスを持ちます。そのため、「得なことしかしない打算的な人」というネガティブな意味合いで用いられるのが通例で、良い意味で用いられることはまずないでしょう。
「損得勘定で動く人」とはどんな人?
人よりも得したい、利益に目がないのが一番の特徴
実際に「損得勘定で動く」と言われるのはどのような人なのでしょう。
一般に、「人よりも得したい」と常に考えていて利益に目がない、という人は「損得勘定」で動きます。「ゆくゆくは自分にプラスになる」という先を見据えた考えではなく、目先の利益に固執しやすいこと、また、主観的で視野が狭いのも大きな特徴と言えるでしょう。
仕事では業績や評価にプラスになることを優先する人
ビジネスシーンでは、業績や人事評価、査定にプラスにはたらく事柄が「損得勘定」でいうところの「得」にあたります。そのため、「出世のためなら何でもする」というような人が代表例と言えるでしょう。
ビジネスにおいては「得になることを常に考える」という姿勢が業績アップや向上心につながることもありますが、一方で欲を出しすぎて空回りというケースも少なくありません。また、「得」に目を向けすぎ他をないがしろにしやすいため、反感を買うことも多いです。
恋愛では信用を失い、長続きしないことも
恋愛において「損得勘定で動く人」は、長続きしない傾向にあります。相手の置かれた状況などは無視して常に自分に「得」となることを考えるため、「損」な部分を目の当たりにするとすぐさま冷めてしまいがちです。また、約束をドタキャンしたり、気分屋な一面があったりと信用を失くしがちなのも長続きしない要因と言えるでしょう。
「損得勘定」で人と付き合う人は嫌われやすい?
恋愛に限らず、「損得勘定で動く人」は長期的な人間関係が築きにくいのが短所と言えるでしょう。「困ったときはお互い様」という考えがないため、誰かを助けてあげることもなければ、助けられるような関係を築くことができないためです。また、「損」と感じた時点で関係を断ってしまうため、人間関係が希薄になりやすいのが特徴です。
「損得勘定」の類語とは?
「損得勘定」の類語は”打算的・勘定高い”
「損得勘定」と似た意味の表現(類語)では、“打算的”や“勘定高い”が挙げられます。「打算的」とは”何よりもまず、自分の損得を考えること”という意味で、まさに「損得勘定」と同様の意味を持ちます。「勘定高い」とは”打算的”という意味に加え、”金銭の計算に非常に細かい”という意味もあります。そのため、「損得」の中でも特に金銭的な意味合いを含んで用いられることの多い表現です。
「抜け目ない」「あさましい」と言い換えられる場合も
「損得勘定」のように自分の利益を優先とする考え方は“抜け目ない”や“あさましい”とも表現することができます。「抜け目ない」には”自分の利益を確保している・利益になりそうな事柄は逃さない”という意味の他、”抜けたところがなく準備が万全である”というポジティブな意味もあります。
一方、「あさましい」は”品性が乏しい・下品だ”といった意味の単語で、直接的ではありませんが「損得勘定」のように自分の利益を優先する様を非難する形で使える表現です。
- 本当に抜け目ないやつだ。
- なんともあさましい了見の持ち主だ。
「損得勘定」の英語訳とは?
「損得勘定する人」は英語で”calculating person”
「損得勘定で動く人・損得勘定する人」は英語で“calculating person”と表現されます。「calculating」とは”計算高い・打算的な・狡猾な”などの意味を持つ単語で、一般にネガティブなニュアンスで用いられます。
また、「報酬目当ての・金銭ずくの」などの意味を持つ「mercenary」を用いて「mercenary person」としても”損得勘定で動く人”という意味を表現することができます。
「損得勘定をする人」の英語表現を使った例文
「損得勘定をする人」の英語表現を使った例文をご紹介しましょう。
He is a very calculating person.
意味:彼は損得勘定で動く人だ。
まとめ
「損得勘定」とは”自分にとって得か損か、打算的に考えること”という意味で、「考えた結果、損となるような行動はとらない」というニュアンスを含むため基本的にはネガティブな意味合いで用いられます。「損得勘定」でシビアに考えることが出世につながった、などの例もあるかもしれませんが、人間関係において「損得勘定」がプラスに働くことは少ないというのが一般的な見解でしょう。