訃報を受けて葬儀に参列できないときに送られる「お悔やみの手紙」。形式を重んじる手紙ですが、どのようなマナーでどんなことを注意して書くべきなのでしょうか。
この記事では、お悔やみの手紙の意味やマナーの他に、書き方とその注意点を解説します。またお悔やみの手紙の送り方として封筒の使い方や例文も紹介します。
「お悔やみの手紙」の意味とマナーとは?
「お悔やみの手紙」とは弔意を伝える手紙
お悔やみの手紙は、弔意(ちょうい)を伝えるための手紙です。弔意とは人の死を悼み悲しむ気持ちのことで、お悔やみの手紙では訃報を知った故人について悲しみや遺族をいたわる気持ちなどを書き表します。
「お悔やみの手紙」は訃報の知らせを受けて出す手紙
お悔やみの手紙は、訃報の知らせを受けたときに故人の死を悼んで書かれる手紙です。弔問や葬儀に参列できないときなどに遺族に向けて書かれます。
お悔やみの手紙は初七日までに送る
お悔やみの手紙は訃報を受けてから間をあけずに送るのがマナーとされています。遅くとも初七日までには送るようにしましょう。
「お悔やみの手紙」の書き方
落ち着いたデザインの便箋と一重の封筒を用意する
お悔やみの手紙に使用する便箋や封筒は白無地が一般的ですが、白地に裏すりのデザインのあるものや薄いグレーなどの落ち着いた色合いの便箋や封筒も使えます。
また封筒は一重の封筒を用意します。二重の封筒は不幸が重なるという意味合いがあるとされてお悔やみの手紙には向きません。
お悔やみの手紙の基本構成と内容
お悔やみの手紙は主文、末文、後付けで構成されます。
主文には、お悔やみの言葉を述べて、訃報を聞いたときの気持ちや故人への想いなどを綴ります。また弔問に行けないことをお詫びの文句や、遺族への気遣いの言葉も書き表します。
末文には手紙を締めくくるための文章を書き記します。また香典を同封した際には香典を同封していることや、供物等を送った場合にはその旨を書き添えます。
後付けとして、手紙を書いた日の日付と差出人名、宛名を書きます。お悔やみの手紙は故人のご遺族や関係者に宛てた手紙ですから、宛名にはご遺族の名前に敬称である「様」をつけて書き送ります。遺族の名前がわからないときは、故人の名前を「故○○」と書き、続けて「ご遺族様」とするか、喪主の名前を書き入れます。
「お悔やみの手紙」を書くときの注意点
お悔やみの手紙は形式を重んじる手紙のひとつで、ここではお悔やみの手紙を書くときの注意するべきポイントを紹介します。
頭語や時候の挨拶はなし
お悔やみの手紙では、頭語や時候の挨拶を省略して本文から始めます。一般的な手紙では「前略」は「拝啓」のような頭語や季節を表す時候の挨拶が書かれますが、お悔やみの手紙では訃報を受けた悲しみや驚きの気持ちが優先されるため、本文から書き始めます。
お悔やみを伝える言葉が長くなりすぎないように注意
故人を悼み悲しむ気持ちが深いとついお悔やみを伝える言葉も長くなりがちです。しかしお悔やみを伝える言葉が長すぎると遺族にとって負担になってしまうことがありますので、長くなりすぎないように注意します。
故人の死因は聞かない
故人の死因は気になる事柄ですが、お悔やみの手紙は訃報を受けた悲しみや遺族への慰めの言葉を伝える手紙なので、故人の死因を聞くことはマナー違反です。
忌み言葉を使わない
お悔やみの手紙には忌み言葉を使わないようにします。忌み言葉とは、死に直結する言葉や表現、また不幸が繰り返すことを暗示する重ね言葉などです。読み手に死や不幸を連想させないために、お悔やみの手紙では忌み言葉を使わないようにしましょう。
- 死に直結するような言葉:死ぬ、死亡、逝去など。
- 重ね言葉:度々(たびたび)、重々(じゅうじゅう)、次々(つぎつぎ)、いよいよ、くれぐれもなど。
- 繰り返す意味合いがある言葉:再々、引き続き、続くなど。
【相手別】お悔やみの手紙の例文
お悔やみの手紙の例文として、親戚向けと取引先に送るビジネス向けの例文を紹介します。
親戚向けのお悔やみの手紙の例文
「〇〇さんの訃報の一報を受けて大変驚きました。〇〇さんにお会いするといつもお元気な様子だったものですから、このような時が来るとは想像すらしておりませんでした。
本来であればすぐにでも伺いたいのですが、遠方のため葬儀に参列できず本当に申し訳ありません。後日改めてご焼香に伺いたいと思っておりますので、その際にはご連絡いたします。
略儀ながら、書中にて〇〇さんのご冥福を心からお祈り申し上げます」
ビジネス向けのお悔やみの手紙の例文
「貴社営業部長〇〇様のご逝去の報に接し、ここに謹んでお悔やみ申し上げます。
故人がご生前の折にはひとかたならぬご厚情を受け賜りましたが、何のお報いもできないことを残念に存じます。
ご遺族の方々をはじめ、貴社ご一同の悲しみはいかばかりかと拝察いたします。どうぞお力落としのないように心よりお祈り申し上げます。
略儀ながら、書中をもちましてお悔やみを申し上げます」
お悔やみの手紙の送り方とは?
封筒の宛名は喪主または遺族
お悔やみの封筒の宛名は、喪主または遺族になります。喪主や遺族宛ての場合は、個人に宛てた手紙と変わりませんので、宛名に書き入れる名前の後に「様」を続けます。
喪主や遺族の氏名がわからない場合には、故人の名前を書いた左下に「ご遺族様」と書くこともできます。
切手は通常切手で構わない
一般的には、お悔やみの手紙を出すときの切手は通常切手で構いません。
しかし、地域によっては弔辞用の切手を貼付することがマナーの場合もあるので、迷った時には郵便局に相談するといいでしょう。
※「弔辞」に関する詳しい記事はこちら:「弔辞」の意味と読み方とは?書き方の注意点と例文・英語も解説
香典と一緒のお悔やみの手紙は現金書留にして送る
香典と一緒にお悔やみの手紙を送るときは、現金を一緒に送ることになるので現金書留で送ります。香典は香典袋に入れて、お悔やみの手紙は封筒に入れて、それぞれを現金書留用の封筒に入れます。
お悔やみの手紙が遅れたときは謝罪の一言を添えて
お悔やみの手紙は早めに送りたい手紙ですが、事情により手紙の発送が遅れてしまうことがあります。そのような場合でも、気後れせずにお悔やみの手紙を送ったほうがいいでしょう。
マナーとして、遅れたことを謝罪する一言を書き添えます。
〇〇様がご逝去された知らせを受けて大変驚きました。
知らなかったこととは申せ、お悔やみが遅くなり申し訳ありませんでした。遅ればせながら、謹んでご冥福をお祈りいたします。(本文に続く)
まとめ
「お悔やみの手紙」は遺族に宛てて故人への想いや悲しみ、遺族への慰めの言葉を伝えるための手紙です。初七日までに送ることや、書中では頭語などの前文は省略するなど独特のマナーがありますので、マナーに沿ってお悔やみの手紙を書き送りましょう。