「隔週休2日制」とは?年間休日数や違法となるケースも解説

会社員というと土日が休日となるケースが多いですが、中には「隔週休2日制」をとる企業もあります。本記事では「隔週休2日制」とは何かに始まり、就業規則や年間休日数、メリット・デメリットについて解説します。また、「隔週休2日制」が違法となるケースやその他の勤務体系についても触れています。

「隔週休2日制」とは?

「隔週休2日制」とは”隔週で週2日休みになる”勤務体制のこと

「隔週休2日制」とは、“隔週で週2日休みがあるという勤務体制”のことです。そもそも、日本では労働基準法で少なくとも週1日(あるいは4週4日)の休みが義務付けられているため、「隔週休2日制」では、1週間に2日休みがある週と1週間に1日しか休みがない週が交互に訪れることになります。

たとえば、日曜日を休日とする企業で、第1、第3土曜日は出勤・第2、第4土曜日は休み、という勤務体系は「隔週休2日制」と呼ばれます。

「隔週休2日制」の読み方”かくしゅうきゅうふつかせい”

「隔週休2日制」の読み方は、”かくしゅうきゅうふつかせい”です。「隔週」は”かくしゅう”と読み、「一週間おき」である様を意味します。

「隔週休2日制」では4週間で6日間休める

「隔週休2日制」は、”隔週で2日間の休日がある”勤務体系ですが、言い換えると4週間に6日間休めることになり、「4週6休」と表現されることもあります。先述した「日曜日の他に、隔週で土曜日が休日」という例に限らず、週1回の休日のみが固定され、残りの2日間は曜日が異なるということも珍しくありません。

なお、「隔週休2日制」は”隔週”という名称の通り、「1週間おき」という規則性がある勤務体系を指しますが、週1回の休みを除いた残りの2日間は4週間のどこかで消化する、という休み方をするケースもあります。

「隔週休2日制」は就業規則に記載すべき

「隔週休2日制」は求人情報はもちろん、雇用契約や就業規則でも明示されるべき事柄です。たとえば、就業規則では、次のような記載例が挙げられます。

例文

(労働時間及び休憩時間)
第*条 1週間の所定労働時間は、令和○ 年○ 月○ 日を起算日とし、2週間ごとに平均して、1週間当たり40時間とする。
2 1日の所定労働時間は、7 時間15分とする。
3 始業・終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむを得ない事情により、これらを繰り上げ、又は繰り下げることがある。
始業・終業時刻
始業 午前9時00分 ~ 終業 午後5時15分
休憩時間 1時間

(休日)
第*条 休日は、次のとおりとする。
① 日曜日
② 令和○年○月○日を起算日とする2週間ごとの土曜日
③ 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
④ 年末年始(12月29日~1月4日)
⑤ 夏季休日
⑥ その他会社が指定する日
2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある

参考:厚生労働省 モデル就業規則について

「隔週休2日制」の特徴とは?

「隔週休2日制」の場合、年間休日は少ない傾向に

「隔週休2日制」では、1年を52週として単純計算すると年に78日休みということになります。年間休日を算定する場合、この78日に企業が定める夏季休暇や年末年始休暇などを合算するので、実際の年間休日数はもう少し日数が増えるでしょう。

国民の祝日を、企業の休業日とするかどうかでも年間休日は変わってきますが、毎週2日間休み(完全週休2日制)の企業に比べると「隔週休2日制」の方が休日数は少ない傾向にあります。なお、「年間休日」は企業があらかじめ設定していた休日なので、年次有給休暇は含まれません。

必ずしも連休が取れるとは限らない

「隔週休2日制」の場合、必ずしも”1週間おきに2連休がとれる”というわけではありません。「1週間おきに2日休める」だけで、週1回の休みが固定されていて残りの1日は同僚との調整できまることも多いでしょう。そのため、土日休みのような連休ではなく、水・日や木・日といったケースも考えられます。

メリットは週休1日の週に仕事を進めやすい点

「隔週休2日制」の場合、週2回休みの週と週1回休みの週があるため、休みが少ない週に業務を集中して片づけることができるという特徴が挙げられます。特に、取引先の休業日に出勤となる場合、顧客対応以外の業務を進めやすいのがメリットと言えるでしょう。

また、仕事を自己実現の一環として考えるような「ワークアズライフ」をモットーとする人にとっては、勤務日数が多いことも苦にならないため、休日が少なく仕事が進めやすいと感じる人もいるようです。

一方で「隔週休2日制」は「きつい」との声も

メリットがあれば必ずデメリットもあるもので、「隔週休2日制」の場合は毎週2日間休み(完全週休2日制)とする企業に比べて「勤務日数が多い=労働時間が長い」という点が問題視されることが多いです。毎週連休とは限らないため、趣味やレジャーの予定も調整がいるかもしれません。「隔週休2日制」の企業への転職を考えているという人は、4週で6日しか休みがないことをどうとらえるのか、あらかじめ自分自身でよく考えた方がよいでしょう。

「隔週休2日制」は違法になる?

週40時間を超える労働は法律違反

そもそも、1日8時間、週40時間を超える労働は労働基準法に違反します。たとえば、1日8時間労働とした場合、週5日勤務で1週間の労働時間は40時間となります。そのため、週6日勤務する週がある「隔週休2日制」は、労働時間において違法となるケースがあるのです。

ただし、労使間で協定を結び、労働基準監督署に届け出ることで週40時間を超える労働を可能にすることができます。

「隔週休2日制」は”変形労働時間制”であれば可能

法律で定められた労働時間を超えて従業員を勤務させたい「隔週休2日制」のような場合は、「変形労働時間制」をとれば可能です。

「変形労働時間制」とは、従業員の労働時間を”週”ではなく月単位や年単位で調整できる勤務体系のことです。たとえば、1か月単位の「変形労働時間制」では、1か月以内の一定期間を平均して、1週当たりの労働時間が40時間を超えない場合は、特定の日あるいは週に法定時間を超えて労働させても問題ないとされます。

繁忙期と閑散期が明確な企業や「隔週休2日制」をとることが多い医療・サービス業界ではこの「変形労働時間制」が用いられることが多いでしょう。

「変形労働時間制」かどうかは残業代や給料にも関係する

「変形労働時間制」では、1か月あるいは1年以内の一定期間を平均して、1週40時間に収まっていれば、残業代を支払う必要がありません。一方で、「変形労働時間制」ではないのに「隔週休2日制」で勤務した場合、週40時間を超えた分に関しては残業代として割増賃金が発生します。そのため、勤め先が「隔週休2日制」なのに「変形労働時間制ではない」場合には、相当額の残業代・割増賃金が発生する可能性があるのです。

なお、「変形労働時間制=週40時間を超えて何時間でも勤務させていい」と考えるのは誤りです。「変形労働時間制」の場合も従業員の労働時間は法律に則って管理される必要があります。

「隔週休2日制」以外の休日制度とは?

「完全週休2日制」は”毎週、2日休みがある”勤務体系

一般企業に多いのが「完全週休2日制」です。1週間に必ず、2日間休みがある勤務体系です。多いのが土日を休日とする例ですが、平日を休みにしても問題ありませんし、「完全週休2日制」でも連休にならない場合もあります。

「週休2日制」とは”月に1度でも週休2日となる週がある”体制

「週休2日制」とは”1か月の中で1週間に2日休める週があること”を意味します。毎週2日休める、という「完全週休2日制」に対し、1週間に2回休める週が1回でもあればよいのが特徴で、残りの3週間は週1回の休みでも問題ありません。そのため、実際に月に何日休めるかは企業によって異なります。

なお、「隔週休2日制」も広い意味では「週休2日制」に該当します。ただし、「隔週休2日制」の場合は1週おきに週2日の休みがあり、「週1休みと週2休みの週が交互にある」という規則性が特徴です。

まとめ

「隔週休2日制」とは、週1日の休みとなる週と週2日休みとなる週が交互にある勤務体系のことです。単純計算すると4週間で6日の休みがあることになりますが、1週おきに休みが1日、2日と変化するのが特徴です。この「隔週休2日制」では労働基準法の労働時間にふれないよう、あらかじめ「変形労働時間制」をとる必要があります。自分がどういった勤務体系で働いているかは、雇用契約や社内規則で確認してください。