日本が「民主主義」であることは多くの人が知っていますが、この「民主主義」とは具体的にどういった国を指すのでしょう。また、「資本主義」や「社会主義」など他の体制とはどう違うのでしょう。「民主主義」の意味とその特徴、「資本主義」などとの違いや対義語についても解説します。
「民主主義」とは?
「民主主義」の意味は”人民が主権を持ち政治を行うこと”
「民主主義」の意味は、“人民が主権を持ち、自らの手で、自らのために政治を行うこと”です。「民主制」ともいいます。国の政治を指すことが多いですが、国に限らず”組織の重要な意思決定を、そのメンバーが行う”という意味でも用いられます。
「民主主義」は近代国家の主要な政治形態とも言われ、特に近代においては国民主権、基本的人権、法の支配、権力の分立などを指標に「民主主義」のレベルが図られることもあります。
わかりやすく言うと「みんなで話し合って決める仕組み」
「民主主義」をより簡単に表現すると”みんなで話し合って決める仕組み”ということができるでしょう。一人の人が独断で決めるのではなく、国民(人民、民衆)が話し合って決める仕組みが「民主主義」です。
言葉通り、全員が話し合いに参加する制度を「直接民主主義(直接民主制)」と言いますが、すべての国民が話し合いの場に同席することはあまり現実的ではありません。そのような場合に代表者をえらび、その代表者が議論や意志決定を行うことを「間接民主主義(間接民主制、代表制民主主義)」といいます。日本は後者です。
「民主主義」は英語で”democracy”
「民主主義」は英語では“democracy”といいます。古代ギリシア語に語源を持つ単語で、「民主主義」以外に「民主社会・民主政治・民主主義国」などの和訳でも用いられます。
「民主主義」の特徴と「民主主義国」とは?
「民主主義」では”多数決の原理”が用いられる
「民主主義」の一番の特徴は「多数決」です。話し合いで物事を決める「民主主義」では、意見がひとつにまとまらない場合に「多数決」を行います。「満場一致」で決める方法も「民主主義」のやり方ではありますが、「全員が納得できる意見」はそうないことから、「多数決」がとられるのが一般的です。
「民主主義」のメリットは”平等”と”自由”
「民主主義」を採用することのメリットは「平等であること」と「自由であること」です。「民主主義」では国民がみんなで決めるので、原則として「平等」であり、話し合いで「自由」に意見ができることが前提となっています。「多数決」で少数派となった場合には自分の主義主張とは異なる決定がなされますが、多数派はできるだけ彼らを納得させなければならないというのが「民主主義」の考え方です。
デメリットは意思決定の遅さや足の引っ張り合い
「民主主義」では大勢で話し合いをするので、良い案も出ればそうでない案も出ます。それらを議論によってすり合わせるため、決定までに時間がかかるのがデメリットのひとつです。また、自分の意見を通したいがために、相手の欠点を探すなど足の引っ張り合いが起きるのも「民主主義」のウィークポイントと言えるでしょう。
「民主主義」では多数の案の中から最適なものが選ばれるのが望ましいですが、実際に選ばれた案が最良とは限りません。目先の利益ばかりが優先されることも少なくはなく、国民の教育レベルの高さなどに左右されやすいのも事実です。
日本以外の「民主主義の国」
世界中に「民主主義国家」はたくさんありますが、中には形骸化していて独裁主義に近い国家もあります。日本も例にもれず「民主主義国家」ですが、選挙の投票率が低いことや女性政治家の数などから「欠陥のある民主主義」と評価されることもあるようです。
調査によって「民主主義」の測り方は異なりますが、政治参加や市民の自由、政治機能などを基にした評価が一般的で、アイスランドやノルウェー、スウェーデン、ニュージーランドなどは「民主主義」のレベルが高い国家としてしばしば挙げられます。
「民主主義」と「資本主義・社会主義」の違いとは?
「資本主義」とは”自由競争により利潤を追求するシステム”
「資本主義」とは”生産手段を持つ者(資本家)が、手段を持たない労働者をつかい利潤を追求するシステム”のことです。個人が自由にお金儲けができ、自由な競争が行われ、それにより経済全体が発展する、というのが「資本主義」の大きな特徴です。一方で、競争に勝つ者が富を手に入れ、負けた者との貧富の差が生まれるのも「資本主義」の特徴です。
「民主主義」は政治原理、「資本主義」は経済のシステム
「民主主義」と「資本主義」はいずれも国家の体制に対して用いられる表現ですが、使用分野が異なります。「民主主義」とは政治原理、つまり国の政治のありかた・態勢を表す単語ですが、「資本主義」は経済体制に使います。
「社会主義」は「資本主義」に対抗する思想
「資本主義」には貧富の差が広がるというデメリットがある点は先述しましたが、この貧富の差を失くしすべての人が平等な社会を築こうとする考え方は「社会主義」と呼ばれます。
「社会主義」では私有財産を禁じ、富の再分配を行うことで平等な社会を築くことを目指します。すべてが社会(国)のものとなるため、大きな貧富の差はなくなりますが、一方で「努力しても報われない」という思考から経済が滞りやすいのが特徴です。
「社会主義」は「資本主義」に対抗する思想であることからも分かるように、主に経済システム、経済の仕組みに関する思想であるという点で「民主主義」とは異なります。
「民主主義」の対義語とは?
対義語は「君主制」や「独裁制」
「民主主義」と反対の意味を持つのは「君主制」や「独裁制・独裁主義」が挙げられます。端的に言うと、「国の政治について優秀な人(代表者)が一人で決める」という仕組みを言います。
「君主制・独裁制」は極端な考えに陥りやすい
「君主制」や「独裁制」は、その代表者ひとりの考え方に国が大きく左右されます。本当の意味で「優秀な人」であればデメリットはないのかもしれませんが、一般に「君主制」や「独裁制」は暴走しやすく、極端な考え方に陥りやすいのが特徴です。「君主制(独裁制)」では代表者の暴走を止める手立てもないことも問題になりやすい点です。
まとめ
「民主主義」とは”人民が主権を持ち、自らの手で、自らのために政治を行うこと”を意味します。「民主主義」では「みんなで話し合って決める仕組み」「多数決の原理」が原則で、人民が直接政治に参加する「直接民主主義」と、代表者が議論を行う「間接民主主義」に分かれます。一方、「資本主義」や「社会主義」などのワードは、経済システムを意味する単語であり、「民主主義」とは分野が異なります。「民主主義」の対義語は「君主制」「独裁制」と覚えておきましょう。